子供の矯正治療とは?アクチバトールについて
[2024年08月14日]
子供の歯の矯正は、大人の歯の矯正とは少し違います。
大人は体がもう成長しきっているため、歯並びが完成しています。そのため、出来上がった歯並びを再びきれいに治していく、という治療になります。
それに対して子供はまだ成長途中です。歯並びが悪くなりそうな兆候がみられたら、顎と歯並びが成長するのに合わせて不調和を早い段階からコントロールし、良い方向に変えていくことができるのです。歯並び以上に骨格が顔の形を作っているといっても過言ではないため、子供の場合は早い段階からの早期矯正治療が有効になります。
早い段階といっても何歳ごろから始めれば良いのでしょうか。また、どのような装置を使って、どのような流れで治療するのでしょうか。今回は子供の矯正治療でよく使われる装置について説明していきます。
◯子供の矯正治療
◯アクチバトールとは?
◯適応症例
◆上顎前突(オーバージェット)
◆反対咬合(受け口)
◆交差咬合
◯作用機序
◯使い方
◯まとめ
子供の矯正治療
子供の矯正治療は二段階で行われることが多いです。前半の矯正治療をⅠ期治療、後半の矯正治療をⅡ期治療といいます。
Ⅰ期治療を始めるタイミングは、矯正装置を自分で扱えるようになる小学校低学年ころからです。治療目的は、乳歯が抜けて後に続く永久歯が出てくるスペースを確保してあげること、将来大きくずれそうな顎の成長をちょうどいいように調整すること、の2つです。Ⅰ期治療の開始は早ければ早いほどいいというわけではなく、子供が長い矯正期間に疲れてやめたくなってしまったり、長い時間矯正装置を使うことによって虫歯になりやすくなってしまったりします。矯正を始めるタイミングには個人差があるので、かかりつけの歯科医院や矯正を専門に行っている歯科医院で相談してみましょう。
Ⅱ期治療では、最後の永久歯である第二大臼歯が生える時期である、小学校高学年〜中学生くらいです。Ⅰ期治療で顎の成長がちょうど良くなったとしても、歯並びがガタガタになっている場合があります。このような時に、仕上げの矯正治療としてマルチブラケット装置というワイヤーによる矯正治療を行います。
今回は子供のⅠ期治療で使われる装置について少し深掘りしていきます。
子供の顎の成長を調整する装置でよく使われるものに、アクチバトールがあります。
アクチバトールとは?
アクチバトールとは、取り外しができる矯正装置です。F.K.O「エフ・カ・オー」とも呼ばれます。
レジン床と呼ばれるプラスチックの部分と、誘導線と呼ばれるワイヤーからできています。
口の周りの筋肉を利用して、下の顎を前に動かしたり後ろに動かしたりして、顎の成長をちょうど良い位置になるように促してくれる矯正装置です。アクチバトールには、歯を動かす力はありません。食事をするときや、喋る時にはお口の周りの筋肉を使いますが、この筋肉の使い方で顎の成長の仕方が変わってきます。アクチバトールを装着することによって、これらの筋肉の動きの力を利用して、噛み合わせの位置を正しい場所に誘導してくれます。
適応症例
アクチバトールの適応症例にはさまざまありますが、多いパターンの例を紹介します。実際にアクチバトールを使って矯正治療をおこなう場合には、専門家の診断が必要になります。
上顎前突(オーバージェット)
上顎前突は、上の顎が下の顎に比べて前に出ている状態のことをいいます。オーバージェットともいいます。下の顎が成長していないことが原因で上の顎が前に出てしまっている状態の上顎前突が適応になります。
反対咬合(受け口)
食事の時など、上下の歯を噛み合わせた時に下の顎が前に出てしまう状態のことをいいます。
ただし、顎の成長が原因で下の顎が常に前に出てしまっている状態の反対咬合には使うことができません。
交差咬合
食事の時など、上下の歯を噛み合わせた時に左右にずれて噛んでしまう状態のことをいいます。
作用機序
上下の奥歯の位置関係がちょうどいいところで、なおかつ上と下の前歯の真ん中(正中)が一致する位置になるように、筋肉の力を使って下の顎を誘導します。この位置のことを「構成咬合位」といいます。
装置の厚みは、前歯が1〜2mm、奥歯が4〜5mmで、最初は違和感がありますが、使っていくうちに次第に慣れていきます。
使い方
アクチバトールは夜寝る時に使います。使う時間はおよそ10時間ほどになります。この装置は口を閉じた状態で使うものになるので、鼻呼吸ができないと寝ている間に苦しくなってしまいます。装置に穴を開けて呼吸をしやすくすることもできますが、完全に口呼吸をしてしまっている場合は使用できません。
下の顎の前歯が装置に全て収まっていないと効果が得られません。
まとめ
いかがでしたか?今回は子供の矯正で多く使われるアクチバトールについて説明しました。我が子が矯正しなければならない歯並びかどうかは親であれば誰しもが気になることでしょう。早めに矯正治療を始めたほうが有利な場合もあります。少しでも気になったらぜひ相談してみてください。