子供の重大アクシデント(歯の外傷と誤飲と窒息)
[2024年03月06日]
子供はその成長から歯の外傷や予期せぬ事故がつきものです。
中には命に関わることもあるので、親御さんは特に気をつけなくてはいけないものも存在します。
今回は歯科でよく見かける外傷と家庭で起こりうる事故の誤飲や窒息について対処法も踏まえて確認していきます。
【目次】
・成長期におけるアクシデント
・小児の歯のトラブル(歯の外傷)
・小児のトラブル(誤飲と窒息)
・窒息を起こしてしまったら 対処法
・子供の救急蘇生(CPR)
・まとめ
小児の歯のトラブル(歯の外傷)
【POINT:転倒が多くスポーツで受傷することもアリ。歯茎や唇の裂傷が起こることも】
子供におけるアクシデントとして多い外傷は乳歯では1歳から3歳が多く、永久歯では7歳から9歳までが最も多いです。
乳歯の外傷の原因としては転倒が多く、衝突や転落もあります。
永久歯でも転倒が多く、衝突、転落、打撲もあります。
自転車や鉄棒、シーソーやボール遊びなどスポーツの場面で起こる事が知られています。
乳歯や永久歯ともに受傷者は口腔軟組織の損傷も伴う事が多いことが知られています。
上下の唇や小帯(唇付付近のひだ状のもの)や歯茎を受傷することがあります。
場合によっては縫合することもあります。
1、2歳の低年齢児は、歯ブラシでも口腔軟組織を傷つける事があることに注意が必要です。
小児のトラブル(誤飲と窒息)
【POINT:窒息と誤飲は命に関わります。普段から対処法を確認しておくことが大切です】
食べ物の誤飲や窒息事故も可能性として挙げられます。
こちらは命に関わる事があるので非常に気をつけなくてはいけません。
特に3歳以下の小児に起こりやすいです。
原因としては乳歯が完全に生えそろっていない状態での食事により咀嚼機能が完全ではない事。
そして、食べても良い食品かまた食べられる大きさなのか判断する能力がまだないことによるものです。
代表例として薬、化粧品、タバコ、コイン、ボタン電池など興味を引くものは何でも口に入れてしまうので、対処法として手の届かない場所に置く事が重要になります。
今までに窒息を起こし重篤な症状につながったものには、スーパーボール、ミニトマト、ピーナッツなどがあります。
食べ物であっても、気道を塞ぎ窒息を起こす可能性はあるので、切ったり潰したりして適切な大きさにする事が大切になります。
ボタン電池は食道の粘膜に炎症を起こし、場合によっては穴を開けてしまう恐れがあり非常に危険です。
窒息を起こしてしまったら〜対処法〜
【POINT:対処法を知って、万が一への対応を】
窒息を起こしてしまった場合はいくつかの方法で可能な限り早く原因物質を吐かせる必要があります。
歯科医院に来る余裕はありませんし、異物を吐かせられない場合は小児科や大学附属病院など大きな施設で診てもらう必要がでてきます。
ここからは時間との勝負になります。
ここでは異物を吐き出させる方法を紹介します。
1つ目は背部叩打法と呼ばれる方法です。
①乳児の場合はうつ伏せにして、体の下に腕を通す。
②乳児の顎を通した腕の指で軽く持ち上げ上半身がやや低くなる様な姿勢にする。
③手の付け根で両側の肩甲骨の間を4、5回早く叩くという流れです。
2つ目は胸部突き上げ法です。
①背部叩打法で原因を除去できない場合に仰向けにし、胸骨圧迫の要領で4、5回圧迫する。
②乳児の場合2本指を両方の乳首を結ぶ線と胸骨の交差する場所のやや足側に置いて圧迫する。
1歳以上の場合はハイムリック法に準じて行うこととなります。
①背後から両腕を回して子供のみぞおちまで持っていきます。
②片方の手で拳を作りみぞおちの下にあてます。
③もう片方の手のひらで拳を子供の腹部から上方に圧迫する様に動かします。
1、2の方法は異物が取れるか意識がなくなるまで繰り返す必要があります。
もし、意識がなくなった場合は直ちに119番通報を行い、心肺蘇生(CPR)を行います。
近くに助けを求められる人がいれば協力を仰ぎましょう。
子供の救急蘇生(CPR)
【POINT:命を繋ぐ蘇生法。救急車がくるまで絶え間なく行う事】
子供の救急蘇生は乳児と小児でやり方が異なります。圧迫する回数や深さ早さは変わらないので胸骨圧迫の方法だけ違いは知っておきましょう。
①反応の有無を確認する。
②反応がなければ近くの人に協力を求めて119番通報やAEDを持ってきてもらう。
③正常な呼吸をしているか確認する(10秒以内)
④正常な呼吸をしていなければ、胸骨圧迫を行う。
乳児の場合は乳首を結ぶ線と胸骨の交差する場所の指一本やや足側に置いて圧迫する。
小児の場合は片手もしくは両手で胸の真ん中を圧迫する。
圧迫の方法は強く早く絶え間なくが大切になる。
胸の厚さ1/3程度、体格によっては5㎝程度沈むまで、1分間に100回から120回のテンポで行う事が大切になる。
⑤気道の確保を行う。片手を額に、もう片方の指を顎先に当てて頭を後屈させる。
⑥人工呼吸を行う。1秒間に1回、2回行う。乳児の場合は口を大きく開けて、鼻と口を覆う様にする。
⑦胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返し行う。もし人工呼吸ができない場合は胸骨圧迫だけ繰り返す。
以上がPCRの方法となります。大人の場合もほとんど同じなので、覚えておくといざという時に役に立ちます。
まとめ
今回は小児における緊急性の高い歯科領域で起こりうるアクシデントの内容をお伝えしてきました。
外傷であれば程度によりますが命に直接関わることは少ないと思います。
しかし、窒息や誤飲は命に関わる可能性が高まります。
予防法や対処法を日頃から知っておくことが大切になります。
小児の行動は大人の想像を超えることもあり注意が必要です。