歯科医師とのコミュニケーション方法 〜納得した治療を受けるために〜

[2025年03月14日]

近年、歯科に限らず、医療分野では患者さんに丁寧に説明し、納得して治療を受けてもらうことをとても重要視しています。
特に、歯科治療は主に後戻りのできない治療であり、やってみて「やっぱり思っていたのと違ったから元に戻す」ことはできません。
また、歯科治療は健康保険での診療と自費診療が混在し、費用も高額になる場合があります。
納得して治療を受ける為に大切なのは、お互いの思いを照らし合わせゴールを同じにすることです。
しかし、歯科医師が説明する内容と、患者さんが聞きたいことがいつも同じとは限りません。
この記事では、歯科治療を納得して受けるためのポイントを解説していきます。

【目次】

  • ◯歯科治療について
    •  ◆歯科治療の特徴
    •  ◆不可逆的な処置が多い
    •  ◆痛みを伴う治療が多い
    •  ◆痛みがなくても病状が進行している場合がある
    •  ◆体の中で一番敏感な部位の治療を行なう
    •  ◆治療している・した箇所を直接見られない場合がある
    •  ◆健康保険での診療と自費診療が混在している
  • ◯歯科医師が治療中に考えていること
  • ◯どんなことを質問したらよいか
    • 治療の流れ(来院回数など)
    • 治療の選択肢がある場合は、それぞれのメリット・デメリット
  • ◯まとめ

歯科治療とは

歯科治療の特徴を知り、患者さんに知っておいてもらいたいことを理解することで、より質問がしやすくなるかと思います。
以下に歯科治療の特徴を挙げていきます。

◆ 歯科治療の特徴

  • 不可逆的な処置が多い
  • 痛みを伴う治療が多い
  • 痛みがなくても病状が進行している場合がある
  • 体の中で一番敏感な部位の治療を行なう
  • 治療している・した箇所を直接見られない場合がある
  • 健康保険での診療と自費診療が混在している

◆ 不可逆的な処置が多い

歯は、一度削ると元には戻りません。
むし歯を削って詰める処置は治癒というよりも修復に近い方法です。
治療前と全く同じ状態に戻すことは基本的には難しいと考えられます。

◆ 痛みを伴う治療が多い

歯は、受けた刺激をすべて痛みとして感じる特徴があり、むし歯を取り除く刺激も痛みとして感じます。
また、むし歯の部分をきれいに取り除いても、削り取る刺激が神経に伝わり痛みを誘発することもあります。

◆ 痛みがなくても病状が進行している場合がある

痛みがないのに、歯科医院に行ってみたら「抜歯です」と告げられることがあります。
ギリギリまで症状が見られず、気づいたときには手遅れになってしまう場合もあります。

◆ 体の中で一番敏感な部位の治療を行なう

体の中で一番敏感な器官はです。
口には、体の中に入ってくるものをチェックし危険なものは排除する役割があります。

歯科治療で使用する噛み合わせをチェックする専用の紙の厚さは10㎛であり、
髪の毛の直径は50〜100㎛です。
髪の毛一本分よりも小さい厚みを歯は感じ取ることができるのです。

◆ 治療している・した箇所を直接見られない場合がある

口の中は狭くて暗く、特に上の歯などは自分で見ることはほぼ不可能です。
最近では口の中を小さなカメラで撮影し、歯の状態を見せてくれる歯科医院も増えてきました。

◆ 健康保険での診療と自費診療が混在している

歯科治療では、同じ治療でも使う材料によって保険診療と自費診療に分かれます
そして、自費診療は基本的に高額です。

メリット、デメリットを理解した上で選択しないと、
高いお金を払ったのに満足できなかった」という結果を招く恐れがあります。

歯科医師が治療中に考えていること

歯科医師はさまざまなことを考えながら治療にあたっています。
教科書的にはこうであっても、それに該当しないケースは山とあります。
むしろ、そちらの方が多いかもしれません。
歯科医師は、基本的な方法をベースにしつつ、患者さん個人にあった最良の方法を常に考えています。

しかし、歯科医師が説明する内容と、患者さんが求めていることが必ずしも一致するとは限りません
歯科医師も、患者さんから質問されることでどこを重点的に説明したらよいか知ることができるのです。

どんなことを質問したらよいか

では、患者さんはどんなことを質問すると、より納得して治療を受けることができるのでしょうか。
ポイントは以下の2点です。

  • 治療の流れ(来院回数など)
  • 治療の選択肢がある場合は、それぞれのメリット・デメリット

◆ 治療の流れ(来院回数など)

治療の流れや来院回数は、できれば治療が始まる前に聞いた方がよい項目になります。
治療回数や通う頻度なども聞いておきましょう。

治療が始まってから、通えず途中で中止してしまうと、歯をもっと痛めてしまうこともあります。
今すぐやる必要のある治療なのか、少し時間ができてから開始しても大丈夫なのかを歯科医師と相談しておくと、スムーズに治療が進められます。

◆ 治療の選択肢がある場合は、それぞれのメリット・デメリット

歯科治療では、同じ治療でも使う材料によって健康保険と自費に分かれます
それぞれにメリット・デメリットがあり、医療者は丁寧に説明するよう心がけています。

しかし、分かりにくい部分や、自分の理解が正しいのか悩むことも多いと思います。
そんな時は、ぜひ遠慮せず質問してみてください。
歯科医師も患者さんがどれくらい理解しているか確認できるので助かります。

まとめ

患者さんからすると、

  • 「こんな質問をしたら気分を害してしまわないか」
  • 「忙しそうだからなかなか質問しづらい」

など、歯科医師に質問することに躊躇することもあるかと思います。

けれども、現在の歯科医療において、丁寧な説明と患者さんからの承諾を得ることは、治療を行う前の最重要項目となっています。

もし、どうしても歯科医師に質問できない場合は、歯科衛生士に聞いてみるのもいいでしょう。

歯科治療を受ける際は疑問点をしっかり解決し、納得して治療を受けてくださいね。



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