子どもの成長・発達・発育について
[2023年11月21日]
目次
◯成長と発達について
◆成長と発達って何?
◆発育の法則
◆年齢について
◆暦齢(暦年齢)
◆生理的年齢
◯生理的年齢の測り方
◆骨年齢
◆歯(牙)年齢
◯まとめ
こんにちは
大人と比較して、
子どもの最大の特徴は何だと思いますか?
子どもの特徴は多いので、
答えは人によって違うかもしれませんが、
小児歯科では『成長・発達すること』
が子どもの最大の特徴であると考えています。
実際、手元にある小児歯科学の教科書を開いてみると、
子どもの心身の発育のコーナーは、
小児歯科の定義の次に出てきますので、
成長と発達をどれほど重視しているのかがわかると思います。
わたしたち人間にとっては、
子どもの成長と発達はごく当たり前、
まったく自然なことなのですが、
今回は、子どもの成長と発達に
ついてお話ししようと思います。
◯成長と発達について
まず、子どもの成長と発達についてみてみましょう。
◆成長と発達って何?
普段何気なく使っている
『成長』『発育』『発達』っていう言葉、
どんな意味かご存知でしょうか。
『成長』
大きさや数、量などを
測定してわかる変化の過程のことで、
例えば身長や体重の変化ですね。
『発達』
成長にともなう身体の諸機能の複雑化のことで、
例えば、脳の成長にともなう精神の発達や、
身体機能の成長にともなう運動機能の発達です。
『発育』
成長と発達をまとめた概念です。
なぜなら、成長と発達はお互いに
関連しており、作用し合って進むからです。
◆発育の法則
実は、お子さんの発育には、
法則といいますか、
特徴的な原則が4つあります。
①一定の順序で進む
発育は、ほぼ一定の順序で、秩序をもって進みます。
この順序は、遺伝によって決められているようです。
②発育速度は一定ではない
発育の順序は一定ですが、
それぞれの段階での発育の速さは
一定ではありません。
年齢によっても異なりますし、
臓器によっても違いがあります。
③発育には重要な時期がある
発育の段階は全て大切ですが、
それぞれの発育段階において、
決定的に重要な時期というものがあります。
もし、発育にとって決定的な時期に
何らかの障害を受けてしまうと、
その後一生涯続くような機能障害が
残ることになる可能性があります。
④発育には基本的な方向がある
発育には基本的な流れがあります。
一つ目は、頭に近い方が、身体の下部よりも先に発育する
二つ目は、身体の中心部分の方が、端よりも先に発育する
三つ目は、不器用な動きから、繊細で協調的な動きができるようになる
四つ目は、発育が進むにつれて、個人差がはっきりしてくる
お子さんの何気ない成長を見てもらうと、
意識しないとわかりませんが、
発育の法則にしたがって発育していることが
お分かりいただけると思います。
◆年齢について
一般的には、お子さんの年齢は
生年月日から何年経ったかで計算し、
〜歳と表します。
小児歯科では、
これに加えて、生理的年齢という
年の数え方も利用します。
◆暦齢(暦年齢)
生まれたときを基準として、
時間の経過から、
すなわち生年月日から
算出した年齢です。
一般的に使うのはこの暦齢ですね。
◆生理的年齢
子どもの成長発達の進み方は、
個人差がとても大きいです。
このため、暦齢だけでは、
成長の進み具合を
的確に評価することはできません。
そこで、成長発達の進み具合を
基準として年齢を評価したものが、
生理的年齢です。
先にお話しした暦齢と比較することで、
成長発達の評価に使います。
◯生理的年齢の測り方
小児歯科では、
生理的年齢を骨と歯の
成長度合いから計測します。
◆骨年齢
骨年齢は、全身の骨格の
成長具合を示しています。
骨年齢は、
歯の発育や性成熟など、
骨以外の発育にも
関連性が高いとされており、
小児矯正でも重視されています。
小児歯科では、
骨年齢を測定するのに、
手根骨(一般的には左手)の
レントゲン写真を撮影します。
手根骨が選ばれる理由は
①撮影が簡単な上に、被曝量が少なくてすむ。
②手にはたくさんの骨があり、簡単に写し出せる。
③この部分は、一定の順序で
骨が出現することがわかっており、
出生から成人までの全期間を通して変化する。
④手根骨の成熟度と全身の骨の成熟度には高い相関性がある。
などです。
手根骨の数は、完成したときには10個です。
健常なお子さんの場合は、年齢、またはそれに1を加えた数字とほぼ同じです。
数え年:手根骨の数
・ 1~3歳 :0~3個
・4歳 :4個
・5歳 :5個
・6~8歳 :6~8個
・9~12歳:9~10個
◆歯(牙)年齢
歯年齢は、歯の成長過程での成熟度を示す指標です。
歯年齢は、それぞれの歯が生え始めた時期や、
歯がどれくらい出来上がっているかなどから判断します。
一般的に骨年齢とも関連性が高いと考えられています。
歯(乳歯も永久歯も含む)の生え具合から歯年齢を
判断するのにはヘルマンの歯年齢、
歯の出来具合の評価にはノラの石灰化年齢が利用されます。
ヘルマンの歯年齢では、
歯の生え具合と噛み合わせの
移り変わりの段階から10段階で評価します。
ノラの石灰化年齢では、
歯の出来具合をエックス線写真で判定し、
下顎の第一大臼歯(6歳臼歯)と
上顎の中切歯(前歯)の歯冠と歯根の出来具合
を10段階で評価します。
◯まとめ
今回は、子どもの発育に
ついてお話ししました。
成長と発達、発育は
それぞれ異なりますし、
発育には法則があることが
お分かりいただけたのではないかと思います。
子どもが成長して大きくなるのは、
自然の摂理で、ごく当然なので
見過ごされがちですが、
言われてみればなるほどと、
思われたのではないでしょうか。
小児歯科は、
歯科における小児科的な立場の
診療科目ですので、
一般歯科と異なる
専門知識が必要です。
当院は、小児歯科の専門知識に加え、
治療経験の豊富な歯科医院です。
もし、お子さんの歯やお口のことで
不安なことや心配なことがあれば、
当院でぜひご相談ください。