子どもが歯をぶつけた! その場の対処と受診のタイミング

[2023年04月10日]

「子供が歯をぶつけた!」「口から血が出ている」「痛くて泣いている」

小さいお子さんには、よくあることです。

でも、わかっていても、慌ててしまうものですね。

 

今回は、お子さんが歯をぶつけてしまった時、どうすれば良いかについてお話していきたいと思います。

 

目次

1. お子さんが歯をぶつけたら・・・

2. 出血している場合

3. 歯が抜けてしまった場合

4. 歯が欠けてしまった場合

5. 歯がグラグラしている・歯の位置が動いた

6. 痛みがある

7. 歯の色が変わってきた

8. 歯を強くぶつけたあとは・・・

 

1.お子さんが歯をぶつけたら・・・

まずは、ぶつけた時の状況を整理しましょう。

 

場所は?

どのような状況でぶつけたのか

何に、どのあたりをぶつけたのか

頭を強く打っていないか

お口以外に痛いところはないか

 

出血している場合などはそこにばかり目がいってしまいがちですが、頭を打った可能性も考えなくてはいけません。

意識がはっきりしない、めまい・吐き気があるなどの症状が認められるようであれば、まずは救急病院を受診しましょう。

また、ぶつけた時の状況は、歯科を受診する際にも重要な情報となりますので、どのような状況であったのかを分かる範囲で把握しておくようにしましょう。

  

2.出血している場合

出血していると、お口の中の状態がわかりにくいですし、何よりお子さんの恐怖心も煽ってしまうので、まずは止血をしましょう。

軽く口をゆすいで、どこから出血しているのかを確認します。

出血が続いているようなら、清潔なガーゼ等で出血しているところを押さえて止血を行います(圧迫止血)。

ガーゼでなくても、ティッシュやハンカチなどでも構いません。

そして、お口の中の状態を確認しましょう。

 

3.歯が抜けてしまった場合

歯が抜けてしまった場合は、しばらく出血が続きますので、ガーゼやティッシュなどを咬ませて止血を行います。

止血を行いつつ、抜けてしまった歯の処置をします。

土や砂がついている場合は、軽くゆすぎましょう。

この時、指などでゴシゴシこすり洗いをしてはいけません。

歯の根っこの表面には「歯根膜(しこんまく)」という、骨とくっつく際にとても重要な組織が付着しています。

この組織がなくなってしまうと、歯を元に戻せる確率が激減してしまうのです。

ゆすぐ際には、長くても30秒程度でサッと洗うようにしましょう。

また、歯牙は乾燥にとても弱いのです。

乾いたハンカチやティッシュなどにくるんだりせずに、出来れば冷たい牛乳の中に入れて、出来るだけ早く歯科医院を受診しましょう。

牛乳がない場合は、ミネラルウォーターなどでも構いません。

水道水は、歯牙をゆすぐ際にも出来るだけ避けてください。

牛乳もお水もない場合は、お子さんのお口の中に入れた状態で来院しても良いです。

その場合は、飲み込んだり、咬んだりしないよう注意が必要になりますね。

唇の内側と歯肉の間の部分に挟み込んでおくと、一番安定しやすいでしょう。

受診される場合は、外傷により来院する旨を電話にてご連絡いただけると、医院でも対処がしやすいかと思います。

 

4.歯が欠けてしまった場合

歯が欠けてしまった場合は、欠けた大きさが重要になってきます。

大きく破折し、断面からピンク色のもの(神経組織)が見えてしまっている場合、強い痛みを伴いますので出来るだけ早く歯科を受診してください。

先端が少し破折したなど、他に痛みや症状がなければ、お時間のある時に受診していただくようでも大丈夫でしょう。

しかし、歯を強くぶつけた場合は、後日痛みや変色などの症状が出る可能性もありますので、緊急でなくとも受診することをお勧めします。

また、破折した欠片がお手元にある場合は、受診時にお持ちになってください。

くっつけることは出来ないのですが、破折の大きさや元の形態を確認するのに役立つこともあります。

 

5.歯がグラグラしている

歯がグラグラしている場合は、それが乳歯なのか、永久歯なのか。ぶつける前からグラグラしていたかなどが重要になってきます。

生え変わりが近い場合は、グラグラしていても、そのまま経過観察を行うことが多くなります。

生え変わりの時期よりも大分早い、揺れている歯が永久歯である、といった場合などは、両隣の歯とくっつけることによって固定していく必要がある可能性があります。

そのような時は、早めに受診するようにしましょう。

また、噛むと上下の歯がぶつかってしまう場合は、歯の位置が動いている可能性が考えられますので、そのような時も早めの受診をおすすめします。

 

6.痛みがある

受傷直後はぶつけた痛みがあるので、わかりにくいかと思います。

少し落ち着いた段階で、何もしなくてもズキズキする痛みがあるのか、硬いものを咬んだ時だけ痛みを感じるのかなどを確認しましょう。

痛みが続く場合は、見た目に異常がなくても歯科を受診し、痛みの原因を調べる必要があります。

咬み合わせがずれてしまっていたり、歯の根っこが折れていたり、ぶつけた衝撃で歯の内部の神経が炎症を起こしてしまっている可能性などが考えられます。

神経の処置が必要な場合もありますので、まずは診察を受けるようにしましょう。

 

7.歯の色が変わってきた

受傷から数日~数カ月後に歯の色が他の歯と比べて濃くなっていくことがあります。

その場合、歯の神経が死んでしまった可能性が高くなります。

歯科医院での処置が必要となりますので、痛みがなかったとしても来院していただくのが良いでしょう。

その際にはいつ頃歯をぶつけたか等もお伝えください。

 

8.歯を強くぶつけたあとは・・・

歯をぶつけてしまったあと、大切なのは経過観察です。

どのような処置を行ったにせよ(処置をしなかった場合も)その後の経過観察が大切なのです。

乳歯をぶつけても、永久歯に影響が出る場合もあります。

また、外傷を受けた歯は骨と癒着(骨とくっついてしまうこと)しやすいので、乳歯をぶつけた際には、永久歯としっかり生え変わるまで。

永久歯をぶつけた際には、少なくとも半年、1年後位までは注意して経過観察を行うようにしましょう。

 

まとめ

お子さんが歯をぶつけたら・・・

① まずはぶつけた時の状況を把握し、整理する。

  頭を強打していないか確認する。

② 出血している場合は、止血を行う。

③ 歯が抜けてしまった場合、抜けた歯を牛乳などに漬けて出来るだけ早めに受診する。

④ 歯が欠けてしまった場合、大きな破折や痛みを伴うようなら早めに来院を。

  小さく破折して症状がなければ、お時間のある時に受診を。

⑤ 歯がグラグラしていたり、歯の位置が動いた場合、永久歯であったり、乳歯でも咬めないようなら早めに受診を。

⑥ 痛みが続く場合は見た目に変化がなくても受診を。

⑦ 歯の色が変わってきた場合は、お時間のあるときに受診を。

⑧ 処置の有無・内容に関わらず、歯をぶつけたあとは経過観察が必要。

  

歯をぶつけた直後は慌ててしまいがちです。

幼いお子さんはバランス的に頭が重たいので、お顔をぶつけやすいのです。

そして、首から上は出血量が多い傾向にあるので、いっそう動揺してしまいやすいものです。

「もし、歯をぶつけたら・・・」と、シミュレーションをしておくだけでも、とっさの出来事に対処しやすくなりますよ。

この機会に一度、考えてみてくださいね。

 



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