気になる子どもの「出っ歯」、どうやったら治るの?

[2022年04月22日]

こんにちはMM歯科クリニック院長の山脇です。

子どもの出っ歯、その原因、治療方法とは?

矯正治療の相談の中で、「子どもの出っ歯が気になる」という主訴で来られる方は少なくありません。

出っ歯とは、矯正でいうといわゆる「上顎前突」と言われます。
上顎前突といっても、上顎が下顎よりも成長しているケース、下顎が上顎よりも成長していないケース、上顎の前歯が前方に大きく傾斜している状態のケースなどがあります。

ではこういった上顎前突は何が原因で生じてしまうのか、またその治療方法について今回はお話していこうと思います。

出っ歯の原因は?

出っ歯になる原因にはさまざまなものがありますが、大きく先天的なものと後天的なものとに分けられます。

まず、先天的なものとして、遺伝的要因があげられます。
お顔の形や体形が親と似てくるように、骨格や顎の大きさも似てくるということが言えます。
親御様が歯並びが悪い場合は、注意してお子様の骨格や成長の経過を追う必要があります。

一方、これから述べる後天的な要因も非常に重要です。
後天的要因として、悪習癖と呼ばれる舌や口唇の動かし方、使い方の異常な癖があります。

以下にこの悪習癖ついて代表的なものを挙げてみます。

指しゃぶり(吸指癖)

指しゃぶりとは、親指の腹を上顎の前歯の裏側にあてがい口唇や頬粘膜をすぼませて強く吸う行為です。

これによって、上顎の前歯は親指によって前方に押し出され、さらに左右の頬粘膜の力によって歯列は側方から圧迫され歯列のアーチの横幅が小さくなっていきます。

このメカニズムによって、歯列のアーチはU字型からV字型になり、結果的に出っ歯となってしまいます。

口呼吸

理想的な歯列はU字型をしています。
これは口唇、頬粘膜、舌に囲まれており、その周囲の筋肉の良好なバランスによって維持されます。

口呼吸の場合、口唇が上下閉じていないので、それによって上顎の前歯が前方に出やすくなってしまいます。

さらに、舌においては、お口の中で上顎の前歯の裏側の粘膜のあたりにある「舌スポット」と呼ばれる部位があり、ここに舌の先が付着しているのが正しい状態です。

口呼吸をしている場合、舌はこの舌スポットにはなく、常に下顎の中に収まっている状態となります。
これによって、下顎は下方向に成長するようになり、それによって顔貌も長くなりやや面長で引き締まった口元ではなくなってしまいます。

口呼吸に関する記事に関してもございます!ご興味ございましたら、是非ご覧ください。

その悪い歯並び、お口ポカンが原因かも!?

舌癖、舌突出癖

舌の動かし方に異常が認められ、それが習慣化してしまっていることをいいます。
舌で上の前歯を押す癖、舌を上下の前歯の間に出す癖、さらに、食事の際に舌を前に出して食べ物を飲み込む癖などです。

正しい舌の使い方が出来ていないと、歯列や歯に一定方向に余分な力がかかってしまいます。

特に舌を前に出すような動きは、上顎の前歯だけでなく、下顎の前歯も前方に押し出すことになります。
そうなると、出っ歯になるだけでなく、上下前歯がかみ合わない「開咬」とよばれる口元を作ってしまいます。

舌のお話に関しては、こちらのブログにも詳細を載せておりますので、是非ご覧ください

正しい舌の位置

咬唇癖

咬唇癖とは、読んで字のごとく、下口唇を咬みこむ癖をいいます。

下口唇を咬みこむことで、上の前歯には前方に押し出される力が働きます。
これによって、出っ歯になってしまいます。

さらに下顎の前歯は内側に押される力が働き、歯の軸が内側に傾いてしまいます。
これによって、より出っ歯が助長されてしまうこともあります。

ここまで主な後天的な要因についてお話してきましたが、当てはまるものはあったでしょうか。どれか一つだけ、ではなく複数が絡み合っていることも多くみられます。

子どもの出っ歯の治療方法とは?

矯正治療には、6-12歳頃に行われるⅠ期治療、12歳以降に行われるⅡ期治療とがあります。一般的にⅠ期治療で行われる矯正は小児矯正、Ⅱ期治療は成人矯正と呼ばれます。

今回は主にⅠ期治療で行われる出っ歯の治療方法やアプローチについてお話していきます。

正しい顎骨の成長を促す

出っ歯の治療の中でも顎の成長にアプローチし、コントロールする方法です。

例えば、上顎に比べて下顎の成長が遅いケースの場合、下顎の成長を促す必要があります。
逆に、上顎が下顎よりも成長しているケースの場合、それを抑制する必要があります。
また、狭くなってしまった歯列アーチも左右に拡大し、後に萌出してくる永久歯のスペースの確保なども行います。

小児期は上下顎ともまだ顎の成長過程にあるため、このような上下顎の成長をコントロールすることができます。

正しい歯の生え方や軸・傾き、咬合を誘導する

小児期は乳歯から永久歯への生え変わりの時期です。

顎の成長をコントロールすると同時に、永久歯の萌出位置や奥歯の咬合せを正しい位置に誘導することも行います。
こうすることで、乳歯から永久歯のスムーズな交換、安定した咬み合わせに繋げることができます。

悪習癖を取り除く

上で述べたように、出っ歯になる原因には舌や口唇の悪習癖があげられます。

顎の成長のコントロールや正しい歯や咬合の位置への誘導だけでは不十分で、やはり、この悪習癖を取り除くことが極めて重要です。

その方法として、MFT(筋機能療法)があります。
これは、口唇、頬など口腔周囲の筋肉や舌筋のトレーニングを行い、正しい使い方を習得するものです。お口周りの筋肉のバランスを良好にすることで、きれいな歯列のアーチを保つことができます。

さらに子どもの頃にしっかりトレーニングしておくことで、「後戻り」と呼ばれる、矯正治療後の歯の元の位置へ戻ろうとする動きも抑えることができます。

子どもの出っ歯の治療は「早めに」がカギ

ここまで、出っ歯の原因、治療方法についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

子どもの矯正治療は成長期を利用し顎の成長をコントロールできるというのが一番のメリットです。

顎の成長が止まった成人の出っ歯の矯正治療の場合は、上顎を後ろに下げるために抜歯が必要になることがありますが、小児期から治療をスタートすることで歯を抜かずに済む可能性もあります。

今、お子様の出っ歯や口元の突出感が少しでも気になっている方は、今回の記事を参考にしていただき、是非一度、歯科医師に相談してみてください。

早めのアプローチをすることが、少しでもお子さまの治療の負担の軽減、またより良い口元、歯並びに繋がります。



mapを見る

電話をかける