お子さんの歯磨き指導のコツ2 正しい歯磨き方法を覚えさせるための工夫
[2023年09月22日]
「しっかり歯磨きしなさいよ~!」
・・・声掛けだけでは、お子さんの歯磨きはなかなか上達しません。
ちょっとは歯磨き上手になってきたな・・・と思っていると、今度は大人の歯への生え変わりが始まるので、歯の並び方も、磨き方も日々変化していきます。
ここでは、歯磨きを習慣付けていく具体的な方法と、歯磨きの仕方をどのようにお子さんに教えていったら良いのかを、みていきましょう。
目次
1. 親子で一緒に歯磨きをするメリット
2. 歯磨きの仕方をわかりやすく教える方法
2-1. 歯ブラシをしっかり持とう!
2-2. 磨く順序を決めよう!
2-3. 磨く時間を決めよう!
2-4. 生え変わりの途中、6歳臼歯の磨き方
2-5. 仕上げ磨きでの声のかけ方
3. 歯磨きを楽しい時間にするために
4. まとめ
1. 親子で一緒に歯磨きをするメリット
お子さんの口癖、実はお父さん、お母さんの口癖を真似ているんだった!・・・なんて経験、ありませんか?
お子さんは、大人が思っている以上に、家族のことをよく観察しているものです。
大人の習慣は子供に伝わります。
朝起きたら顔を洗い、歯を磨く。
家に帰ってきたら、手洗い、うがいをする。
夜寝る前に歯を磨く。
当たり前の習慣が、お子さんにとっても当たり前になるように、親の姿を見せることも重要なのです。
歯磨きに関しては、時間が合うようでしたら「歯磨きしなさい」よりも「一緒に歯を磨きにいこう」が良いですね。
大人が鏡の前で、丁寧に歯を磨くことで、お子さんも真似をして磨こうとします。
大人がフロスを使用することで、子どももフロスに抵抗がなくなりますよ。
もちろん、忙しい朝の時間や、寝る前は、時間帯が合わせにくいこともあるでしょう。
そんな時は、休日だけでも良いので、是非試してみてくださいね。
忙しい平日の朝は、「お父さん、歯磨きしてきたよー。〇〇も歯磨きしておいで」と、さり気なくアピールするのも良いですね。
2.歯磨きの仕方をわかりやすく教える方法
歯磨きの仕方、最初から上手に磨くことはできませんね。
ここでは、どのように「自分磨き」を教えていけば良いのか、みていきましょう。
2-1.歯ブラシをしっかり持とう!
歯ブラシは、お子さんが安定する持ち方で持つのが一番良いでしょう。
幼い頃は、歯ブラシの持ち手部分をグーで握るように持ちます。
これを「パームグリップ」といいます。
この持ち方は、歯ブラシをしっかりと握ることができ、歯に歯ブラシをゴシゴシと当てやすい方法です。
その反面、細かく磨くのは難しい、力が入り過ぎてしまうなどの欠点もあります。
歯ブラシの毛先が1~2週間で広がってしまう場合は、力の入れすぎになります。
やさしく磨くよう、声掛けをおこないましょう。
鉛筆を正しく持つことが出来たり、お箸を使うようになったり・・・
成長と共に、細かい作業が出来るようになってきますね。
その頃には、歯ブラシの持ち方も変えていきましょう。
「ペングリップ」という、歯ブラシの持ち手の部分を、鉛筆を持つように握る方法です。
余計な力が加わりにくく、細かい動きが可能になる持ち方です。
歯と歯の間など、狭いすき間や細かい部分を磨くのにも適しています。
2-2. 磨く順序を決めよう!
あらかじめ、磨く順序を決めておくことで、部分的な磨き忘れを防ぐことが出来ます。
順番は特に決まりはないのですが、左奥歯→前歯→右奥歯という風に、あるていど連続性を持たせておくと覚えやすいでしょう。
一例を挙げると
左下奥歯の外側(頬側)→下前歯の表面→右下奥歯の外側(頬側)→右下奥歯の内側(舌側)→下前歯の裏側→左下奥歯の内側(舌側)→左下奥歯の咬む面→右下奥歯の咬む面⇒同様に上の歯へ
といった具合です。
一緒に歯磨きをすることの多い大人と、順番を合わせるのがオススメですよ。
2-3. 磨く時間を決めよう!
