小児矯正の中でも時期の違いがあることをご存知ですか?
[2022年11月07日]
こんにちは
小児矯正は、1期治療と2期治療の2段階に分けて、治療を進めていきます。
これは、大人の矯正治療では見られない、小児矯正だけに見られる特徴です。
1期治療と2期治療では、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、小児矯正での1期治療と2期治療についてお話しします。
治療の目的の比較
1期治療と2期治療では、治療の目的も異なります。
1期治療の目的
実は、小児矯正の1期治療ではきれいな歯並びにすることを目指しているわけではありません。
1期治療では、前歯部の歯並びを整えることを重視して治療を進めていきます。
2期治療の目的
2期治療は、前歯部だけでなく、奥歯も含め、歯並び全体をきれいに整えることを目的に治療を進めてい2022/09/12きます。
このため、大人の矯正治療と同じような治療法で治療を進めていきます。
比べてみると
1期治療は、歯並びを整えるための準備段階とも言え、2期治療こそが歯並び全体をきれいに整える本格治療段階と言えそうです。
矯正装置の比較
1期治療と2期治療では、使う矯正装置にも違いがあります。
1期治療で使われる矯正装置の種類
1期治療では、取り外しタイプと固定接着タイプの矯正装置が選ばれます。
取り外しタイプでは
①拡大装置(取り外しタイプ)
②機能的矯正装置
③ヘッドギア
④マウスピース
歯に固定する接着タイプでは
①拡大装置(固定タイプ)
②舌側弧線装置(リンガルアーチ)
などが主に用いられ、症状に応じて適切なタイプが選ばれます。
2期治療で使われる矯正装置の種類
2期治療で使う矯正装置は、大人の矯正装置とほとんど同じです。
例えば、マルチブラケット矯正装置が挙げられます。
歯の表面につけたブラケットという金具と、そこに通した弾力性のあるワイヤーの働きで歯並びを整える治療法です。
一般的に矯正装置としてよくイメージされる矯正装置ですね。
このほかにも、マウスピースタイプの矯正装置も近年使われるようになりました。
比べてみると
1期治療の方が矯正装置の選択肢が多いことがわかりますね。
1期治療の矯正装置では、歯を積極的に動かすことはできず、顎の骨格などを中心に整えていくのに適した矯正装置といえます。
一方、2期治療の矯正装置は、歯を移動させるのに適しており、歯並びを整えるのに適した矯正装置になっています。
対象年齢の比較
1期治療と2期治療では、対象年齢にも違いがあります。
1期治療の対象年齢
乳歯から永久歯へと生え変わりつつある時期を混合歯列期と言います。
1期治療が対象としているのが、この混合歯列期で、年齢で言うとおおむね6~12歳ごろに当てはまります。
2期治療の対象年齢
乳歯がなくなり、すべて永久歯となった時期を永久歯列期と言います。
2期治療は、この永久歯列期を対象とした治療の段階になり、年齢で表すと、10~12歳以上になります。
比べてみると
1期治療は混合歯列期が対象で6~12歳、2期治療は永久歯列期が対象で10~12歳以上になります。
簡単にいうと、1期治療は小学生、2期治療は中学生以上という見方もできますね。
治療期間の比較
1期治療と2期治療では、治療期間に違いはあるのでしょうか。
1期治療の治療期間
1期治療の治療は、おおむね2~4年ほどあれば完了します。
小学校の高学年になってからでは間に合わないこともあるので、なるべく早めに取りかかることが勧められます。
1期治療が早く終われば、2期治療が始まるまで数年待つこともありますし、1期治療だけで永久歯の歯並びがきれいに整った場合、2期治療に進まずに治療が終わることもあります。
2期治療の治療期間
2期治療の治療期間は、おおむね1~2年半ほどです。
比べてみると
治療期間自体は、1期治療も2期治療も大きな違いはないことがわかりますね。
大人の矯正治療の治療期間が2~3年なので、各期治療の治療期間もおおむね同じくらいといえそうです。
矯正治療の効果の比較
目的が異なるわけですから、期待される効果も1期治療と2期治療では異なります。
1期治療
1期治療の効果は、
①顎の骨格の成長発育を適切にコントロールできる
②抜歯しないですむように顎の骨格を整えられる
③歯並びを悪くする癖を治しやすい
④2期治療の効率を高められる
などです。
こうした効果の反面、歯並びが必ずしもきれいになるわけではないのが1期治療です。
2期治療
一方、2期治療の効果は、
①永久歯の歯並びをきれいに整えられる
などです。
まさに、大人の矯正治療と同じ効果です。
1期治療を経験していれば、永久歯が本来の位置から著しく離れた位置に生えてくることはほとんどなくなり、おおむね正しい位置に生えてきます。
このため、2期治療と大人の矯正治療の効果は同じですが、大人の矯正治療よりも効率的に歯並びを整えられます。
比べてみると
1期治療の効果は、顎の骨格を整えたり、歯並びを悪くする癖を取り除いたりすることです。
2期治療の効果は、歯をきれいに並べることです。
それぞれに特徴が異なることがわかりますね。
まとめ
今回は、小児矯正の1期治療と2期治療の違いについて解説しました。
1期治療は6~12歳ごろの混合歯列期、2期治療は12歳以上の永久歯列期を対象としています。
このため、それぞれの役割にも違いがあり、1期治療は顎の成長発育をコントロールして永久歯が生えるスペースを確保する治療、2期治療は永久歯をきれいに並べる治療となっています。
小児矯正は、お子さんの成長発育の段階に応じて適切に治療を進めていく必要があり、大人の矯正治療と違った専門的な知識や経験が必要とされています。
当院は、小児矯正の知識も経験も豊富な歯科医院ですので、お子さんの歯並びでお悩みの方は、当院でぜひご相談ください。