適切な噛み合わせになるよう導く子どもの矯正治療

[2022年04月19日]

こんにちはMM歯科クリニック院長の山脇です。

大人の矯正治療では行われない、”子どもの矯正治療限定の処置”があります。
それを咬合誘導(こうごうゆうどう)といいます。

咬合(こうごう)、つまり上下の歯の噛み合わせを理想的な状態に誘導する治療です。今回は、適切な噛み合わせになるよう導く子どもの矯正治療についてご説明します。

■咬合誘導とは
お子さんは、歯が生えてくる、生え変わることによって、大人、つまり永久歯の歯並びに成長していきます。

これ自体は自然なことなので、何もしなくてもいずれは永久歯の歯並びになります。

ところが、虫歯やケガ、さまざまなくせ、病気、遺伝的な要因などにより、歯並びが必ずしもきれいになるとは限りません。

歯並びが悪くする原因に関しては、下記にまとめてありますのでぜひご覧ください。

子どもの歯並びが悪くなる原因とは?治療した方がいい乳歯の歯並びについて。

そこで、お子さんの永久歯の歯並びがきれいな状態になるように、お子さんの噛み合わせを適切な状態に向けて育てていくのが、咬合誘導です。

お子さんの矯正治療は、噛み合わせを適切な状態に導いていくことによって、きれいな永久歯の歯並びを得るという点が、大人の矯正治療との大きな違いになります。

○咬合誘導の方法
咬合誘導は、実は固有の治療法の名前ではありません。
咬合誘導の方法はひとつだけではなく、いろいろな方法があります。
マウスピースタイプの矯正装置で、お口に関係する筋肉のバランスを整える治療もあれば、取り外しできる床タイプの矯正装置や固定式の矯正装置で顎の骨を広げる治療もあります。

もちろん、一般的な矯正装置のようなワイヤーを使った歯並びを整える治療もないわけではありません。

咬合誘導では、年齢と歯やお口の状態によって、さまざまな治療を選ぶことで、将来的に理想的な歯並びになっていくようにします。

■咬合誘導は2種
一言で咬合誘導と言っても、「静的咬合誘導」と「動的咬合誘導」の2種類あります。

○静的咬合誘導
静的咬合誘導は、歯並びの異常が発生する前に、歯並びが悪くならないように噛み合わせを導いていく治療です。

こう書いてもよくわからないですよね。

例えば、歯並びを診たとき、受け口や出っ歯などの異常がない、けれども、口で息をする癖、爪や唇を噛む癖があるというときが対象となります。

口で呼吸する癖や爪や唇を噛む癖は、歯並びを悪くすることが明らかになっています。

そこで、現時点では歯並びに異常はなくても、将来悪くなる可能性があるため、このような癖を治療し、将来、噛み合わせが悪くならないようにしようというわけです。

このほか、歯が抜けた後に、隣の歯が寄ってこないようにする処置も静的咬合誘導のひとつです。

受動的咬合誘導という言い方をすることもありますが、同じ意味です。

○動的咬合誘導
動的咬合誘導は、歯並びの異常を早い段階で見つけ出し、さらなる悪化を防ぐと同時に、理想的な噛み合わせになるように噛み合わせを導いていく治療です。

こちらは、ワイヤーなどの矯正装置を使って、歯並びが本格的に悪くなる前に、そうならないように整えていきます。

矯正装置を使うため、能動的咬合誘導ということもあります。
動的咬合誘導は一見すると大人の矯正治療と似ていますが、大人の矯正治療は一旦完成した永久歯の歯並びを整えていきます。

一方、動的咬合誘導は、すでに生えた永久歯の位置を整えると同時に、これから生えてくる永久歯がきれい生えてくるようにします。

歯列不正の予防を図っているかどうかが、動的咬合誘導と大人の矯正治療の大きな違いです。

■子どもの頃に咬合誘導を行う利点
歯や顎などお口に関係する成長発育は、おおむね20歳ごろまで続きます。
もちろん、個人差はありますし、場所によっては10歳ごろには成長発育が完了するところもあります。

○矯正装置がなくてもきれいな歯並びになることもある
成長発育が完了する前の時点であれば、適切な時期に咬合誘導を行うことで、症状の程度によっては矯正装置を使うことなく、理想的な噛み合わせにできることもあります。

例えば、ジスキングという処置です。
ジスキングは、歯と歯の間をヤスリのようなもので少し削る処置で、特殊な矯正装置は使いません。

もし、歯と歯の間が狭すぎると、永久歯が生えてこようとしても、スペースが足りずきれいに並ぶことができません。

けれど、足りないスペースがごくわずかだけというとき、ジスキングにより乳歯のサイドを軽く削ってスペースを少し広げるだけで、永久歯がきれいに並ぶことがあります。

○顎の骨の成長をコントロールできる
成長発育時期であれば、顎の骨自体の成長方向をコントロールして、理想的な形になるようにすることも可能です。

下顎骨が前に大きく成長しすぎる骨格性の下顎前突症という病気は、大人になってからでは顎の骨切り手術をするしか治す方法はありません。
咬合誘導を受ければ、顎の骨の成長をコントロールすることで、骨格性の異常を防ぐことができます。

○歯並びを悪くする癖を治せる
静的咬合誘導のところでお話ししたように、口で息をする口呼吸や、爪を噛む癖、もしくは唇を噛む癖など、お口に認められるさまざまな癖は、歯並びを悪くする原因となります。

大人の矯正治療でも、やはりこうした癖を解消しようとするのですが、長年続く癖はなかなか治せません。

子どもは慣れが早いので、咬合誘導を通してこうした癖に早く気がつけば、歯並びに悪影響を及ぼす前に改善できます。

○虫歯のリスクを減らせる
虫歯も歯並びを悪くする原因の一つです。

咬合調整では、歯並びを悪くする原因をひとつひとつ取り除き、理想的な歯並びになるように導くわけですから、虫歯の予防も欠かせません。

歯のクリーニングやフッ化物などによる虫歯予防に加え、定期的に歯の状態をチェックすることで、たとえ虫歯になったとしても早期発見早期治療が可能です。
虫歯のリスクを減らせるのも咬合誘導の利点のひとつです。

■まとめ
今回は、子どもの矯正治療の特徴である咬合誘導についてお話ししました。

咬合誘導とは、将来的な歯並びの悪化を予防しようとするところが、大人の矯正治療との大きな違いです。

子どもの頃から咬合誘導には、大人の矯正治療にはない数多くの利点があります。
咬合誘導は、早い時期から始める方がより効果的です。

理想的には、乳歯の歯並びの段階からです。

当院でも、お子さんの歯並びの治療を積極的に行なっています。
お子さんの歯並びが将来的に乱れないように、当院で一緒にお子さんの噛み合わせを導いていきませんか?



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