「えっ?!もう磨き終わったの?早すぎない?ちゃんと磨いた?!」
そうならないためにも、あらかじめ磨く時間を決めておくことがおすすめです。
1回の歯磨きにかける時間は3分!と決めて、頑張ってみましょう。
3分経たないうちに磨き終わってしまったら、最初からもう一度磨くようにします。
時間が決まっていると、どの位丁寧に磨いたら良いかの指標になります。
「磨いたつもり」を防止することも出来ます。
一緒に磨く際には、もちろん大人も一緒に3分間頑張りましょう。
しっかり、ていねいに磨いていくと、3分では足りなくなるかもしれません。
(そんな時は、もちろん延長してくださいね)
大人の歯磨きを見直すきっかけにもなるでしょう。
2-4.生え変わり途中の歯、6歳臼歯の磨き方
乳歯が抜けて、大人の歯が生え始めている部分などは、歯ブラシを縦に持ち替えて、歯と歯のすき間にブラシを入れるようにして磨きましょう。
6歳臼歯は、今までの歯並びよりも奥に生えてくるので、歯ブラシの毛先が届きにくい場所です。
最初、もしくは全体を磨いたあとで、歯ブラシをお口の横から入れるようにして、鏡で歯ブラシの毛先が6歳臼歯にしっかり届いているのを確認しつつ、磨くようにしましょう。
生え変わり途中や、6歳臼歯の磨き方に関しては、場所や歯並びによっても異なってきます。
磨きにくいところは検診の際などにお声掛けくださいね。
磨き方を一緒に練習していきましょう。
2-5.仕上げ磨きでの声のかけ方
自分磨きが終わったら、仕上げ磨きですね。
忙しい朝に仕上げ磨きが出来ないこともあるでしょう。
そんな時は、夜の仕上げ磨きで、1日分の汚れをしっかり綺麗にしていけば大丈夫です。
この時、気を付けたいのが、お子さんへの声掛けです。
どうしても、磨けていないところを指摘してしまいがちですが、上手に磨けているところも見つけて、褒めてあげるようにしましょう。
「奥歯に汚れが残っているね。でも、前歯は上手になったよ」
「歯肉の近くに歯ブラシが当たっていないかな?でも、歯の上の方はちゃんと磨けているね」
など、お子さんが
「明日も歯磨き頑張ろう!」
と思えるような声掛けをしていくようにしましょう。
仕上げ磨きを嫌がることも少なくなりますよ。
せっかくの親子のスキンシップの時間。
親も子も、気持ちよく終わらせるのが、長続きのコツです。
仕上げ磨きの際にもう一つ大切なのは、お口の中のチェックをすることです。
どこの歯が生え変わったか。
気になる部位はないか。
大人の歯が生えてきているのに子供の歯が抜けずに残っていたり、歯肉が腫れたり、虫歯らしきものを発見した際には、かかりつけ医で早めに診てもらうようにしましょう。
毎日仕上げ磨きをすることで、お口の中の異常にも、いち早く気が付くことができますね。
3.歯磨きを楽しい時間にするために
歯磨きは、毎日行うものです。
「歯磨きが楽しくてしょうがない!」・・・とまではいかないにしても、少なくとも「嫌な時間」にならないと良いですね。
意識改革はまず大人から。
歯みがきを「やらなくてはいけないこと」から、「自分にプラスになる行為」という意識に変えていきましょう!
そして、歯磨きをしたあとは、「あー、スッキリした。」「サッパリした!」と、つぶやいてみてください。
ちょっと得をした気分になりますよ。
大人の意識を良い方向に向けることで、お子さんも歯磨きに対して良い印象を持ちやすくなります。
だまされたと思って、試してみてください。
4.まとめ
・ 子どもは大人の真似をしがちである。
大人がしっかりとした歯磨き習慣を見せることで、子どもにも歯磨きの習慣がつきやすくなる。
・ 自分磨きの際の歯ブラシの持ち方は、まずは歯ブラシの持ち手をグーでしっかり握る。
細かい動きが出来るようになってきたら、鉛筆と同じように歯ブラシを持つようにする。
・ あらかじめ、磨く順序と磨く時間を決めておくようにする。
・ 生えかわり途中の大人の歯や、6歳臼歯の歯磨きは要注意。
・ 仕上げ磨きの時は、磨けているところを褒めてあげるようにする。
・ 歯磨きを「自分にプラスになる行為」と考えることで、前向きにとらえることが出来る。また、それは子どもにも伝わる。
毎日の歯磨き、少しでも楽しい時間になるように、大人の意識から変えていきましょう!
磨き方でわからないことや、磨きにくいところがあれば、お気軽に当院にご相談ください。