前歯でうまく咬み切れないのはどうして?
[2024年02月21日]
食事中、お肉や麺類を食べいた時、「あれ、前歯で噛みきれない!」と焦ったことはございませんか?
一回そのような経験があると、次回から食べる時も不安になり、せっかくの楽しい食事もそれどころではなくなりますよね!
今回、そんなお悩みがある方に朗報な内容となっております。
気がついた時がチャンスですので、ぜひ、そのようなお悩みがある方におすすめです!
目次
◯前歯で咬みきれない原因
◆自分の歯が原因の時
◆入れ歯や被せ物など補綴物が原因の時
◯咬みきれない時の治療方法
◯まとめ
◯前歯で咬みきれない原因
普段の生活において食事を楽しみにしている方は多いと思います。しっかりと咬んで食事ができることは、当たり前のことかもしれません。しかし、中には前歯で咬み切ることがしにくい、できないという方がいます。いくつかの要因が考えられますが、治療によって改善できる可能性もあります。どのような原因があり治療方法があるのかを確認しましょう。
◆自分の歯が原因の時
前歯で咬みきれない場合にはいくつかの原因が考えられます。まずは、入れ歯やブリッジなどの補綴物と呼ばれるものが無い状態としましょう。この場合にはご自身の歯であるにもかかわらず、上手く咬みきれない場合です。一般的に正常な前歯の咬み合わせは、顔を前から見た時に上の前歯が下の前歯に2ミリ程度覆い被さります(オーバーバイト)。また、顔を横から見た時に上の前歯が下の前歯に対して2ミリ程度前に出ている(オーバージェット)のが正常とされます。このようなオーバーバイトとオーバージェットの異常が、咬みきれない状況を作ることがあります。実際の例を挙げていきます。
▶︎オーバーバイトの異常
人によって歯並びや咬み合わせは大きく異なります。中には『開口』といって上の前歯が下の前歯に全く覆い被さらない状態の咬み合わせになっている方がいます。この場合には前歯で咬もうと思っても咬み切ることができません。原因としては幼少期において指しゃぶりの癖があった場合や異常嚥下癖といって例えば舌を前歯同士の間に介在させて飲み込む癖がある場合などにみられます。
▶︎オーバージェットの異常
オーバージェットの異常の最たる例は『上顎前突』や『下顎前突』といわれるものです。出っ歯や受け口がこれらに相当します。上顎前突や下顎前突は単に歯が前後に傾斜または移動してしまっている場合もあります。しかし、顎の骨自体が過成長または劣成長した結果によって起こる結果としてみられる事もあります。これらの異常は悪習癖(指しゃぶりや唇を噛むなど)によっても起こる時があります。顎の成長は遺伝的な要素も含まれており、家族に出っ歯や受け口の方がいる場合にはその傾向を受け継ぐ事もあります。その他には骨の成長に関わるホルモンバランスの異常を引き起こす全身疾患や遺伝子疾患が原因の場合もあります。
▶︎その他の異常
それ以外に前歯で咬みきれない場合として歯周病も考えられます。歯周病は歯を支える線維や骨が吸収してなくなる疾患です。初期には痛みなく多少歯茎から出血する程度ですが、重症化してくると歯が動いてしまいます。咬んだ時などに歯が動くと力をかけられない場合や咬みきれないという症状がみられることがあります。
◆入れ歯や被せ物など補綴物が原因の時
自分の歯の場合の異常を確認したところで、次に自分の歯ではなく入れ歯や被せ物で咬みきれない場合をみていきましょう。入れ歯や被せ物はそれ自体が自分の歯では無いので、自分の歯と比較するとうまく咬めない、力を入れられないということが起こる可能性があります。特に入れ歯ではそのようなことが起こることがあります。
▶︎入れ歯による原因
入れ歯で物がうまく咬みきれないということは頻度として少なくありません。特に総入れ歯の場合にはあえて前歯の負担を少なくすることがあります。総入れ歯では上の前歯に力が加わると上顎の奥の方が浮き上がる状態になります。これは入れ歯を外す力となります。前歯で咬むと入れ歯が落ちてしまうという訴えがある場合には前歯の負担をなくすように調整することがあります。したがって、特に総入れ歯で前歯が咬みきれないということは残念ながら起こりやすいといえます。部分入れ歯では、クラスプと呼ばれる針金部分が入れ歯の外れる力に抵抗してくれるために少し調整して前歯を咬ませるようにすることが可能かもしれません。入れ歯の大きさや針金の有無、残っている歯の状態などにも左右されるため、気になる方は歯医者に相談しましょう。
▶︎被せ物による原因
被せ物は差し歯やブリッジ、場合によってはインプラントをしている方もいるかもしれません。これらの場合には自分の歯のように、適正なオーバージェットやオーバーバイトを付与して作成するようにするのが一般的です。もし仮に前歯で咬みにくいとすると何か他の原因があるかもしれません。例えば、被せ物をしている歯が歯周病になっていてわざとあまり負荷をかけないようにしている場合や隣同士の歯と調和が取れるように審美的に作成した場合、時として歯が折れてしまいいつもの位置とずれてしまったなど様々な理由が考えられます。被せ物や差し歯のオーバージェットやオーバーバイトの修正は小さければ修正可能かもしれません。しかし、修正が大きいと被せ物自体が壊れる可能性があり、作り直しになる事もあります。残っている歯の根の状態が変わってしまった場合には、違う治療の必要性も出てきます。
◯咬みきれない時の治療方法
いくつかの原因を確認した上で治療方法を確認しましょう。自身の歯において『開口』『上顎前突』『下顎前突』は基本的には矯正治療の範疇です。自分の歯を削り被せ物をして、歯の軸を変えて見た目を改善する方法もあるかもしれません。しかし、それは大きく歯を削ることとなります。神経を取り除く治療も含まれるかもしれません。短期間で治療効果が得られるかもしれませんが、長い目で見るとあまり良いとは言えない場合もあります。治療期間がかかっても歯を削らないように歯並びや咬み合わせを修正するには自由診療にはなりますが、矯正治療になる場合が多いです。既に入れ歯や被せ物が入っている場合には、入れ歯であれば修正が可能かもしれません。しかし、総入れ歯など条件によっては難しいことがあります。被せ物の場合には被せ物のやり直しもあり得ます。審美的な歯の位置と機能的な歯の位置は必ずしも一致しない場合があることを覚えておきましょう。
◯まとめ
前歯が咬みきれない場合の原因や治療方法を確認してきました。いくつかの原因がありますが、まずは原因を確認することから行います。治療方法は歯の状況によって様々です。原因として歯周病など自分で気が付きにくいものが原因になっている可能性もあります。気になる場合にはかかりつけ医などに相談するようにしましょう。