子どもの矯正治療って本当に必要?

[2022年05月07日]

子どもの時から矯正治療ってした方がいいの?

お子さまの親御様からよく聞かれる質問として、以下のものがあげられます。

「子どもの時から矯正治療って必要ですか?」
「もう少し様子見る、というのはだめですか?」
「大人になってからでは遅いですか?」
「やっぱり早めに矯正した方がいいんですかね?」

今すぐ始めた方がいいのか、経過を見ていくだけでいいのか、など矯正治療をするかどうかの判断に迷われる方も多いと思います。

今回は、小児矯正のそもそもの目的、子どもの矯正治療がどういった場合に必要なのか、そのタイミングなどについて詳しく説明していこうと思います。

先に結論をお話しすると、
もし矯正が少しでも必要そうであれば、早めに対応する方が良いと言われております。

では、必要かどうか判断するにはどうすれば良いか?については、まず近くの歯医者の先生にいくことをおすすめいたします。

「えっ?その判断基準が知りたくて、この記事を見にきたんだよ?」とお考えになる方もいらっしゃいますが、そのような方のため理由を一つ一つ説明させていただきます。

小児矯正と大人の矯正は同じではない

矯正といっても、小児矯正と大人の矯正ではその目的も異なり、アプローチも異なります。
矯正治療というと「歯並びの改善」がメインに思われがちですが、小児矯正においてはそれだけではありません。

小児矯正の特徴

小児矯正と大人の矯正、いわゆる成人矯正とのもっとも大きな違いは「顎の成長過程を利用するかどうか」です。

成人矯正では、大人ということで、永久歯は生えそろっており、顎の成長も終わっていることから、歯並び改善を最優先にした治療が行われます。

一方、小児期はいわゆる成長期で、顎の発育途中です。
小児矯正では、この顎の成長期を利用し、理想的な永久歯列に導くための土台づくりに主眼をおいた治療となります。

小児矯正で行うこと

主に確実に歯を並べるためのスペースづくり、間違った舌の使い方があればそれを改善する訓練、そして口周りや頬の筋肉の良好なバランス作りや骨格的な要因も含めた顎の位置関係の改善などを行っていきます。

使用する器具や装置も、一般的なワイヤーもありますが、口周りの筋トレを行うためのトレーニングマウスピースだけを使用することもあります。

このように、小児矯正は「歯を並べる」だけではないということ、成人矯正とはやや目的が異なるということをまずは知っておくことが重要です。

子どもの矯正治療を考えた方がいい場合ってどんな場合?

小児矯正の目的を踏まえた上で、ではどういった場合に治療が必要になるのか、矯正をスタートした方がいいタイミングについてお話していきます。

小児歯科という枠組みでいうと、およそ3-12歳までがその対象として当てはまります。
さらに、3-12歳の間は、乳歯列のステージ、乳歯と永久歯が混合しているステージ、永久歯が生えそろっているステージ、といった3つのステージに分けられます。

そして、それぞれの成長過程における理想の口腔内とチェックポイントがあります。
例えば、乳歯列のステージでいうと、上下顎ともに、決まった部位の歯と歯の間にある程度のすき間がなくてはいけません。

このすき間がないことで、将来永久歯が生えてきたときに並ぶスペースがなくガタガタになってしまう可能性が高くなるのです。

このように、定期検診などでは、その各ステージのチェックポイントを踏まえ、それぞれ歯列や咬合に異常がないか、成長過程に問題ないかを歯科医師は確認するわけです。

もし、この時に何らかの異常があれば、そこで必要な治療や対応を検討していくことになり、言い換えると、ここが矯正治療が必要なライン、タイミングといえます。

このように、理想的な成長過程をたどっているかどうかを確認する指標はある程度決まっていますが、やはり子どもの成長にはどうしても個人差があります。

顎や歯の成長過程の異常の有無、矯正治療を始めた方がいいタイミングの判断については、この成長の個人差も含めて考えなければならず、専門家に診てもらう必要があります。

適切な時期に適切な治療を行うことが大事

このように、小児矯正を考えなければいけない場合やタイミングというのは、子どもの成長に応じてその都度判断していくもの、というのがお分かりいただけたと思います。

適切な時期に適切な治療を行うことが理想的な歯並び、咬み合わせに繋がります。

一方で、そのタイミングを逃してしまった場合はどうなのでしょうか。

矯正治療には基本的に開始年齢に制限はありません。

ただ、骨格的な要因での受け口、上顎前突などは成人矯正では抜歯や外科処置が必要になることが少なくありません。
顎の成長が止まってしまっていることから、外科処置での対応が必要になるからです。
もちろんトータルの治療期間も長くなることが多いです。

小児期に、将来歯並びや咬合に何かしらの影響が出る可能性が高いと判断したタイミングである程度の対応をしておくと、大人になってから成人矯正をせずに済む、あるいは成人矯正をしても軽度な症例、治療で済む可能性が高くなります。

一般的に小児矯正は早めに対応する方が良いと言われるのはこういった理由からだといえます。

まずは今のお口の状態を知るところから

今、お子さまの歯並びや口元が気になっていらっしゃる方は、是非かかりつけの歯科医院でお子さまの現在のお口の状態をチェックしてもらいましょう。

今すぐ何か治療を開始した方がよいのか、それとも次の歯の生え変わりを待ってからの判断になるのか、このまま経過見ていくだけで十分なのか、など、どのような対応が今後必要になるのかを前もって把握しておくことで、お子さまの将来の歯並びや咬み合わせに対する不安も軽減できるかと思います。

そして小児矯正には、お子さま本人のモチベーションややる気も非常に重要です。
もし治療を始める際は、お子さまともよく話し合ってから治療に向かっていただければと思います。



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