子供の歯が欠けたときの緊急対応!
[2022年10月14日]
子供は遊んでいて転んだり、ケンカをしたりして歯をぶつけて欠けることがあります。痛みを伴う場合もありますが、ぶつけた時にだけ痛みが出てその後は痛みなく経過することもあります。
歯が欠けてしまう大きさなどの状態も受傷状況により様々です。今回は歯が欠けてしまった時の対処法と放置してしまった時のリスク、また受傷後の歯の将来について確認していきます。
【目次】
・歯が欠けてしまったら
・歯が欠けた時の処置法
・歯を欠けたままにした場合と受傷後の歯の将来
・欠けた歯の保存方法
・まとめ
歯が欠けてしまったら
ワンポイント
欠けの大小にかかわらず一度受診を。治療方針は欠け具合や揺れ、痛みの有無などにより変わる。
歯が欠けてしまうことは乳歯でも、永久歯でも幼少期では起こり得ることです。年齢を重ねるごとに行動が活発になるので仕方がない一面もあります。
しかし、歯は一度かけてしまうと元に戻すことはできません。
歯の表層はエナメル質という結晶のような性質を持っています。
窓ガラスが欠けてヒビが入った場合に元に戻すことが難しいのと同じような状況です。
欠けてしまった破片を歯に戻して欲しいという希望があるかもしれませんが、出来ない場合もあります。
欠けた歯がありボロボロでなければ、受診の際に持参してもよいですが、戻せない可能性があることを理解してもらえると幸いです。
受傷後は歯の欠け具合により少し舌触りが悪くなる程度から神経が出てしまうような欠けまで幅が広いです。治療方針についても状況と症状から方針が変わってきます。
歯が欠けた時の処置法
ワンポイント
症状によって処置方針はまちまち。中には神経を取る可能性もある。
歯が欠けた場合の処置には幾つかの方法があります。
①欠けの程度が極めて小さい場合には尖っている部位を丸める程度の処置になる可能性があります。特に乳歯の場合には、本人の協力が得られないことも多く治療が満足に出来ないことも多いです。また、欠けた部位を詰めようと思っても、詰める面積が非常に小さく直ぐに取れてしまう可能性があるからです。
②少し欠けたような状況では詰める処置を検討します。詰める処置に行なわれるのはレジン充填という一般的に虫歯の処置で使用される樹脂を詰める処置です。歯の色に似通っているのでぱっと見ただけで欠けていることがわからない程度に回復することが可能になります。
③大きく欠けてしまった場合には、詰める処置が困難になる場合があります。その場合は冠を被せる処置が行われるかもしれません。神経を取るか取らないかは重要な分かれ目になります。痛みが強い場合や歯がしみる、咬んで痛みが続くなどの症状(誘発痛)が続く場合には神経を一部または全部取り除く可能性が出てきてしまいます。受傷直後であれば欠けた歯が揺れる可能性もあるので、その場合は隣の歯で固定することもあります。
以上の内容はあくまで一般的な内容ですので、実際に欠けた状況や症状から処置を決めていきます。やって欲しくないのはあまり痛みがない場合や欠けが小さいからといってそのまま放置してしまうことです。
<h2>歯を欠けたままにした場合と受傷後の歯の将来</h2>
ワンポイント
審美障害が大きな欠点かもしれないが、その他のデメリットも有る。受傷した歯は将来的に神経が壊死してしまう可能性もあり。
歯が欠ける場合はその殆どが前歯で起こります。
歯を欠けたままにした場合に起こり得ることは、見た目の問題(審美障害)が大きいかもしれません。
しかし、歯列の変化や咬み合わせの変化も将来的に考えられます。歯が欠けた場合の審美障害は起こり得るデメリットとして想像しやすいと思います。
その他にも欠けた部位が大きければ長い年月をかけて歯の移動が起こる可能性や咬み合わせが変化する場合があります。
放置しておくのはデメリットが多いです。また、受傷後の歯は治療の有無や欠けた程度、痛みの有無の既往にかかわらず、将来的に歯の神経が壊死してしまう可能性があります。
残念ながら受傷直後は神経が壊死したかどうかは不明確です。
時間が経過すると歯の色が少し濃いようなグレーのような色に変化してしまうことがあります。
痛みが出る可能性は低いのですが、受傷経験がある部位は他の歯と比較すると色に差が出てくる可能性があります。
歯の神経の壊死(歯髄壊死)が起こった場合の治療としては、壊死した神経を取り除く処置を行うことが多いです。
その後は、詰めたり、冠を被せたりする処置をします。詰める場合には見た目の色は変わらない可能性があるので、歯の漂白をすることもあります。
欠けた歯の保存方法
欠けてしまった歯はどのようにすれば良いのか。という点については欠けた歯が原形を留めているのであれば、持参していただいても良いかもしれません。
ただし、欠けた歯を元の歯に接着させることは難しい場合があります。
うまく戻せるかどうかは欠けた状況などで変わります。もしかしたら、利用できるかもしれないという気持ちで持参して頂きたいです。
持参の方法ですが、基本的に無くさないように封ができる袋などに入れて持ってきていただければ良いと思います。
根の一部まで欠けている場合は、根についている組織を温存させたいので牛乳などに入れて持参してもらう方が良いです。
しかし、根まで欠けている場合は、歯が割れている状態に近くなり残っている歯の保存が難しくなっている場合も考えられます。戻すことがより困難になると想定されます。
<h2>まとめ</h2>
今回はぶつけて欠けてしまった時の治療法などを確認してきました。ぶつけて欠けた時は処置をして一旦は終わるのですが、長期的にも確認していく必要があります。低年齢であれば親御さんが覚えておき、ある程度の年齢になった時には本人にも知っておいてもらった方が良い情報だと思います。歯髄壊死した歯は偶に根の先に炎症を持ったり、化膿することもあるので定期検診で確認してもらうようにしましょう。