子どもの歯並びが悪くなる原因とは?治療した方がいい乳歯の歯並びについて。
[2021年12月20日]
こんにちはMM歯科クリニック院長の山脇です。
お子さまの虫歯予防には気を付けているものの、歯並びが悪いのが気になるというお父さんお母さんは多いのではないでしょうか。
歯並びが悪いのは私も矯正したせいなのでは、と遺伝の要因を疑う方も多いですが、実は幼少期の生活習慣や何気ない癖が原因になっていることがあります。
大人になっても、健康なお口でいてもらうためには、子どもの頃からの生活習慣がとても大切です。ぜび、正しい習慣を身に着け、歯並びで苦労しない子に育てていきましょう。
一般的に矯正治療は永久歯の歯並びが綺麗になればよいという考えで、永久歯が生え揃う頃に開始します。歯を本格的に動かす治療は永久歯になってからでも遅くはないのですが、成長期、乳歯列期に矯正治療を始めることであごの成長を期待して歯を抜かずに済んだり、永久歯が生えてくるスペースを確保することができ永久歯の矯正治療が少なく済むことがあります。
まずは、乳歯列期のうちに、矯正治療を始めた方がいい歯並びを見てみましょう。
乳歯列期に矯正治療を始めた方がいい歯並び
・下顎前突(かがくぜんとつ)
いわゆる「受け口」という状態です。上の歯が下の歯よりも前に噛み合わせるのが正常ですが、反対咬合では上下の歯の咬み合わせが反対になります。下アゴが極端に前に付き出た状態で横顔がしゃくれて見えることもあります。見た目が不自然で、食べ物を噛むことが難しく、また発音障害や将来的には顎関節症の心配もあります。また、奥歯が虫歯になりやすいというリスクもあります。
・オープンバイト
「開咬(かいこう)」と呼ばれ、上下の歯が噛み合わずすき間が空いた状態です。前歯でめん類などを噛み切ることができず、噛むときの筋肉にも負担がかかり、顎関節症のリスクがあります。
・上顎前突(じょうがくぜんとつ)
いわゆる「出っ歯」の状態です。上あごの骨が前に出すぎていたり、上の前歯が外に傾斜し過ぎていたりすることによって起こります。口を閉じにくくなるので、口の中が乾燥しやすくなります。口の中が乾燥すると、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
・乳歯が残っているのに大人の歯が後ろから生えてきた
乳歯が抜けずに大人の歯が後ろから生えてきた場合、永久歯が生えるスペースが不足している可能性が高いです。近年、あごが小さい子どもが増え、乳歯よりも大きい永久歯が生えるスペースが確保できないことがあります。乳歯列期では、隣の歯同士がすき間が空いているのが正常ですが、乳歯列期に隣の歯どうしがくっついている場合には、永久歯が生えてきたときにスペースが足りず、乳歯の後ろから生えてくることがあります。
歯並びが悪くなる原因とは
歯並びは単純に歯が生える配置が悪いだけでなく、上下のあごの位置や大きさ、歯を支える骨の成長不良など、様々な原因が関与しています。このような成長不良やあごの異常が起きる原因としては、主に2つあります。「遺伝要因(先天的要因)」と「環境要因(後天的要因)」です。
遺伝要因(先天的要因)
遺伝や先天的な原因としては、以下のものが考えられます。
・両親が受け口や出っ歯、矯正治療の経験がある
・両親のあごの形がずれている
・唇や舌の形の異常
・2本の歯がくっついている癒合歯、癒着歯
・歯の数が多い過剰歯、歯の数が少ない先天欠損
上記の要因に該当しなくても、あごの骨格や歯の形・大きさで噛み合わせが悪くなることがあります。
環境要因(後天的要因)
無意識に行っている癖や習慣でお子さまの歯並びが悪くなることがあります。生まれてからの影響については以下のものがあります。
・指しゃぶり
3歳位までの乳歯が生えそろうまでの指しゃぶりは、哺乳の動作の習得や口唇、舌などのお口の周りの筋肉の発達にとても重要です。この時期の指しゃぶりはやめさせる必要はなく、おしゃぶりなどで積極的に訓練するとよいでしょう。歯並びで問題になるのは、3歳以降の指しゃぶりです。歯が生えてきた後の指しゃぶりは、前歯を外側に押し、舌と頬で口の中を吸引するため、上顎前突や開咬を引き起こしやすいと言われています。
・口呼吸
安静時に口を開けたままになっていると、お口の周りの筋肉がゆるみ、上顎前突になりやすいと言われています。ぽかんと口を開いたままだと、お口の中が乾燥して虫歯や歯周病のリスクも増えてしまいます。
・頬杖
片側に重心をかけた頬杖は左右のバランスを乱しやすいです。骨の歪みや噛み癖が出現し、左右の噛み合わせの不均等を引き起こします。
・うつぶせ寝
うつぶせ寝が成長期になっても続いていると、あごの骨の成長を妨げることがあります。顔を左右どちらかに向けて寝ることも多く、あごの骨のバランスが崩れやすく、歯並びに影響が出やすい格好です。
最後に
日常のちょっとした癖でも毎日続くと歯並びに影響が出ることがあります。ぜひ、お子さまのお口の変化を見逃さず、矯正治療のタイミングをかかりつけの先生と一緒に見つけていきましょう。