歯茎が下がる原因は?

[2024年07月11日]

皆さんこんにちは!こんばんは!
超高齢社会を迎えた日本では、患者様の歯医者さんに求めるニーズも異なってきました。ひと昔前までは、「う蝕の洪水」と呼ばれるほど、う蝕(つまり虫歯)が大流行し、虫歯を治療することが歯科医師の使命とまで認識されていました。

しかし、近年、口腔内の健康が、全身の健康や、健康寿命と大きな関係があることが明らかになり、予防の大切さが認識されつつあります。それらに加え、患者様の「審美面」つまり見た目の美しさへの要求は高まりつつあります。このため、ただ治すだけではなく、「機能的に美しく治す」ことが歯科医師には求められています。

さて、年齢を重ねてくると歯茎が下がって、歯と歯の間の隙間や、根っこが見えてきたために、見た目を気にする方が多くなっています。皆さんの中にも同じような悩みを抱えて生活している方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、歯茎が下がる原因やその対処法について、お話ししていきましょう。

目次

①歯茎が下がる?〜歯肉退縮とは?~
 ー歯肉退縮とは?
 ー歯肉退縮の原因は?
②歯肉退縮によって生じる弊害
 ー審美不良
 ー知覚過敏
 ー根面う蝕
③歯肉退縮の予防・治療
 ー歯肉退縮の予防法
 ー歯肉退縮の治療法
④まとめ

歯茎が下がる?〜歯肉退縮とは?~

まずは、歯茎が下がっていくとはどういうことなのでしょうか。基本的なところから理解していきましょう。

歯肉退縮とは

歯茎が下がっていくことを歯科の専門用語では「歯肉退縮」とよびます。本来歯肉は、歯を支える歯槽骨と呼ばれる骨にくっついて存在しており、歯に近い部分では約3mmほど浮いたような状態が維持されています。この浮いている部分を遊離歯肉、骨にくっついている部分を付着歯肉と呼びます。歯肉退縮は様々な原因で歯肉がなくなり、歯の根っこの部分(歯根部)が露出している状態を指します。

歯肉退縮の原因は?

では、歯肉退縮はなぜ生じるのでしょうか?これを紐解くには、まず、歯茎の性質を理解しなければなりません。先ほど述べたように歯茎には遊離歯肉と付着歯肉の2種類があります。このうち、遊離歯肉はどんな場合であってもなくなることはありません。つまり、歯肉退縮は、付着歯肉の部分が次第に下がっていくために生じます。付着歯肉は骨の表面に張り付いている歯肉です。したがって、何らかの原因で歯の表側の骨がなくなり、支えを失った歯茎がかがってくることで、歯肉退縮が生じます。
歯の表側に骨が失われる原因は、歯周病がほとんどですが、それ以外に、過大な咬合力や矯正治療、過度なブラッシング、加齢変化などが挙げられます。

さて、まずは、歯肉退縮がどのようなもので、どのようなメカニズムで生じるのかご理解いただけたでしょうか?歯肉の健康を維持するには、健康な骨の存在が欠かせません。これは、予防の観点からも重要なことなので、是非覚えていてください。

歯肉退縮によって生じる弊害

歯肉が退縮する事によって、様々な弊害が生じます。一体どのような弊害が生じるのでしょうか。いくつか、ご紹介しましょう。

審美不良

歯茎が下がると歯の長さが長くなっているように見えます。歯が長く見えるとあまり美しい見た目とは言えないでしょう。また、歯は頭の歯冠部と、根っこの歯根部との色調が異なります。これも審美不良を引き起こす原因となっています

知覚過敏

歯茎が下がってくると、歯の根っこの部分が露出します。この部分は痛みを感じやすい象牙質が露出しているため、冷たいものや熱いものを飲んだり食べたりした時の温度刺激や、ブラッシングなどの刺激によって、痛みや凍みの症状を感じやすくなります。

根面う蝕

虫歯は、咬む面や歯と歯の間によくできます。しかし、それ以外に、歯茎が下がって露出している状態だと、歯の根っこの象牙質に輪っか状に虫歯が生じることがあります。これを根面う蝕と呼びます。
歯茎が下がった状態では、健康な人ではできない部分に虫歯が生じ、治療が必要になることも少なくありません。

このように、歯肉退縮によって引き起こされる症状は様々です。特に、奥歯などでは、自覚症状に乏しく、進行してしまう場合もあります。気をつけたいですね。

歯肉退縮に対する治療・予防

ここまでの話を聞いて、歯肉退縮は治療できないのか?と考える人もいると思います。また、予防することはできないのか?と考える人もいることでしょう。結論から言うと、歯肉退縮を予防・治療することは可能です。ただし、加齢変化で生理現象は予防することが困難であること、全ての状態で治療が成功するとは限らないことはご承知置きください。

歯肉退縮の予防法

最初に述べたように、歯肉は歯槽骨にくっついて存在します。健康な骨がなければ歯肉が退縮します。ですので、健康な骨の高さをキープすることが、最も重要です。つまり、適切なブラッシングを行うことで、歯周病を予防し、骨が吸収しないような環境を整えることが重要です。

歯肉退縮の治療

一度起きてしまった歯肉退縮を治すこともできます。ただし、歯周病によって失われた骨を再生することが必要です。それだけでなく、歯肉と歯槽骨をくっつけさせるために必要な結合組織を他の部位から移植しなければなりません。移植した結合組織を固定し、正着すれば、歯肉の退縮を治療することが可能です。
いずれにせよ、かなり高度で専門的な治療が必要になります。

詳しい手術方法などは記載しませんが、歯肉退縮の治療は、専門的な治療が必要になることも多くあります。お悩みの際は、ぜひ歯科医院を受診してみてください。

まとめ

さて今回は、歯肉退縮の予防・治療についてお話ししました。歯肉退縮は加齢によって生じることもあり、治療には専門的な知識や技術が必要です。お悩みの方はお気軽に歯科医院を受診し、相談してみて下さい。



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