歯の矯正中におすすめの食事はなに?②
[2024年04月22日]
ワイヤー矯正治療中の日常生活で、特に苦労するのが毎日の食事ではないでしょうか。
「毎日、おかゆしか食べられないの?」
「外食なんて絶対無理?」
そんなことはありません。
矯正治療中でも、毎日の食事を楽しんでいきましょう。
前回は、ワイヤー矯正治療中におすすめの食べ物、控えるべき食べ物についてお話ししました。
今回は、自宅での食事に関するコツや、外食・間食など、シチュエーションごとの矯正治療中の食事について、みていきましょう。
目次
①自宅での食事のコツ
◆食材の大きさ
◆調理方法
◆歯磨き
②外食の際のコツ
◆メニューの選び方
◆食べる際の注意点
◆歯磨き
③間食のコツ
④食べ方の注意点
◆前歯で咬み切らない
◆少しずつ口の中に入れる
◆強く咬まない
◆こまめに飲み物を飲む
⑤まとめ
1.自宅での食事のコツ
ワイヤー矯正治療を開始した直後は、慣れない矯正装置に苦戦することも多いかと思います。
装置に慣れてきても、痛みのある時期や、食べ物が挟まるのが気になるなど、様々なことがありますね。
まずは、自宅で食事を作る際、どのような点に注意すると良いのかをみていきましょう。
1-1.食材の大きさ
矯正装置がついている時は、前歯で咬み切る必要がないように、調理の際に食材を1口サイズに切ると良いでしょう。
また、1口サイズにする理由は、奥歯で咬む時の負担を軽くする、という理由もあります。
「1口でギリギリ入る大きさ」ではなく、咬む負担が軽くなるように小さめにカットし、食べる時もたくさん口の中に入れずに、少しずつ咬むよう心掛けましょう。
りんごなどのフルーツも、少し小さめに切ると良いですね。
繊維質の葉物野菜は、どうしても矯正装置にひっかかりやすくなります。
繊維を断ち切る方向で、細かく切ることをおすすめします。
1-2.調理方法
調理方法としては、煮込み料理や蒸し料理がおすすめです。
食材が軟らかくなりやすく、様々な種類の食材を摂取することができますね。
圧力なべを使うと、短時間で仕上げることができます。
スープ・ポタージュなどは、歯に痛みがある時や、野菜不足解消にはおすすめです。
みじん切りにしてスープに、ミキサーなどでポタージュにすることで、繊維質の野菜や、咬みごたえのある根菜類なども、効率よく摂取することが出来ます。
みじん切りチョッパーやミキサー、ハンドブレンダーなどがあると、便利ですね。
肉類の場合は、お肉そのものの硬さと、スジの硬さがあります。
大きなスジのある部分は、あらかじめスジ切りをしておくことや、表面に格子状の切れ目を入れることで、全体のスジを切ることができます。
また、長時間煮込む、圧力鍋で調理するなどに加えて、お肉の下処理として、調味料などに漬けこむなどの方法で、肉質を軟らかくする方法も効果的です。
お肉を軟らかく仕上げるには、様々な方法があります。
インターネットなどで調べてみるのも、おすすめです。
1-3.食べ終わったあとは、念入りに歯磨きを
食事のあとは、必ず歯磨きをしっかりとする習慣を身に付けましょう。
自宅では、時間をかけて、ていねいに磨くよう心がけましょう。
2.外食の際のコツ
自宅での食事と違い、外食の際は制約も多いですね。
順番にみていきましょう。
2-1.メニューの選び方
前歯で咬み切る必要のあるものは避けましょう。
具体的には、ハンバーガーやサンドイッチ、など。
麺類がよく装置にはさまりやすい方は、麺類は外出先では我慢して、お家で食べるようにしましょう。
硬い食材、咬みごたえのある食材は、出来るだけ避ける必要があります。
抜歯直後や、口内炎がある場合は、ドレッシングのついたサラダや辛い料理など刺激の強いものは、しみることがあります。
カレーや赤ワインは、装置に色がつきやすい心配があるので要注意です。
2-2.食べる際の注意点
お店で1口大の料理を探す・・・というのは、なかなか難しいですね。
ナイフとフォークをお店の方に頼んで、食べる際に自分で小さく切って食べる習慣をつけましょう。
骨付き肉や、焼き鳥などの串モノは、直接かぶりつかずにお肉を外してから食べます。
つくねなどは、串から外せば、矯正中でも食べやすいメニューといえますね。
硬めのお肉は、格子状に切り込みを入れてから1口大に切ることで、少しは食べやすくなります。
また、食事中にこまめに水分を摂取するように心掛けましょう。
2-3.食後は必ず歯磨きを
