子供が歯の痛みを訴えた時に考えられる原因は?
[2022年10月21日]
子供が歯の痛みを訴えた時の原因として、虫歯が一般的に考えられやすいと思います。
しかし、子供の訴えは不正確なことも多いです。
実際に虫歯で痛みを訴えることもありますが、部位が異なる場合や歯が原因でない場合もあります。
痛みを訴えた時にはどのようなことが考えられるか、よく目にするものを例示しています。
【目次】
・虫歯が大きくなった場合
・歯茎が痛む場合
・生え変わり時期の場合
・まとめ
虫歯が大きくなった場合
ワンポイント
痛みを訴えた場合にまず疑う。虫歯で痛みが出ている場合には虫歯が大きいことが多く、神経を部分的に取る処置を行うことがある。
乳歯は永久歯と異なり、厚さが薄く虫歯になると中で広がることがよくあります。見た目には小さな虫歯でも中で広がります。これは生えたての永久歯にもよく起こることです。虫歯は初期には痛みを訴えることはありません。虫歯が内部に入り神経に近くなるとしみたり、痛んだりしてきます。従って子供が歯の痛みを訴えた場合で原因が虫歯であった場合には、すでに虫歯が大きくなっている可能性が高いと思って下さい。表面的に穴になって大きく欠けている場合もありますが、歯と歯の間から虫歯になると表面的には欠けているようには見えないこともあります。治療としては虫歯をとる処置になるのですが、あまりに虫歯が大きい場合には麻酔をして部分的に神経を取る処置を行うことがあります。
歯茎が痛む場合
ワンポイント
子供の場合には歯周炎で痛みが出るというのは考えにくい。歯肉炎で歯茎が炎症を起こす場合や永久歯が生えようとしている場合、永久歯の上に歯茎が乗っている場合などが考えられる。
子供が歯の痛みを訴えた場合には、たまに歯茎が炎症を起こし歯の痛みとして訴えることがあります。虫歯でない場合には、歯茎に何かしらの問題がある場合が考えられます。
①歯肉炎
歯肉炎は歯茎に限局した炎症があり、出血や歯茎の腫れなどを引き起こします。
大人の場合の歯周炎と異なり、急に痛みが強く出ることはあまりありません。歯磨きさえしっかりと行っていれば、自然と出血も治り炎症も落ち着きます。仕上げ磨きを保護者の方が行い、汚れが取れているか確認してあげるようにして下さい。
②永久歯が生えようとしている時
歯茎が痛む時には永久歯が生えようとしている場合があります。基本的にはあまり痛みを訴えることは少ないのですが、時として痛む時があります。口腔衛生状況が悪いと、生えようとしている歯茎周りに炎症を起こしやすいです。
③永久歯が生えた部位に歯茎が乗っている場合
永久歯が生えた後に、歯茎の一部が歯の上にまるで舌のように乗っかってしまっている時があります。その場合にはその歯茎を咬んでしまうことや食事の際に歯茎に刺激となり痛みを訴えることがあります。痛みが強い場合にはその歯茎を切ったり、電気メスで焼くことがあります。
④根の先が炎症を起こした場合
虫歯が大きくなった場合や虫歯の治療をした経験のある場合には根の先が化膿して炎症を起こす場合があります。この場合には歯茎が腫れ、歯を押すと痛みがあったり、何もしなくても痛みがあったりします。この場合の痛みは強く、食事が摂れない可能性もあるので早めに治療をしなくてはいけません。根の状況によって治療方針が変わります。感染を起こした根の治療をして、歯を温存させる場合や乳歯であれば、歯根の吸収度によっては抜歯をすることもあります。炎症が強い時には一旦、消炎処置(化膿止めなどの薬の処方や歯茎を部分的に切って膿を出すなど)を行うこともあります。
生え変わり時期の場合
ワンポイント
永久歯と乳歯が混在しているような歯並びの時や歯がない部位が多くなっている時には、咬みあわせによる痛みが出ることがある。
乳歯が抜けて永久歯が生え揃うまでの間は、所々歯がない部位ができてしまいます。そうなると今までの咬み合わせと異なる状況になり、限られた場所でしか咬めなくなる時があります。すると、その部位の歯だけが力を受けてしまい、虫歯でなくても歯の痛みや歯茎の痛みを訴えたりします。特に歯ぎしりやくいしばりをする子供には出やすい症状です。一時的な症状なので、歯を大きく削ったりするような処置はしないことが一般的です。もし、歯ぎしりなどをしているようであればそちらを改善するように促します。
まとめ
子供が歯の痛みを訴えた時に考えられる場合を確認してきました。実際にはお口の中をみてみないと診断はつけられない事が多く、診察しないと分かりません。子供の訴えと実際の原因が異なることもあるので痛みを訴えた場合にはなるべく早めに受診をするようにしましょう。その際にはいつから痛くなったのか、どういう時に痛むのか、治療したことがあるのか分かる範囲で答えられるようにして頂くと歯医者としては助かります。痛みがある場合に様子を見て回復する可能性は低いです。可能であればそうなる前に検診を受けておくのが理想的です。