舌の下が腫れてきたら、もしかしたらガマ腫かも

[2024年08月29日]

お口の中にはさまざまな病気が起こります。
中には、舌の下が腫れてくる病気があります。
舌の下が腫れる病気の中で代表的なもののひとつが、ガマ腫です。
ガマ腫とはあまり聞きなれない病気だと思いますが、若い方に多い病気です。
今回は、ガマ腫についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただけると、ガマ腫がどのような病気なのか、どのようにして治すのかがお分かりいただけると思います。

目次

ガマ腫について

まず、ガマ腫という病気について説明します。

◆ガマ腫とは

ガマ腫とは、舌の下がドーム状に腫れる病気です。
ドーム状に腫れてくるので腫瘍の一種と思われがちですが、ガマ腫の中身は唾液なので腫瘍ではありません。

◆名前の由来

ガマ腫という名前の”ガマ”は、ガマガエルの”ガマ”です。
腫れ具合がガマガエルが喉を膨らませたときの形に似ているのでこのような名前がつけられたそうです。
正式な病名は、粘液貯留嚢胞です。

◆原因

お口を潤している唾液は、主に顎下腺、舌下腺、耳下腺という唾液腺から出ています。
このうち顎下腺と舌下腺の出口は、舌の下にあります。
ガマ腫の原因は、顎下腺や舌下腺の出口が塞がってしまい、唾液が出せなくなることです。
唾液の出口が塞がる原因は、歯ブラシなどで傷つけたということもあるでしょうし、やけどということもあるかもしれず、一定ではありません。

◆症状

舌の下がドーム状に腫れるのが90%以上と大部分を占めていますが、中には顎の下が腫れることがあります。
痛むことはほとんどなく、見た目の変化で気づくことが多いです。
大きいガマ腫の場合は、舌が上に押し上げられることもあります。
小さい場合は、痛みを伴わないので、腫れていても気づかず、歯科医院で偶然に発見されるということも珍しくありません。
ある程度大きくなると、自然に潰れて萎むこともありますが、時間が経つと再び腫れてきます。

◆できやすい人

ガマ腫は、10~20代の女性の方にできやすい傾向が見られます。
15歳以下のお子さんにも比較的よく見られますので、舌の下が腫れたということで小児歯科にご相談にお越しになる方もしばしばいらっしゃいます。

ガマ腫の治療法

ガマ腫の治療法は、いくつかあります。

◆開窓術

ガマ腫の治療法は、歯科では一般的に開窓術という外科手術が選ばれることが多いです。
外科手術といっても、局所麻酔で行われる手術なので入院の必要はありません。
開窓術は、ガマ腫を取り除くのではなく、ガマ腫の頂上付近だけ取り除く処置です。
ガマ腫の一部を取り除いた後、ガーゼを詰めて穴が塞がらないようにすることもあります。
ガマ腫の底の部分には、重要な神経や血管が走っているので、ガマ腫全体を取り除くのはリスクが高いです。
開窓術では、リスクの高い底の部分を残すことで、神経や血管を傷つけるリスクを最小限にとどめ、開いた部分から唾液が流れ出すことで、自然にガマ腫が消えていくようにします。

◆OK-432注入法

こちらは外科手術ではなく、薬を使った治療法です。

OK-432とは

OK-432とは、ピシバニール®︎という薬の別名です。
ピシバニールは日本で開発された細菌から作られた抗がん剤です。
OKとは、開発者の岡本博士と越村博士のイニシャルと言われています。
抗がん剤とは言いながらも、がんを効果的に縮小させる効果はあまりありません。

OK-432注入法とは

OK-432注入法は、ガマ腫などの嚢胞の中にOK-432を入れる治療法です。
嚢胞とは、内部が液状のもので満たされたできもののことです。
前述したように、ガマ腫も粘液貯留嚢胞という嚢胞の一つです。
嚢胞の中にOK-432を入れると、もともと細菌から作られた薬というだけあって、細菌感染が生じたような炎症症状が起こります。
炎症症状を契機として、自然に嚢胞が治っていきます。
1回の注入で半分くらいの方が治ります。
この作用を利用して、ガマ腫の中にOK-432を入れると、4~6週間でほぼ100%のガマ腫が治る、もしくは50%以上小さくなります。

OK-432注入法の診療科

OK-432注入法は、歯科では行われていません。
OK-432注入法が受けられるのは耳鼻咽喉科です。
この治療法を希望なさる方は、耳鼻咽喉科を受診する必要があります。

◆唾液腺の摘出術

開窓術を行なっても何度も繰り返すようなガマ腫では、原因となっている唾液腺自体を取り除きます。
唾液腺を取り出すのは侵襲が大きいので、なかなか治らないガマ腫にだけ行われ、治療法の第一選択とはなりません。

治療後の再発について

ガマ腫は出口を失った唾液が原因で腫れたものです。
ガマ腫の治療を行なっても、唾液の出口が再び失われてしまうと再発することがあります。

まとめ

今回は、ガマ腫という舌の下が腫れる病気について解説しました。
ガマ腫は10~20代の女性に多い病気です。
10代前半のお子さんにできることも珍しくありません。

ガマ腫は、痛みなどの自覚症状はありませんが、潰れても再発することが多いですし、大きくなると舌が持ち上げられ、その動きに影響することもあります。

当院は、お子さんのガマ腫の専門知識や治療経験の豊富な歯科医院です。
舌の下が腫れてきたという場合は、ガマ腫の可能性も考えられます。
ガマ腫が疑わしい方、相談したい方は、ぜひ当院にお越しください。



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