歯の定期検診でチクっとした痛みや出血 スタッフさんが下手なの?

[2024年11月23日]

歯の定期健診で苦手なこと、どうしたら良い?

「そろそろ定期健診かな」
「クリーニングは、口の中がさっぱりするから好きだけど・・・〇〇〇が苦手なのよね」
・・・申し訳ありません!歯科の定期健診、苦手な項目ってありますよね。
今回は、皆さんに「苦手だな」と思われがちな3つの検診項目について、お話していきたいと思います。

目次

  1. 1.唇を器具で引っ張られるのが苦手
  2. 2.歯肉の検査のチクチクが苦手
  3. 3.レントゲン写真での被ばくが心配
  4. 4.まとめ

1. 唇を器具で引っ張られるのが苦手

検診の際、毎回ではなくても、お口の中の写真を撮る機会があります。
その時、唇を引っ張られるのが苦手という方も、いらっしゃると思います。
お口の中の写真を「口腔内写真」といいます。
口腔内写真では、その日のお口の中の状態を、前歯、咬む面、咬んだ状態での奥歯の状態・・・など、決まった形式で撮影し、記録していきます。
同じ条件下で撮影を行うことで、過去に撮影した写真と現在のお口の中の状態を、明確に比較することができるのです。
また、むし歯の治療の必要性がある時などに、説明用としても用いられます。

撮影の際は、お口の奥までしっかりと撮影します。
その際、唇で歯が隠れてしまわないように、口角鈎(こうかくこう)と呼ばれる器具で唇を広げる必要があります。
この口角鈎が苦手な方が多いようです。
また、治療の際に唇を引っ張られるのが苦手という声もお聞きします。
この場合の対処法を説明しますね。

お口を大きく開けようとすると、唇も一緒に大きく開けようと頑張ってしまい、ピンと張ったような状態になることがあります。
この状態で、さらに必要な方向に引っ張られると、痛みを感じやすくなります。

このような時は、上下の歯と歯の間は顎の関節から大きく開きつつも、唇の力は抜いておくようにしましょう。
そうすることによって、筋肉の緊張が取れて、唇や頬が柔軟に動きやすくなります。
この状態で口角鈎を入れて、必要な方向に引っ張ることによって、唇も伸ばされやすくなり、痛みにも繋がりにくくなります。
引っ張られている時も、力を抜いておくようにしましょう。

また、乾燥していると、唇が切れてしまうことや、お口の中が伸びにくくなる可能性があります。
写真撮影の前に、軽くうがいをして、お口の中を湿らせておくのも効果的です。
リップクリームを使用したい場合は、診療室に入る前に使用し、余計な分はティッシュなどでしっかりと拭っておいていただくことをお願いしております。
リップクリームでべたべたしていると、含有する油分が手袋や器具に付着して、診療に支障をきたす恐れがあるので、お気をつけください。

2. 歯肉の検査でチクチクするのが嫌い

「歯肉の検査、苦手なのよね」と言われることが、最も多い気がします・・・。

歯肉の検査では、歯と歯肉の境い目にある歯周ポケットの深さを計測しています。
この検査は、歯1本1本の歯周病の進行度合いを把握する上で、大変重要になります。
どんなことをしているのか、もう少し詳しくお話していきますね。

歯肉の検査は「プロービング検査」と呼ばれます。
プローブという器具を用いて、歯の周りのポケットの深さを、1本1本確認していきます。
何となく、尖った器具で歯肉をチクチク刺されるイメージがあるかもしれませんね。
しかし、プローブの先端は尖っておらず、むしろ先端でポケット深部を傷つけないように先端に小さなボールがついているような構造をしています。

それでも、「痛い!」「血が出た」という方もいらっしゃるでしょう。
それは、ポケット内に炎症があるためです。
ポケットの中の歯肉が腫れている場合は、少しの刺激で痛みを感じたり、出血したりするのです。
そのような場合は、歯周病の治療を行っていくことをおすすめしていきます。

「血が出たりはしないけれども、すごく痛いわけではないけれども・・・あの検査、苦手なのよね」
そういう患者さんも、多くいらっしゃいます。
しかし、ポケットの深さを測ることは、歯周病の検査の中で非常に大切なことなのです。
少しの間だけ、頑張っていただけたら・・・と、思います。

3. レントゲン撮影で、被ばくするのが心配

レントゲン撮影は、確かに放射線の被ばくを伴います。
しかし、歯科で用いるレントゲン撮影は、身体のごく一部のみに限局して照射するので、被ばく量は非常に低いということができます。
では、どの程度の量なのか、具体的にお話していきましょう。

我々は、日常生活でも、大地・大気・宇宙から自然放射線を浴びていることをご存じですか。
世界における1年間の自然放射線の平均被ばく量は2.4ミリシーベルト、日本では平均1.5ミリシーベルトです。
また、東京⇔ニューヨーク間を飛行機で往復すると、0.2ミリシーベルトの放射線を浴びることになるそうです。

それに対して、顎全体が入る、大きなレントゲン写真(パノラマレントゲン写真)を1回撮影した際の被ばく線量は0.03ミリシーベルト。
小さいフイルムを使って、お口の中の部分的な写真【デンタルレントゲン写真】を1回撮影した際の被ばく線量は0.01ミリシーベルトです。
日常生活における被ばく量と比較すると、歯科で使用するレントゲン撮影での被ばく量が少ないことが、おわかりいただけるかと思います。

また、レントゲン写真は、それ一枚でとても多くの情報を得ることができます。
定期的に撮影することで、歯の状態や歯周病の進行程度、顎骨の変化などを経時的に観察することもできます。
痛みや腫れなどの症状があった際には、以前に撮影したレントゲン写真があれば、症状がない時の状態と、現在の痛みがある場合の状態を比較することが出来るという点も、診断をする上で大きな情報となるのです。

「そうはいっても、やっぱりレントゲン撮影は不安・・・」
そんな時は、無理せずスタッフにお伝えください。
その時の状況・状態に応じて、柔軟に対処させていただきます。

4. まとめ

  • 口腔内写真撮影時や、診療時など、唇を引っ張られる時は、唇の力を抜くようにする。
    診療前に軽くうがいをして、お口の中を少し湿らせておく。
  • 歯肉の検査の時は、多少チクチクすることがある。
    強い痛みを感じる、出血するような時は、歯周病の進行が考えられるため、歯周病の治療を行うようにする。
  • 歯科におけるレントゲン撮影の被ばく量は、ごくわずかである。
    どうしても気になる時などは、我慢せず相談していくことがおすすめ。

検診や、診療の際に、どうしても苦手なことは、あるかと思います。
しかし、そこから得られる情報をもとに、皆様のお口の中の健康を守っていきたいと、我々は考えております。
何かございましたら、お気軽にご相談ください。



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