子供の歯の治療に使われる材料について説明します!
[2023年05月08日]
乳歯の時期の治療において使用される歯科材料
乳歯の治療において詰め物・被せ物の方法や材料は、大人のそれとほとんど変わりません。ただし、乳歯の治療には特徴的な予防や保隙治療というものがあります。予防については何となくわかるかもしれませんが、保隙というものは歯が早くに抜けた場合や抜く必要性が生じた場合にその隙間を補う治療です。永久歯が生えるまでの歯と歯の間の隙間を確保するために行います。治療の内容や使用する材料にはどのようなものがあるか確認しましょう。
【目次】
・乳歯の治療における歯科材料 詰め物、被せ物
・乳歯の治療における歯科材料 予防治療、保隙治療
・乳歯の治療における歯科材料 金属の良いところ、悪いところ
・まとめ
乳歯の治療における歯科材料 詰め物、被せ物
詰め物や被せ物は乳歯と永久歯の治療においてほとんど差はないと言っても過言ではないかもしれません。特に詰め物については、レジンという樹脂を詰める治療を行います。大人も子供も同じ材料を使用します。虫歯が比較的小さく、詰めて直すことが可能な場合にはレジン充填を専ら行います。虫歯がやや大きくなった場合には型取りをした詰め物をセメントでつける方法もあります。それには、レジンを使用する場合や金属を使用する場合があります。これも大人と子供に大きな違いはありません。
被せ物については、虫歯が大きい場合や神経を取る治療をしている歯の場合などが該当します。子供の場合には大人の治療では見ることがあまりないジャケット冠や既製冠というものがあります。前者は特に前歯において冠を被せる際に使用します。これもレジンで作成するため見た目は歯の色のように見せることができ、審美的に良好です。強度的には金属のそれより落ちますが、乳歯ではこの材料を使うのが一般的です。既製冠は臼歯において使用します。歯の形になった既製の金属の冠を調整してセメントでつける方法です。型取りしたものをセメントでつける場合もありますが、被せる場合において臼歯では一般的に金属を被せることが多いです。
乳歯の治療における歯科材料 予防治療、保隙治療
乳歯時期の特徴的な治療として予防治療があります。これの代表はシーラントとフッ素が挙げられます。シーラントは特に大人の歯が生えたての場合に行います。生えて間もない歯は咬む面の溝が深く、磨き残しが多くなりがちになるので虫歯を作りやすいです。その溝を埋める治療がシーラントです。歯を削らずにすみ、金属も使用することなく予防が可能となるので必要に応じて行う方が良いでしょう。またフッ素については、生えたての歯は虫歯に対する感受性が強く酸に弱いので、フッ化物塗布を行い虫歯予防を行う意義は大きいです。
保隙については将来的な咬みあわせや歯並びに影響があるので重要な治療です。歯が早くに抜けてしまう状況になると永久歯が生えるスペースが無くなる可能性があります。歯が抜けている方に近くの歯が寄ってしまうためです。それを予防するために行うのが保隙治療です。いくつか種類がありますが、臼歯が早く抜けてしまった場合には、クラウンループやバンドループ、クラウンディスタルシューなどがあります。どれを使用するかは抜けた部位により変わりますが、いづれも金属を使用します。レジンでは強度がなく壊れてしまう恐れがあるからです。保隙装置は当日に完成するものではなく、基本的に型をとったものを元に作成します。前歯が早く抜けてしまった場合には可撤保隙装置という小児用の入れ歯のようなものを作成することもあります。見た目の改善や発音の改善などを見込んで使用します。これは大人の入れ歯と同じようにレジンで作成し、歯には金属の針金を引っ掛けて安定させます。歯がない場所においては、大人ではブリッジの治療をする選択肢があります。しかし、乳歯時期にブリッジをしてしまうと顎の成長を抑制する可能性があります。乳歯の場合にはブリッジの治療は行いません。
乳歯の治療における歯科材料 金属の良いところ、悪いところ
今日の歯科治療では専ら金属を使用することが多いです。最近ではメタルフリーと言って金属を使用しないようになっている流れがあります。保険の範疇でも金属を使用せずに治療する機会が増えてきています。
金属のメリットとしては
・壊れにくい
・保険内で比較的安価(ただし、最近では金属代高騰により保険でもやや高額)
デメリットとしては
・見た目が悪い
・金属アレルギーの方には行えない 将来的にはアレルゲンとなる可能性がある
・汚れが付着しやすい
という点が挙げられます。
乳歯でも歯科医院によっては永久歯に用いる自由診療の材料を用いて治療する場合があります。自由診療で使用する材料にはジルコニアやe-maxなどが挙げられますが、いずれもセラミックスと呼ばれているものです。
特徴としては
・壊れにくい
・見た目が良い
・金属を使用してないのでアレルギーの心配がない
・汚れが付着しにくい
といったメリットがあります。
もちろんまだ保険での適応が認められてはいませんので自由診療になり高額になります。乳歯は生え変わるのでそこまでの治療をするかどうかは担当医と親御さんがよく相談して決めるようにしてください。
まとめ
乳歯の治療における材料や金属、セラミックスについて簡単に説明してきました。歯科では様々な材料が使用されますが、それぞれに良し悪しがあります。どの材料を選ぶかは使用する場所や治療方法などにより左右されることが多いです。どのような治療をするかは歯科医が説明しますが、お子さんと親御さんが納得できる治療が行えるように予備知識は持っておくと説明を聞いた時に理解しやすいと思います。