永久歯がギザギザして生えてきたけど

[2023年08月21日]

突然ですが永久歯が生える時には、乳歯と比べて表面がギザギザしていることはご存じですか?
今回は、この事について書かせて頂きます。

それに加え、永久歯が生えてくる頃によく尋ねられる事についても書かせて頂きます。

是非参考にしてみてください。

 

 

永久歯が生えてくる時期は学童期で、子どもは自立してゆき、歯磨きもどんどん本人任せになってゆきます。
保護者の方が、お口の中をみる機会も減ってきます。年に1回学校歯科健診があります。そこで問題を指摘されなければ、歯の萌出も問題ないと思われる保護者の方は多いです。
歯科医院で歯の萌出障害を指摘すると「学校歯科健診では、これまで何も指摘されませんでした。」と言われる方が多いです。
学校歯科健診で歯の萌出障害について指摘されることは少ないです。
歯の萌出障害は、それを疑い、歯肉の視診や触診での違和感を感じ、歯科医院でレントゲンを撮って初めてわかる方が多いように思います。

  

目次

◯永久歯の表面にあるギザギザの名前

 ◆構成

 ◆役割

 ◆自然な経過

◯不適切な経過

◯永久歯の萌出障害とは

 ◆永久歯の萌出障害の影響

 ◆永久歯の萌出障害の対処法

 ◆永久歯の萌出障害に気付くには

◯まとめ

 

永久歯の表面にあるギザギザの名前

永久歯の表面にあるギザギザは、マメロンと呼ばれる突起です。

 

構成

マメロンは、前歯の先っぽの内部構造の事です。
前歯は、3つの発育葉と呼ばれる部分から出来ています。
それぞれの発育葉がエナメル質を分泌する時に、少しズレが生じます。

その結果、3つの部分からなる突起ができるのです。

 

役割

マメロンは、永久歯が生える際に、乳歯の根を溶かす働きをします。また、噛み合わせや咀嚼を助ける役割があります

 

自然な経過

マメロンは永遠に残るわけではありません。
日常的な食事や歯磨きなどで徐々に摩耗していきます。
一般的には、永久歯が生えてから2年以内に消失します。

 

不適切な経過

永久歯が生えてから2年程経っても、マメロンが平らにならない場合には、前歯が適切に上下の歯と咬み合っていない可能性があります。
その場合、反対咬合、開口などの歯列不正が考えられます。矯正歯科治療のご相談が必要です。

 

永久歯の萌出障害とは

永久歯の萌出障害とは、永久歯が正常な時期や位置、方向で生えてこない状態です。永久歯の萌出障害には、以下のような種類があります。

①先天性欠如:永久歯が生まれつき存在しない場合です。遺伝や栄養不足などが原因と考えられます。

②萌出遅延:永久歯が正常な時期よりも遅れて生えてくる場合です。生えるスペースが無い、過剰歯(正常な数より多く存在する歯)がある、歯の形成が遅いなどが原因と考えられます。

③埋伏歯:永久歯が顎の骨の中に埋まったまま生えてこない場合です。先行乳歯の根尖病巣や石灰化物(過剰歯や歯牙腫)がある、歯胚の位置や方向に異常がある、先天性欠如などが原因と考えられます。

永久歯の萌出障害は、日本人小児では上顎中切歯(前から1番目の歯)と上顎犬歯(前から3番目の歯)に多くみられます 。

 

永久歯の萌出障害の影響

永久歯の萌出障害は、放置すると以下のような影響を及ぼします。

①歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼします。欠如部に隙間ができると、他の歯が移動したり傾いたり伸びたりして、すきっ歯や正中のズレなどを引き起こすことがあります。

②口腔内で炎症や感染を起こします。埋伏歯は周囲の組織に圧迫したり刺激したりして、膿瘍や嚢胞などを引き起こすことがあります。

③顎骨や顔面の発育に悪影響を及ぼします。埋伏歯は顎骨内で移動したり変形したりして、顎骨や顔面の発育に影響を与えることがあります。

 

永久歯の萌出障害の対処法

そこで、永久歯の萌出障害は早期に発見して対処することが重要です。対処法には、以下のようなものがあります。

①矯正治療:欠如部の隙間を埋めたり、埋伏歯を引っ張り出したりする方法。

②補綴治療:欠如部に人工的な歯(ブリッジやインプラント)を入れる方法。

③抜歯:埋伏歯を抜く方法。

 

永久歯の萌出障害に気付くには

永久歯の萌出障害は、以下のような場合に疑うことができます。

①親族に萌出障害の方がいる方。遺伝的な要因がある可能性が高いです。

②乳歯が欠如や癒合(隣り合う歯がくっついて一塊になる)している所がある場合。下にある永久歯も欠如している可能性が高いです。

③乳歯がいつまでも残っている、歯の生え変わりに明らかな左右差がある場合。永久歯が存在しないか、埋伏している可能性が高いです。

これらの場合は、レントゲンで顎骨内の永久歯の有無や位置や方向を確認する必要があります。

 

まとめ

永久歯の萌出障害は、早期発見と適切な対処が重要です。習癖が原因な時は早期発見が大きな意味をなします。早めに対処できれば侵襲少なく対応できる事が多いです。永久歯は一生ものです。永久歯の萌出時期は、歯や口腔内の健康を守るために大切な時期です。健康な永久歯を育ててゆきましょう。

 



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