生えたばかりの永久歯にできた白斑は一体なに?
[2024年04月27日]
生えてきて間がない永久歯を幼弱永久歯といいます。
幼弱永久歯の表面には、しばしば白い斑点状の模様が生じます。
痛みのような自覚症状もなく、虫歯のような穴もないのですが、実はこの白い斑点、歯の健康の大敵です。
今回は、生えて間がない永久歯に生じた白い斑点状の模様についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただければ、白い斑点の正体と、認めた時の対処法がお分かりいただけると思います。
目次
◯幼弱永久歯とは
◯白い斑点について
◆ 白い斑点の正体
◆ 白い斑点ができるメカニズム
◆ 生えたばかりの歯が白くなりやすい理由
◆ 白斑ができやすい時期
◆ 白い斑点の変色
◆ 白い斑点のその後
◯白い斑点の治療法
◆ 小児歯科での対応
◆ ブラッシングの改善
◆ フッ素塗布
◆ 食生活の見直し
◯セルフケアでの対応
◆ 歯磨き
◆ フッ素入り歯磨き剤の利用
◆ フッ素入り洗口液の利用
◯まとめ
幼弱永久歯とは
幼弱永久歯は、生えて間がない頃の永久歯です。
おおむね歯根ができるまでの間の永久歯を指すので、およそ生えてから3年前後の歯をいいます。
白い斑点について
今回のテーマである白い斑点について解説します。
白い斑点の正体
生えてきたばかりの永久歯についた白い斑点の正体、それは、虫歯です。
実は、虫歯になったときに現れる最初の症状が、この白い斑点です。
虫歯の進行具合は、軽症からCO、C1、C2、C3、C4に分けられます。
白い斑点は、CO(caries observation)に当たる段階です。
白い斑点ができるメカニズム
虫歯は、ストレプトコッカス・ミュータンスに代表されるさまざまな虫歯菌が作り出す乳酸によって歯が溶かされていく病気です。
歯の最も外側の部分は、半透明のエナメル質でできています。
エナメル質は、体の中で最も硬い組織なのですが、乳酸には弱く溶かされてしまいます。
こうして虫歯が進みます。
エナメル質が溶かされ始めると、まずエナメル質の結晶成分が壊され、表面が荒れます。
この状態を脱灰と言います。
脱灰されると、半透明のエナメル質がすりガラスのようになり、透明感が失われ、濃い白い模様になってしまうというわけです。
生えたばかりの歯が白くなりやすい理由
生えたばかりの新しい永久歯に白い斑点ができやすいのには理由があります。
永久歯に限らず乳歯もそうなのですが、生えて間がない歯は、歯の結晶構造を形作る石灰化が進んでいません。
このため、歯そのものがやわらかく、虫歯菌が作り出した酸に溶かされやすいのです。
生えてから時間が経つにつれて、石灰化が進みますので、歯はどんどん強くなり次第に虫歯にもなりにくくなってきます。
白斑ができやすい時期
では、歯は生えてからどれくらい経つと強くなり、虫歯になりにくくなるのかというもっともな疑問を抱く方もいらっしゃると思います。
その答えは、生えてから2〜3年ごろです。
生えてから2〜3年以内は、虫歯になりやすい時期なので、なんとかこの時期を乗り越えるようにしたいものですね。
白い斑点の変色
生えたばかりの永久歯に現れた白い斑点は、ずっと同じ白さとは限りません。
時間の経過にともなって、白色から褐色に変色することがあります。
これは、虫歯が進行したからではありません。
この変色は、脱灰されて荒れた部分に、着色物質などが沈着することによって生じたものです。
穴になっていなければ、慌てる必要はありません。
白い斑点のその後
白い斑点のところは虫歯の初期段階なので、そのまま進むと歯に穴があき、一般的にイメージされる虫歯になります。
白い斑点の治療法
白い斑点が現れたとき、どのようにすればいいのでしょうか。
小児歯科での対応
白い斑点は虫歯なのですが、ごく初期の段階なので、普通の虫歯のように削って詰める治療は行われません。
多くの場合、歯やお口をきれいに保っていれば、自然に治るからです。
そこで、白い斑点を認めた場合、小児歯科では次のように対処します。
ブラッシングの改善
歯磨きがしっかりできているかどうかを確認します。
専用の染色液で磨き残し部分を染め出すこともあります。
磨き残しのあるところを見ていただき、歯ブラシに加え、歯間ブラシやデンタルフロスの使い方、選び方も説明します。
ご本人だけでは難しい場合、保護者の方にも仕上げ磨きの方法を解説します。
フッ素塗布
フッ素は、虫歯予防にとても効果的です。
白い白斑のようなごく初期の虫歯に対しては、溶かされて荒くなった部分が元に戻る再石灰化を進める効果もあります。
歯科医院では、フッ素塗布という歯に直接フッ素を塗る処置を行なっています。
フッ素の利用法は、フッ素入り歯磨き剤やフッ素入り洗口液という方法もありますが、白い白斑に最も効果があるのはフッ素塗布です。
フッ素を歯に塗ると、再石灰化の過程でフッ素が効果的に歯の構造に取り込まれるからです。
食生活の見直し
甘いものをたくさん食べる、ダラダラ食べる、間食の回数が多いなど、食生活に問題が認められる場合は、食生活の見直しもします。
甘いものをたくさん食べると虫歯になりやすいのはご存知と思いますが、”ダラダラ食べ”や、”間食の回数”も虫歯に強く関係しているからです。
セルフケアでの対応
小児歯科での対応だけでは、白い斑点の解消は難しいです。
日常の歯のケアがとても重要です。
歯磨き
基本となるのが、歯磨きです。
毎食後、歯をきれいに磨くようにしてください。
歯ブラシで歯の表面を磨くだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスで歯と歯の間も磨いてください。
保護者の方の仕上げ磨きも重要ですので、お願いします。
フッ素入り歯磨き剤の利用
普段の歯磨きのとき、歯磨き剤をお使いになっていると思います。
ぜひ、フッ素入り歯磨き剤をお使いください。
1450ppmという高濃度タイプが虫歯予防に効果が高くおすすめなのですが、6歳未満の方には使えないので、6歳未満の方は950ppmのタイプをご使用ください。
フッ素入り洗口液の利用
フッ素入り洗口液を定期的に使ってください。
フッ素入り歯磨き剤との相乗効果が得られ、より効果的です。
まとめ
今回は、生えて間がない頃の永久歯に生じた白い斑点状の模様についてお話ししました。
白い斑点の正体は、ごく初期の虫歯です。
ごく初期の虫歯なら、削って治さなくても、自然に治ることが期待できます。
そのためには、歯やお口をきれいに保つこと、フッ素を利用することが大切です。
お子さんの歯に白い斑点ができたけれど、痛みもないからと放置することは、虫歯の進行を進めてしまうので、避けた方が安心です。
お子さんの歯に白い斑点を見つけたら、早めに歯科医院で見てもらうことをおすすめします。
当院は、お子さんの虫歯治療の専門知識や経験の豊富な歯科医院です。
もし、お子さんの歯に今までと異なるものが見つかったら、当院でぜひご相談ください。