子どもの歯の生え変わり、これって正常?

[2022年07月29日]

今これをお読みになっている方の中に、ちょうど今お子様の乳歯が生え変わる時期にさしかかっている方もいらっしゃるかもしれません。

 

乳歯がグラグラしてくる、一方で永久歯が生えてくる、などのように、乳歯と永久歯が混在する時期は混合歯列期と呼ばれ、小学校低学年から中学生までがこの期間に多く当てはまります。

 

特にこの混合歯列期は、お口の中の環境が非常にダイナミックに変化していきます。

 

今のお子さまのお口の状態や生え変わりの状況に問題ないのか、他のお子さまと比べてお口の中の様子が違う気がするが大丈夫なのか、と気になっている方もいらっしゃると思います。

 

今回は、そういった子どもの歯の生え変わりに関する質問の中で多く聞かれるものをピックアップしてお話していこうと思います。

 

「全体的に生え変わりが遅いのが気になる」

乳歯から永久歯への生え変わりの順序や時期には、歯の部位によっておおよその目安があります。

 

ただし、これはあくまでも目安であり、身体の大きさなどの成長に個人差があるように、歯の生え変わりも成長の一つであり、個人差があって当然です。

長い場合、1年くらいのズレがある場合もあります。

 

ただ一方で、生え変わりが目安の時期より遅れていた場合、そのまま経過を見ていくだけで問題ないものなのか、あるいは積極的に何かしらの介入をしていった方がいいものなのか、といった判断も重要ですので、歯科医師の診断を仰ぐことが大切です。

 

「乳歯が抜けてから永久歯が生えてこない」

乳歯から永久歯への生え変わりは、永久歯が生えてくるに従って、乳歯の根が吸収されることで乳歯はグラグラ動きだし脱落、抜ける、というメカニズムになっています。

 

ですので、本来、乳歯が抜ける場合、すぐ下に永久歯が待ち構えているはずですが、乳歯が抜けてからしばらく経過を見てもなかなか次の永久歯が萌出してこない、ということがあります。

 

ではなぜこういったことが起きるのか、もう少し詳しくお話していきます。

 

先天欠如

先天欠如とは、もともと永久歯が欠損していることを言います。

 

永久歯がもともと存在しない場合、乳歯は抜けずに残っていることも多く、この場合、少しでも長持ちさせるためにオーラルケアをしっかり行っていくことになります。

 

ただ、中には、かみ合わせや虫歯などの状況によって早く脱落してしまうこともあります。

 

この場合は、今後の歯並びに影響が出ないように小児矯正などの対応が必要になる場合があります。

 

また、顎の成長が終わった時、抜けてしまった部位にどうやって歯を入れるか、といった将来的に必要になる治療についても想定しておく必要があります。

 

スペース不足

永久歯が生えてくるスペースが不足していることが原因のケースです。

顎の成長、乳歯の歯冠の幅などのバランスが取れていると、永久歯の生えてくるスペースが不足することは基本的にありません。

 

ただし、このバランスが悪い場合、スペースが不足してしまい、永久歯が生えてくることができません。

 

こういったスペースが明らかに不足している場合、小児矯正などで顎の成長を促すなどの対応が必要となることが多いです。

 

過剰歯の存在

過剰歯とは、本来の永久歯とは別に余分に存在している歯のことをいいます。

 

乳歯に代わる永久歯が萌出しようとするのを、この過剰歯が存在することで妨げられることがあります。

 

この場合、過剰歯を抜歯、取り除く必要がありますが、どのタイミングで抜歯するか、周りの永久歯との位置関係からどのようにして抜歯するのが安全か、など外科的な観点からのアプローチも重要となります。

 

「乳歯の内側に大人の歯が生えてきた」

上下顎の前歯でよく見られます。

 

一見、乳歯が永久歯の萌出を邪魔して、永久歯がちゃんと生えてこれないのではないかと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、心配いりません。

 

顎の中の永久歯は乳歯の歯根のやや内側にあり、乳歯の歯根を吸収しながら上へ上へと生えてきます。

 

このため、一時的に乳歯の内側に永久歯が生えてくるような位置関係になりますが、顎の成長、舌や口唇の力のバランスによって内側に生えてきた永久歯は外側に押し出されるようになり、次第に一列の歯並びに近づいていきます。

 

「上の前歯がすきっ歯になっている」

上の前歯が生え変わる時期、特に中心の2本がハの字に生えて真ん中にすき間があいてすきっ歯になっている、と心配されて来院される方がいらっしゃいます。

 

この上の前歯が少し外開きのハの字に生えている時期を「みにくいアヒルの子の時代」と呼びます。

 

これは、生え変わりとして異常なことではありません。

 

ほとんどの場合、他の前歯が生えてくると次第にすき間は小さくなり、犬歯と呼ばれる歯が生えそろう頃にはほぼすき間は閉じています。

 

もし一向にすき間が閉じてこない、といった場合は、上でお話したように過剰歯の存在があるかもしれませんので、精査が必要です。

 

子どもの生え変わり時期は「定期的な歯科受診」を

ここまで、子どもの歯の生え変わりの時期によく聞かれる質問についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

冒頭でお話したように、子どもの歯の生え変わりの時期はその変化や経過の辿り方はお子さまによってそれぞれです。

 

このようにお口の中に大きな変化がある中で、何か異常が見られたときにすぐに対応するためには、やはりかかりつけ医への定期的な受診が非常に重要です。

 

もし、今この記事をお読みになって、お子さまのお口の中について心配事や気になることがあれば、是非一度かかりつけ医に相談されることをおすすめします。

 

早めの対応を取ることが、健全な顎の成長や整った歯並びに繋がります。

 



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