子供にも医療費控除や高額療養費制度は使えるの?

[2025年04月22日]

「何かと費用がかかるなか歯科の医療費について考えてしまう」。子どもさんの歯の治療費を見て、そう感じたことはありませんか?
成長期の子供の歯は、歯並びの問題が出てきます。大人以上にケアが必要な時期です。定期的な歯科検診はもちろん、いざ治療となると、その費用も決して見過ごせるものではありません

「矯正歯科治療は保険がきかないものが多いから、医療費控除なんて関係ない」と諦めていませんか?
実は、子供の歯科治療費も、一定の条件を満たせば、医療費控除の対象となり、確定申告を行うことで支払った医療費の一部が還付される可能性があるのです。

また、保険診療の範囲内であれば、ひと月の自己負担額が上限を超えた場合に、高額療養費制度を利用して払い戻しを受けることができる場合があります。

そこで、この記事では、子供の歯科治療費に適用できる「医療費控除」と「高額療養費制度」について、分かりやすく丁寧に解説していきます。
どのような治療が対象となるのか、申請に必要な手続き、注意点などを具体的にご紹介します。

子供の大切な歯の健康を守りながら、賢く制度を活用して家計の負担を軽減できるよう、ぜひ最後までお読みください。

目次

  • ◯医療費控除や高額療養費制度
  • ◯子供の治療
  • ◯医療費控除
    •  ◆子供の歯科治療費と医療費控除
    •  ◆確定申告
  • ◯高額療養費制度
    •  ◆子供の歯科治療費と高額療養費制度
    •  ◆自己負担上限額
  • ◯医療費控除と高額療養費制度の併用
  • ◯まとめ

医療費控除や高額療養費制度

医療費控除って、どんな場合に適用されるの?」「高額療養費制度の自己負担限度額はいくらなの?」「うちの子の歯科治療は対象になるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
制度の内容は複雑に感じられ、申請方法も分かりにくいと感じるかもしれません。

子供の治療

子供の成長において、歯の健康は非常に重要です。
虫歯予防はもちろんのこと、歯並びや噛み合わせの異常は、将来的な健康にも影響を及ぼす可能性があります。

そのため、定期的な歯科検診や、必要に応じた治療は欠かせません。
しかし、親御さんにとって気になるのは、その費用

「子どもの歯の治療って、意外とお金がかかるの?」「矯正治療とかになると、高額になることもあるって聞くけど…」と、費用の面で不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際、子供の歯科治療も保険診療の対象となるものが多くありますが、自由診療となるケースも存在します。

例えば、虫歯治療や歯周病治療は保険適用されますが、歯並びを整えるための矯正治療や、審美的な目的で行われる特殊な治療などは保険適用外となることがあります。

また、保険診療であっても、治療内容によっては複数回の通院が必要となり、トータルで見ると決して安くない金額になることもあります。

医療費控除

医療費控除とは、1年間の医療費の合計額が一定額を超える場合に、所得控除を受けることができる制度です。

所得控除とは、所得税や住民税を計算する際の所得金額から差し引かれるもので、課税対象となる所得を減らすことで税負担を軽減する効果があります。

◆ 子供の歯科治療費と医療費控除

子供の歯科治療費も、この医療費控除の対象となる場合があります。

ただし、医療費控除の対象となるのは、「治療」を目的とした医療費に限られます。

具体的には、虫歯の治療歯周病の治療抜歯、そして発育段階における不正咬合の矯正治療などが該当します。

一方で、予防を目的とした歯磨き指導やフッ素塗布審美目的の歯列矯正などは、原則として医療費控除の対象外です。

◆ 確定申告

医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。

その際には、年間の医療費の領収書を保管し、医療費控除に関する明細書を作成・提出する必要があります。

控除額は、年間の医療費の合計額から保険金などで補填される金額を差し引いた額が、一定の金額(その年の総所得金額等に応じて変動しますが、一般的には10万円、または総所得金額等の5%のいずれか少ない金額)を超える場合に、その超える部分の金額となります。

直接現金が戻ってくるわけではありませんが、所得税や住民税が軽減される形で家計を助けてくれます

高額療養費制度

高額療養費制度は、1ヶ月の医療費の自己負担額が上限を超えた場合に、その超えた金額を払い戻してもらえる制度です。
これは、病気やケガで高額な医療費がかかった場合に、家計が破綻するのを防ぐためのセーフティネットとしての役割を果たします。

◆ 子供の歯科治療費と高額療養費制度

子供の歯科治療においても、保険診療の範囲内であれば、この高額療養費制度が適用される可能性があります。
例えば、入院を伴うような大きな顎の骨の手術や、複数回の外科処置が必要な場合など、1ヶ月の医療費が高額になるケースが考えられます。

◆ 自己負担上限額

高額療養費制度の自己負担上限額は、年齢や所得によって異なります。一般的に、所得が高いほど上限額も高くなります

加入している医療保険(健康保険組合、国民健康保険など)に申請することで、上限額を超えた金額が後日払い戻されます

重要なのは、保険診療が対象となる点です。自由診療となる矯正治療やインプラントなどは、この制度の対象外となります。

しかし、同じ矯正治療でも、顎変形症の手術に伴う矯正など、特定の疾患に対する治療として保険適用となる場合は、高額療養費制度の対象となります。

保険診療となる矯正治療費は、高額療養費制度の対象となります。
1ヶ月ごとの自己負担額が上限を超えた場合、超えた金額が払い戻されます

上限額は所得によって異なりますので、加入している医療保険の窓口やウェブサイトで確認しておきましょう。

事前に「限度額適用認定証」を申請しておけば、医療機関での支払いを自己負担限度額までにとどめることができ一時的な高額な支払いを避けることができます。

医療費控除と高額療養費制度の併用

同じ月に高額な保険診療の歯科治療を受け、自己負担額が上限を超えて高額療養費の払い戻しを受けた場合でも、医療費控除の対象となるのは、実際に自己負担した金額です。

払い戻された金額は、医療費の合計額から差し引いて計算します。

例えば、1ヶ月の歯科治療費が50万円で、高額療養費制度により40万円が払い戻された場合、医療費控除の対象となるのは実際に負担した10万円となります。

この10万円と年間の他の医療費を合算して、医療費控除の適用要件を満たせば、確定申告を行うことで所得控除を受けることができます

まとめ

ここまで、子供の歯科治療費に活用できる医療費控除と高額療養費制度について、その仕組みから具体的なケースまで詳しく解説してきました。

これらの制度は、医療費の負担を軽減し、子供の健やかな成長を経済的な側面からもサポートするための大切な仕組みです。

改めて強調したいのは、「知っているか知らないか」で、家計の負担が大きく変わる可能性があるということです。

これらの制度を利用するためには、ご自身で申請手続きを行う必要があります。

医療費控除の場合は、翌年の確定申告期間に税務署へ申請を行います。
高額療養費制度の場合は、加入している健康保険組合や国民健康保険などの保険者へ申請します。

申請に必要な書類や手続きは、各機関によって異なる場合がありますので、事前に確認することが大切です。

子供の歯の健康は、将来の全身の健康にも繋がる非常に重要な要素です。
経済的な心配が、必要な治療をためらう理由になってはいけません。

今回ご紹介した医療費控除と高額療養費制度を賢く活用することで、経済的な負担を軽減し、子供が安心して適切な歯科治療を受けられる環境を整えてあげてください。

この情報が、子供の歯の健康を守るための一助となれば幸いです。
そして、子供の笑顔がいつまでも輝き続けることを心から願っています。



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