小児矯正と大人の矯正治療の違いを比較!!
[2022年10月28日]
こんにちは
小児矯正とは、お子さんを対象とした矯正治療です。
お子さんの矯正治療も大人の矯正治療も、歯並びをきれいに整えられた歯並びにするという点では同じです。
ところが、お子さんの矯正治療と大人の矯正治療には、いろいろな点で違いがあります。
そこで今回は、小児矯正について大人の矯正治療と比較してご説明します。
目的の違い
お子さんの矯正治療と大人の矯正治療では、治療の目的にも違いがあります。
小児矯正の目的
小児矯正の目的は、主に
①歯並びをきれいに整えること
②噛み合わせを良くすること
③口元を美しくすること
④抜歯しないですむようにすること
⑤顎の骨格も整えること
⑥歯並びを悪くする癖を治すこと
の6つです。
大人の矯正治療の目的
大人の矯正治療の主な目的は、
①歯並びをきれいに整えること
②噛み合わせを良くすること
③口元を美しくすること
の3つです。
比較すると
矯正治療の目的はお子さんの矯正治療も大人の矯正治療もほとんど同じですが、
④⑤⑥のような目的は大人の矯正治療にはありません。
これは、大人の矯正治療では得られない小児矯正だけの特徴だからです。
矯正治療の選択肢の違い
小児矯正と小児矯正では治療の選択肢にも違いがあります。
小児矯正の選択肢
お子さんの矯正治療は、大人と違って歯が並ぶ顎の骨格成長発育を利用できます。
このため、小児矯正には、さまざまな治療の選択肢があります。
①マルチブラケット矯正
マルチブラケット矯正は、歯の表面にブラケットを装着し、そこに通したワイヤーの働きで歯並びを整える矯正治療法です。
一般的によくイメージされる矯正治療法ですね。
②マウスピース矯正
マウスピースを使って歯並びを整える矯正治療法です。
小児矯正では、いろいろなタイプのマウスピースが症状に応じて使われます。
③拡大装置
拡大装置は、顎の骨格を理想的なサイズに整える矯正装置です。
歯に接着するタイプや、マウスピースのようなタイプ、ヘッドギアーというタイプなど、症状に応じたさまざまなタイプがあります。
④機能的矯正装置
マウスピースタイプの矯正装置です。
お口の周囲の筋肉の働きを利用して歯並びや顎の骨格を整えていきます。
大人の矯正治療の選択肢
大人の矯正治療では、選択肢はあまりありません。
大人の矯正治療は、マルチブラケット矯正やマウスピース矯正など治療法の種類は限定的です。
比較すると
小児矯正は、顎骨の成長発育を利用します。
顎の骨の形や大きさを整えるために、症状に応じたさまざまな矯正装置が開発されています。
このため、小児矯正は治療法の選択肢が多いです。
抜歯の必要性の違い
矯正治療で抜歯を受けたという話を聞いた方もいらっしゃるかもしれません。
矯正治療での抜歯は、歯を並べるスペースを確保することを目的としています。
小児矯正
小児矯正では、乳歯から永久歯への生え変わりに合わせて顎の骨格を整えます。
言い方を変えると、永久歯を並べるスペースを確保しながら、歯並びを整えていく治療とも言えます。
このため、歯を並べるスペースを確保するために抜歯する可能性はたいへん低いです。
大人の矯正治療
大人の矯正治療では、顎の成長発育は終わっていますので、歯を並べるスペースを確保するために顎の骨格を大きくすることはできません。
歯を並べるスペースが足りない場合には、歯を抜いてスペースを確保するほか方法はなく、多くの場合、前から4番目の第一小臼歯という歯を抜歯します。
比較すると
歯は抜いてしまうと、元には戻りませんし、基本的にいらない歯はないものです。
小児矯正なら、大切な歯を残しながら、歯並びもきれいに整えられるというメリットがありますが、大人の矯正治療ではそうではありません。
顎の骨格の改善法の違い
歯列不正の原因が、顎の骨格にある場合の対処法も小児矯正と大人の矯正では違います。
小児矯正
ヒトの顎の骨格がどのようにして成長していくのか、そのプロセスは既に解明されています。
そして、そのプロセスをどのように利用すれば、顎の骨格を理想的な状態にできるのかも明らかになっています。
そこで、小児矯正では、顎の骨格に異常がある場合、拡大装置や機能的矯正装置を使って、顎の骨格の形やサイズを整えます。
大人の矯正治療
大人の矯正治療では、顎の骨格の成長発育は終了しています。
したがって、小児矯正のように成長方向をコントロールして理想的な顎の骨格を得るという方法は使えません。
大人の歯列不正で顎の骨格自体に問題があるケースは、顎変形症とよばれます。
顎変形症では、顎矯正手術という顎の骨格を矯正する外科手術を行なって、顎の骨格を整えます。
顎矯正手術は、入院して全身麻酔で受ける手術なので、たいへんな手術です。
比較すると
小児矯正なら顎変形症を予防できるので、顎矯正手術を受けることなく、歯並びをきれいに整えられる可能性がありますが、大人の矯正治療では、顎変形症の場合、顎矯正手術が不可欠です。
治療期間の違い
小児矯正と大人の矯正治療では治療期間にも大きな違いがあります。
小児矯正の治療期間
小児矯正の治療は、顎の骨格の成長発育を利用します。
これがお子さんの矯正治療の特徴なのですが、このため、成長発育が終わる頃まで矯正治療が続きます。
小児矯正の治療期間は、成長発育を利用する故に、歯列不正の状態によって違いがありますが、長期に及びます。
大人の矯正治療の治療期間
大人の矯正治療では、顎の骨格の成長は終わっています。
歯を移動させて歯並びを整えていくだけなので、歯列不正の状態によって幅がありますが、治療期間はおおむね2~3年ほどです。
顎変形症で顎矯正手術という顎の骨の手術も行う場合でも、矯正治療全体の治療期間は2~3年とあまり変わりありません。
比較すると
治療期間を比べると、大人の矯正治療の方がかなり短いと言えます。
治療費の違い
お子さんの矯正治療と大人の矯正治療では、治療費にも違いがあります。
小児矯正の治療費
小児矯正は保険診療の給付の適応外となりますので、全て自費診療です。
大人の矯正治療の治療費
大人の矯正治療も、基本的には自費診療です。
ただし、顎変形症の治療は、保険診療の給付の対象です。
お子さんの矯正治療の目的のひとつは、顎の骨格の異常を防ぐことです。
言い方を変えると小児矯正は顎変形症にならないようにする矯正治療なので、保険診療の給付の対象となることはありません。
比較すると
大人の矯正治療なら、保険診療の給付の対象となる可能性がありますが、小児矯正ではそのようなことはありません。
まとめ
今回は、小児矯正について、大人の矯正治療との違いを比較しながらご説明しました。
両者を比較すると、
①小児矯正には歯並びを整える以外にも目的がある
②小児矯正の方が選択肢が多い
③小児矯正なら抜歯の必要性を避けられる
④小児矯正なら骨格も自然に整えられる
⑤治療期間は小児矯正の方が長い
⑥大人の矯正治療では、保険診療の給付が得られるケースがある
などの違いがあります。
このため、小児矯正には大人の矯正治療と異なる専門知識や経験が欠かせません。
当院は、小児矯正の専門知識に加え、豊富な治療経験を有していますので、お子様の矯正治療をお考えの方は、当院でぜひご相談ください。