矮小歯がある場合の矯正治療

[2025年01月19日]

矮小歯(わいしょうし)とは?

矮小歯(わいしょうし)とは、正常な歯のサイズよりも小さい歯のことを指します。主に生まれつき発育がうまくいかなかったことによって生じるもので、形が異常であったり、他の歯と比較して目立つほど小さかったりすることが特徴です。

◆矮小歯の出現部位

矮小歯は特に上顎側切歯(上の前歯の真ん中2本の横の歯)や第三大臼歯(親知らず)に見られることが多いです。

◆矮小歯の形

とがった形(先尖形歯)や、不完全に発育した小さい形をしていることが多いです。

矮小歯の原因

矮小歯の原因は、生まれつきである「先天的要因」と環境が関連する「後天的要因」に分けられます。それぞれが単独で影響を与える場合もあれば、複数の要因が絡み合うこともあります。

◆先天的要因

主な先天的要因には以下のものがあります。

遺伝

矮小歯は主に遺伝的な影響を受けることが多く、家族で矮小歯を持つ人がいると、同じような歯の形や大きさになることがあります。

発育異常

胎児期の歯の発育過程で何らかの異常が起こると、歯のサイズが小さくなることがあります。

特定の疾患や症候群

一部の全身疾患や症候群(例: ダウン症やクルーゾン症候群など)では、矮小歯が見られることがあります。

◆後天的要因

生まれた後に受けた外からの影響が歯の大きさや形に関与する場合もあります。主な後天的要因としては以下のものがあります。

外傷

乳歯や永久歯の発育中に受けた怪我が、矮小歯を引き起こすことがあります。

感染症

歯の発育期間中に感染症にかかると、歯の大きさや形に影響が出ることがあります。

栄養不良

発育期の栄養不足が、歯の形成に影響を与える場合もあります。

矮小歯は治療したほうがよい?

矮小歯は必ず治療しなければならないわけではありませんが、場合によっては治療を検討した方が良い場合があります。矮小歯の位置や程度、周囲の歯や噛み合わせへの影響、見た目の希望などによって治療の必要性が変わります。以下に、治療を検討すべき場合と治療をしなくても良い場合についてまとめました。

◆治療を検討した方が良い場合

  • 見た目が気になる場合
    特に前歯に矮小歯があると、笑ったときや話しているときに目立つため、見た目の改善を目的として治療を選ぶ方が多いです。
  • 噛み合わせに問題がある場合
    矮小歯があると、隣の歯が倒れ込んだり、噛む力が不均等にかかったりすることがあります。この場合、矯正治療や補綴治療でバランスを整えることが勧められます。
  • 矯正治療を行う場合
    矮小歯が矯正治療後の歯の並び方のバランスや噛み合わせに影響を与えたり、治療計画に影響を与える場合、スペースを調整してサイズを補うことが必要になることがあります。
  • 隣の歯に影響を与える場合
    矮小歯のサイズが小さいために隣り合う歯の健康や位置に悪影響を及ぼす場合、治療することで影響を最小限にします。

◆治療しなくても良い場合

  • 機能や見た目の問題がない場合
    矮小歯があっても、噛み合わせや見た目に支障がなく、健康状態が維持されている場合は治療の必要がありません。
  • 自分自身が気にしていない場合
    見た目や機能に問題があっても、本人が矮小歯を気にしていない場合、もしくは治療を希望しない場合は無理に治療を行う必要はありません。ただし、定期的な歯科検診で経過を観察することは大切です。

矮小歯の治療法

矮小歯がある場合、放置すると噛み合わせや見た目に影響を与える可能性があります。しかし、適切な治療を行うことでこれらの問題を改善できます。以下に、矮小歯に対する一般的な対応方法をまとめました。

◆矯正治療

矮小歯は小さいため、その後ろの歯が前に移動してきてしまい、下の歯とのかみ合わせが崩れ、全体のバランスを崩している場合があります。その場合、矯正治療によって矮小歯の前後に適切なスペースを確保し、上下の歯並びを整えます。

◆補綴(ほてつ)治療

矮小歯にかぶせ物や詰め物をすることを「補綴治療」といいます。補綴治療にはいくつかのやりかたがあります。

コンポジットレジン修復

歯科用の樹脂を用いて、矮小歯を正常なサイズに近づけます。比較的歯を削ることが少なく、短期間で行える方法です。

ラミネートベニア

歯の表面を削って型取りをし、薄いセラミックの板を貼り付けて、矮小歯の形を整えます。

クラウン

矮小歯全体を一周削り、型取りをして被せ物で覆い、形や大きさを正常に修正します。

インプラントやブリッジや入れ歯

矮小歯が根も短かったりむし歯になっていたりと抜歯の対象になる場合、歯のなくなったとこにはインプラントやブリッジや入れ歯を選択することがあります。これは通常の他の歯を失ったときの治療法と同様です。

矮小歯の治療をしない場合の注意点

矮小歯をそのままにしておく場合の影響を知っておくことが大切です。

◆定期的な経過観察が必要

矮小歯が周囲の歯や噛み合わせに影響を与えていないか、定期的に歯科検診を受けてチェックします。矮小歯が噛む力を十分に支えられず、他の歯に負担をかけることがあります。

◆口腔衛生に気を付ける

矮小歯の形状によっては汚れが溜まりやすい場合があるため、特に丁寧な歯磨きが重要です。

◆将来の治療に備える

今は問題がなくても、将来的に噛み合わせや見た目の問題が生じた場合に治療を検討する準備をしておきましょう。矮小歯が原因で矯正計画が複雑になることがあります。

まとめ

矮小歯があると、見た目や噛み合わせのバランスが崩れる場合があります。しかし、矮小歯がある場合でも、適切な矯正や補綴治療を行うことで、機能の面や見た目の面の改善が可能です。原因に応じた対処法を知ることが、適切な治療の第一歩です。



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