子どもの矯正、中断したらどうなる?
[2022年06月07日]
子どもの矯正治療、中断したらどうなる?
「矯正治療って途中でやめたらどうなりますか?」
「子どもの部活が忙しく、なかなか通院できないし、本人がやめたいと言い出した」
「転勤で家が遠くなり通院できなくなったらどうしたらいいの?」
矯正治療中のお子さまの親御様から、このような矯正治療の中断に関する質問をうけることは少なくありません。
基本的に、矯正治療は一度スタートしたらよほどの理由がない限りやはり中断はおすすめできません。
というのも、一度中断してしまうと、後戻りによって歯や歯を支える骨への負担がかかり、さらに咬み合わせや歯並びが悪化する、などの影響があるからです。
そこで今回は、こういったお子さまの矯正治療を中断するリスクや、中断せずに継続していくためにどのような対応が必要か、よく聞かれる中断理由と併せて詳しくお話してみようと思います。
小児矯正については、他にもございますので、是非ご覧ください。
子どもの矯正治療、中断理由とその対応とは?
子どもの矯正治療の中断理由としてよくあげられるもの、そしてそれに対する対応についてお話していきます。
転居、引っ越し
ご家族の転勤などで引っ越し、転居を余儀なくされ、治療の中断を検討される方もいらっしゃいます。
ただ、矯正治療においては、通院頻度はある程度少なく調整することもできるため、遠方に転居されても、かかりつけ医には数か月に1回の通院で問題ないこともあります。
転居先の別医院で矯正治療を再開するとしても、主治医が変われば治療計画も大きく変更になる場合もあるので、出来る限り同じ医院で最後まで受診することをおすすめします。
もし、将来的に転居の可能性があるとわかっている場合は、予めかかりつけ医にその旨を伝えておきましょう。
前もって伝えておくことで、医院によっては、担当医が信頼できる医院を紹介してくれたり、紹介状や治療中の口腔内写真などの資料、治療計画の引継ぎ内容などの文書を準備してくれる場合もあります。
ただ、急な転居の申し出で来月から通院が不可、となっても、医院側はすぐに装置や治療計画の変更、紹介状の作成をすることはできません。
かなり遠方へ転居されても、その場合は通院が必要になることがありますので、注意が必要です。
矯正装置が使えない
子どもの矯正装置には、取り外し式の装置が比較的多く用いられます。
マウスピース型のものもあれば、拡大床と呼ばれるプレートにワイヤーがついたようなものもあります。
これらの取り外し式の装置は、基本的に決められた装着時間を確保する必要があり、中には自分でネジを回さなければならないなど、自己管理が求められます。
小児矯正では、なかなかお子さまがこの装置をつける習慣が身につかず、次第に装着時間が減っていき、最終的には使用しなくなってしまうというケースがしばしばあります。
親御様の方でも、日常の中で声かけを頻繁に行うなどして矯正治療へのモチベーションを保ち、一緒に治療に取り組む姿勢でいることが大切です。
ライフスタイルの変化
お子さまの場合、習い事や部活動などが始まりライフスタイルが変化すると、決まった予約時間に来院できないなどで、治療が途絶えてしまうことがあります。
特に、親御様の付き添いが必要な場合、親御様の予定も関係してくるため、なかなか次の予約日が決まらないということもよくあります。
こうなると治療が進まずトータルの治療期間が延びてしまいます。
このような場合は、ライフスタイルの変化や現状をかかりつけ医に伝え、無理なく通院できるペースを一緒に考えていくようにしましょう。
治療を中断してしまったらどうなる?
後戻りが起こる
矯正治療には、必ず「後戻り」のリスクがあります。
「後戻り」とは一度動かした歯が、また元の位置に戻ろうとすることをいいます。
当然、治療を中断すると動かした歯は後戻りしてしまいます。
さらにここで注意したいのは、中断してしまった場合、ここまでの歯が動いてきた通りに後戻りするのではなく、違う経路で歯が動いてしまう可能性もあるということです。
これによって咬み合わせも元の位置に戻るとは限らない、場合によっては矯正前よりも咬み合わせが安定しないという可能性もあります。
歯や骨へ負担がかかる
歯を動かす時には、ゆっくりと無理のないような安全な力で動かしていきますが、やはり歯や根の周りの骨には負担がかかっています。
中断後、後戻りした歯並びを再び矯正治療する場合、歯や歯を支える骨に余分に負担をかけてしまうことになります。
これまでの費用、時間が無駄になってしまう
矯正治療の費用はけっして安くありませんし、時間もかかります。
一度中断してしまうと、これまでの費やした時間もお金も無駄になってしまいます。
子どもの矯正の場合、顎の成長を利用し、土台を整えていくことがメインのため、将来的に成人矯正が必要になっても費用が抑えられる、また治療期間も長くならずに済むというメリットがあります。
ただその土台作りが中断となると、将来、大人になってから矯正を再度始めたとしても、結局一から矯正を始めることになり、時間も費用もさらにかかることになります。
まとめ
ここまでお話してきたように、矯正治療の中断にはデメリットが多く、一度スタートしたら中断することは基本的におすすめできません。
今もしお子さまが治療を続けることに前向きでない場合、矯正治療において最もストレスを感じているものが何か、課題は何かをまずは把握し、治療を継続できる方法を一緒に考えていく必要があります。
一方で、転居などの物理的な問題で中断せざるを得ない場合も、矯正治療を中断しなくてもいいよう、前もってかかりつけ医と転居後の治療について話し合い、準備をすすめていくことが重要です。
矯正治療はお金も時間もかかりますが、しっかり取り組むことで、将来的にきれいな口元を得ることができますし、歯周病や虫歯のリスクを軽減させ、体の健康の維持にも繋がります。
お子さまの矯正治療の中断を検討している方も、これから矯正治療をはじめようとしている方も、矯正治療のメリットを再確認していただき、お子さまが無理なく矯正治療を進められるよう、是非、担当医と治療計画についてしっかりお話しして下さい。