外出先であっても、食後は必ず歯磨きを行うようにしましょう。
歯間ブラシなどを用いて、装置と歯の間に挟まった汚れを取り除き、全体的に歯磨きを行います。
どうしても時間がない時は、装置と歯の間に挟まった食べかすだけでも取り除き、念入りにうがいをした上で、帰宅後早めに歯磨きを行うようにしましょう。
自宅でも外出先でも、どんなに急いでいても、鏡を見ながら行うことが大切です。
慣れてくると、歯と装置の大体の位置関係がわかると思われがちです。
しかし、矯正中は歯の位置がどんどん変化していきます。
無理に歯間ブラシを出し入れして器具を破損してしまったり、歯肉を傷つけてしまったりすることがないよう、気を付けましょう。
小さな鏡を常に携帯することをおすすめします。
歯磨きの際だけではなく、お口の中に違和感を覚えた時など、すぐにチェックすることもできるので便利です。
スマートフォンに鏡のアプリを入れていくのも良いでしょう。
3.間食について
矯正治療中は、虫歯のリスクが高い時期でもあります。
間食は出来るだけ控えましょう。
しかし、それがストレスとなっては、却ってよくないですね。
甘いものは、時間を決めて食べることが大切です。
食後すぐに食べる習慣にすると、そのあと食後の歯磨きも行うことを考えると、一石二鳥でおすすめです。
それ以外の時間の場合は、ダラダラ長時間食べ続けることは避けて、
・ 短時間でしっかり食べる
・ 食べたあとは歯磨きをする
と、メリハリをつけるようにしましょう。
糖分の含まれる飲み物は、おやつと同じです。
飲み物は、水もしくは色の薄いハーブティ(無糖)などがおすすめです。
4.食べ方の注意点
最後に、食べ方の注意点について、まとめてみましょう。
4-1.前歯で咬み切らない
ワイヤーがついている時は、基本的に食事中に前歯を使わないようにしましょう。
骨付き肉や、焼き鳥だけでなく、お団子の串やピックなどにも注意が必要です。
骨や串が装置にひっかかり、気が付かないうちにワイヤーが曲がってしまうことも考えられます。
装置の変形は、治療が進まないばかりか、想定していない方向に歯が動いてしまうこともありますので、十分注意しましょう。
骨や串は、「気を付けて食べる」ではなく、あらかじめ外したあとで食べるように徹底しましょう。
4-2.少しずつ口の中に入れる
1度に沢山の量をお口に入れず、少量ずつ入れるよう心掛けましょう。
大きな食材は、あらかじめ小さく切ってから。
スジのあるもの、繊維質のものは、繊維の方向と直角になるよう、繊維を断ち切るように小さくカットすることで、食べやすくなります。
前歯で咬み切らず、直接お口の奥に入れるようにしましょう。
4-3.強く咬まない
食べ物は一度で咬もうとせず、何回かに分けて咀嚼するイメージで食べましょう。
歯への負担を軽減することができます。
また、口に入れる前に、あらかじめ小さくしておくことも重要ですね。
4-4.こまめに飲み物を飲む
食事中は、こまめに水分を摂るようにしましょう。
お口の中に溜まった食べかすが、歯と装置のすき間に入り込む前に、洗い流してくれる効果が期待できます。
着色の予防にもなります。
出来れば水がおすすめです。
5.まとめ
・ 自宅で食事をする際は、食材は小さく切り、軟らかくなるような調理方法を選択する。
スープやポタージュもおすすめ。
・ 外食の際は、前歯で咬み切るメニューは避ける。
食べる際に、自分で小さく切って食べる習慣をつける。
・ 間食は時間を決めて、ダラダラ食べないようにする。
食後すぐに食べるのがおすすめ。
・ 食べる際は、少量ずつ、奥歯で咬む。
前歯で咬み切ったり、強く咬んだり、沢山お口の中に詰め込まないようにする。
食事中はこまめに水分摂取を心掛ける。
矯正治療中であっても、その時・その場面での食事は出来るだけ楽しみたいですね。
1つ前の記事の、矯正治療中の「おすすめの食べ物と、控えるべき食べ物」なども参考にしてみてください。
「矯正治療中だから、食事が楽しめない」のではなく、矯正中の食事の楽しみ方をご自身で探していくようにしましょう。
また、矯正治療の進行状況によっては、上下の奥歯が全く咬み合わない時期も考えられます。
歯と歯の間に大きなすき間が空いている時期もありますね。
どこで咬んでいいのかわからないと感じた時は、矯正医や衛生士に相談してみるのも良いでしょう。
より良い矯正治療期間を過ごすことができることを、願っております。