診療中によく聞かれる質問3選に答えてみました
[2022年06月14日]
治療を受けていると疑問点が出ることは多いと思います。今回はよく患者さんから質問されることに絞ってまとめてみました。
よくある質問は皆さんが抱く疑問
今回は診療を行っていて患者さんからよく聞かれることをピックアップしてみました。治療を現在している方や今まで治療を受けていた方も知らないことがあるかもしれません。今回の問いに答えられるか試してみてください。
【目次】
・歯を磨いているのに虫歯になるのはなぜ?
・神経を取り除いた歯が痛くなるのはなぜ?
・自費と保険の治療の差はなに?
・まとめ
歯を磨いているのに虫歯になるのはなぜ?
殆どの方は1日に数回歯を磨くと思います。しかし、中には毎食後3回磨いているのに虫歯になってしまう方もいます。虫歯になるのは、①歯があり②細菌がいて③細菌に利用される糖があるからです。それぞれについてアプローチが可能であれば虫歯に対するリスクを減らすことが可能となります。
① 歯に対しては、フッ素含有の歯磨き粉を使用することが最たる例です。歯の質の向上に繋がります。その他の注意事項として唾液の量や質が挙げられます。唾液は保護や洗浄などの役割があります。唾液量が少なく口が乾きやすいと感じている方は一度唾液量の検査や唾液の酸を中和する力(緩衝能)の検査を行った方が良いかもしれません。
② 細菌は口腔内に常在しているので、菌の量を減らす事を目指すことになります。ここで皆さんが行う歯磨きが重要な役目を担うことになります。歯には3大不潔域があります。歯と歯茎の境目、歯の咬む面にある溝、そして歯と歯の間(コンタクト)になります。時間をかけても掃除の不得意部位は磨けていない場合があります。どの程度自分が磨けているか子供の時に行った染め出しという方法でどの程度汚れが取れているか確認してもいいかもしれません。磨けている場所とそうでない場所を自分で把握することは重要な事です。3大不潔域の1つのコンタクトの部位は歯ブラシだけでは基本的に磨けません。フロスなどを使用して汚れを落としましょう。
③ 細菌に利用される糖は果糖やショ糖などが挙げられます。これらを改善するには細菌に代謝されない糖を利用することが対策になります。キシリトールに代表される糖アルコールやアスパルテームなどの人工甘味料はそれに相当します。キシリトールはガムで使用され、唾液の分泌も促進されることから虫歯予防の観点から有用であると考えられます。
以上が虫歯に対しての解決策です。
自分で出来ている事や改善したほうが良い部分があればぜひ活かしてみてください!
神経を取り除いた歯が痛くなるのはなぜ?
結論を先にお話すると、歯の中の神経はもうないが、周囲の骨や歯茎に炎症を起こすと痛みが起こるためです。
細かく説明していきます。
前提として、歯の神経を取り除いて被せをしている歯でも虫歯になります。被せ物と自分の歯の境から虫歯が入り込むことは珍しくありません。歯の神経を除去している場合は、仮に大きく虫歯が進んでも痛みが出ません。
しかし、根の先が炎症を起こしたり、化膿したりすると話は別です。
それにより何もしなくても痛くなる場合や咬むと痛くなる場合があります。そうなってから歯科医院を受診される方は比較的多いです。治療した後の歯が痛むことになるので治療に対して不信感を抱くと思いますが、実際に起こりえる事象です。中には歯が割れてしまっているケースもあり、状況によっては抜歯をせざる得ない時もあります。
我慢していても痛みが引かないことが多いので、おかしいと思ったら早めに受診するようにしましょう。
自費と保険の治療の差はなに?
結論は、保険でも大体の治療は行えますが、自費と保険では材料が異なり、自費では材料の制約がない形になっています。
保険治療は治療のほとんどを網羅している状況です。
保険でも最近は詰め物も被せ物も白くすることが出来るようになりました。咬み合わせの状況や歯の残っている状態にもよりますが、金属を使用しないケースが増えてきています。
それであれば、わざわざ自費の治療を受ける必要があるのかという疑問も出ると思います。
基本的に保険治療は保険で認められている処置や材料を用いることになります。
一方、自費では金属にも金(Au)を使ったものやジルコニアという材料がありますが、それらは保険で使用できません。
従って、保険治療から逸れた治療はすべて自費になります。自費の材料は表面性状が滑沢であったり、強度が強かったりと保険治療で使用できる材料と比較して物性が良いことが多いです。それに伴い汚れにくい(菌が付きにくい)、壊れにくいという利点が挙げられます。入れ歯にも材料の決まりがあるので、もっと床の部分を薄くしたいなどの要望がある場合は自費の入れ歯を検討することになります。入れ歯も自費であれば金属を床の材料に用いることが出来るようになり、薄くて壊れにくい入れ歯を作成できるようになります。
まとめ
よく聞かれる質問を簡単にまとめてみました。治療においての疑問はなるべく歯科医師や歯科衛生士に聞くことが大切です。勿論1回ですべて覚えることは困難なので、特に聞きたいことを少しずつ聞いて整理していきましょう。