子供さんの前歯がすきっ歯の原因、正中過剰埋伏歯について

[2024年09月20日]

過剰歯とは、本来の歯の数よりも多い余分な歯のことです。
上顎の前歯のあたりは、過剰歯が埋まっていることが多く、上顎正中過剰埋伏歯とよばれています。
上顎正中過剰埋伏歯は、永久歯の歯並びに影響することが多いです。
今回は、上顎の正中過剰埋伏歯という余分な歯についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただけると、正中過剰埋伏歯の症状や治療法までお分かりいただけると思います。

目次

  • ◯上顎正中過剰埋伏歯について
    •  ◆症状
    •  ◆原因
  • ◯上顎正中過剰埋伏歯かもしれない症状
    •  ◆正中離開
    •  ◆乳歯がなかなか抜けない
    •  ◆永久歯が生えてこない
    •  ◆永久歯の位置がおかしい
  • ◯上顎正中過剰埋伏歯の検査
    •  ◆レントゲン写真
    •  ◆CT写真
  • ◯上顎正中過剰埋伏歯の治療法
    •  ◆裏側にある場合
    •  ◆表側にある場合
  • ◯上顎正中過剰埋伏歯の抜歯の適否と時期について
    •  ◆抜歯の適否
    •  ◆抜歯時期
  • ◯まとめ

上顎正中過剰埋伏歯について

上顎正中過剰埋伏歯とは、上顎の前歯の根のあたりに埋まっている余分な歯のことです。

症状

余分な歯なので奇形であることが多く、通常の歯と比べて、小さかったり、形がおかしかったりします。
ほとんどの場合、完全に埋まっているので目で見えません。
痛みや腫れなどの自覚症状もありません。
1本だけとは限らず、2本認められる方も多いです。

原因

上顎正中過剰埋伏歯が生じる原因はよくわかっていませんが、親御さんに上顎正中過剰埋伏歯があるとお子さんにも認められやすいことから、遺伝的な影響も指摘されています。

上顎正中過剰埋伏歯かもしれない症状

最初にお話しした通り、上顎正中過剰埋伏歯は、歯肉の下に埋まっているので目に見えません。
しかし、次のような症状が認められれば、上顎正中過剰埋伏歯が埋まっている可能性が疑われます。

正中離開

正中離開とは、主に上顎の左右の中切歯(真ん中の前歯)の間に隙間が残ったままになっている歯列不正です。
左の中切歯は左寄りに、右の中切歯は右寄りにというように、通常中切歯は、お互い離れるように出てきます。
それが、中切歯の隣の側切歯が生えてきて押すことできれいに隙間がなくなるようになっています。
生えて間もない頃に隙間があるのはいいのですが、いつまで経っても隙間がなくならないなら上顎正中過剰埋伏歯がある可能性が高いです。

乳歯がなかなか抜けない

前歯の乳歯がいつまで経っても抜けない場合、上顎正中過剰埋伏歯があり、それが永久歯が生えてこようとしているのを邪魔している可能性があります。

永久歯が生えてこない

乳歯が抜けたのに、なかなか永久歯が生えてこない、そのようなときは、もしかしたら上顎正中過剰埋伏歯があり、永久歯が生えてこれなくなっている可能性も考えられます。

永久歯の位置がおかしい

上顎の前歯部の永久歯が生えてきたけれど、位置や向きがおかしいときも、上顎正中過剰埋伏歯が埋まっているせいかもしれません。

上顎正中過剰埋伏歯の検査

上顎正中過剰埋伏歯は目に見えませんから、検査をして、あるのかないのかを調べなければなりません。

レントゲン写真

レントゲン写真を撮影すれば、上顎正中過剰埋伏歯があるかどうかはっきり分かります。
まず、レントゲン写真撮影により、上顎正中過剰埋伏歯の有無をチェックします。

CT写真

上顎正中過剰埋伏歯が上顎の前歯と比べて、表側にあるのか、裏側にあるのかも調べなければなりません。
レントゲン写真では上顎の前歯との位置関係は分かりませんので、CTを撮影して確かめます。

上顎正中過剰埋伏歯の治療法

上顎正中過剰埋伏歯の治療法は、抜歯です。
上顎の前歯と比較して、表側にある場合と裏側にある場合で、少し異なります。

裏側にある場合

まず、局所麻酔の注射をします。
裏側の歯肉は、表側以上に敏感です。
そこにいきなり麻酔の注射をするとかなり痛いので、表側から麻酔をします。
上顎の前歯の裏側の歯肉を切開します。
そして、上顎正中過剰埋伏歯を覆っている骨の一部を削って取り除きます。
上顎正中過剰埋伏歯の歯冠もしくは歯根が見つかったら、永久歯の歯根を傷つけないように気をつけながら、取り出します。
歯肉を元に戻し、縫合して閉じます。

表側にある場合

裏側と同じく、局所麻酔の注射をします。
上顎前歯部の表側の歯肉を切開します。
上顎正中過剰埋伏歯があると思われる部分の骨を削ります。
上顎正中過剰埋伏歯の一部が見えたら、摘出します。
歯肉を元に戻して縫合して終わりです。

上顎正中過剰埋伏歯の抜歯の適否と時期について

最後に、上顎正中過剰埋伏歯を抜歯すべきかどうか、抜歯するとして、いつ抜歯したらいいのかを説明します。

抜歯の適否

上顎正中過剰埋伏歯が見つかったからといって、すべての上顎正中過剰埋伏歯を抜歯しなければならないわけではありません。

抜歯が必要な場合

永久歯の歯並びに影響するような上顎正中過剰埋伏歯は抜歯しなければなりません。
また、向きが逆向きの上顎正中過剰埋伏歯は、将来的に鼻の下にまで移動する可能性や、歯冠部分に嚢胞という袋状のできものをつくる可能性があります。
このため、歯並びに影響していない場合であっても、反対向きの上顎正中過剰埋伏歯は抜歯することが勧められています。

抜歯の必要性に乏しい場合

向きに異常がない上顎正中過剰埋伏歯なら、普通に生えてくる可能性があるので、そのままにしておき、生えてから抜くという方法もあります。

抜歯時期

上顎正中過剰埋伏歯は、見つかったからといって、急いで抜かなければならないということはありません。
永久歯の歯並びに影響する可能性があると判断されてからで十分です。
一般的には、中切歯の歯根が半分程度完成する7~9歳ごろが多いです。

まとめ

今回は、上顎正中過剰埋伏歯について解説しました。
上顎正中過剰埋伏歯は、それ自体は痛みや腫れなどの自覚症状はほとんどありませんが、主に永久歯の歯並びに影響します。
お子さんの上顎の前歯のすきっ歯がいつまで経っても解消されないとき、もしかしたら上顎正中過剰埋伏歯が埋まっている可能性があります。
上顎正中過剰埋伏歯があるかどうかを見つけるにはレントゲン写真を撮るしかありません。
当院は、上顎正中過剰埋伏歯の専門知識や治療経験の豊富な歯科医院です。
お子さんの永久歯の前歯がすきっ歯でお悩みの方、相談したい方は、当院にぜひお越しください。



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