子どものお口(話す、咀嚼・嚥下、呼吸)

[2023年07月16日]

子どもの発育についてご両親から相談されることが多いです。特に言葉は伝えやすいためかよく質問されます。たどたどしい発音は、歯並びや嚙み合わせが原因な事もあります。子どもが成長すると言葉を話すようになります。その発育は、ご両親にとって、とても嬉しいことで、よくお話頂きます。

食べる(咀嚼・嚥下)もよくお話に聞きます。そしてお体の成長の事もよくお聞きします。

 

目次

◯子どものお口の発達

 ◆話す(構音)

  ・話す(構音)とは

  ・話す(構音)練習

 ◆食べる(咀嚼・嚥下)

  ・食べる(咀嚼・嚥下)とは

  ・食べる(咀嚼・嚥下)練習

◯子どものお口に関する反射

◯子どもの体格(筋肉・骨格)

 ◆子どもの顎

 ◆子どもの呼吸

◯まとめ

 

◯子どもの?お口の発達

話す(構音)

話す(構音)とは

日本語の音は、「あ」「い」「う」「え」「お」の母音とそれ以外の子音で成り立ちます。肺から出た空気の流れ、声帯を通り、お口で発音が作られます。母音は、口唇の閉じ具合、舌と口蓋の距離で音が作られます。一方、子音は声帯を通った空気の流れを、口唇や舌の細かい動きによって、遮断したり狭めたりすることによって作られます。母音が3 歳位、子音が 5~7 歳位に完成するとされます。歯列不正で前歯の噛み合わせが悪い場合、破裂音(p、プッ)や両唇音(b、ブッ)が難しくなり、摩擦音(s、スッ)や歯音(z、ズッ)もはっきりしにくくなります。構音とは、口唇や舌などの器官を使って母音や子音を発音することです。構音がしにくくなると、学校でのお友達とのコミュニケーションに問題が生じます。コミュニケーションの不具合から自信喪失し、引っ込み思案になることもあります。

話す(構音)練習

話す(構音)事は、脳からお口の器官へ指令を送り、音を作り出す工程です。話す事は、コミュニケーション、表現力、思考力等の発達に重要です。構音(発音)は、お口の中で空気を震わせて音を作ります。子どもの構音は、生まれてから少しずつ発達してゆきます。全ての構音を獲得する迄、子どもは難しい音を簡単な音に言い換え成長してゆきます。例えば、「魚(さかな)」を「たかな」や「しゃかな」と言ったりします。いわゆる「赤ちゃん言葉」です。子どもの話す(構音)の練習法としては、次のような方法があります。

①食事時によく噛んで食べる事で、お口の筋肉を鍛えたり、息の出し方を練習します。

②顔ジャンケンやストロー鉄砲などの遊びをして、口唇や舌の動きをトレーニングします。「さ行」や「か行」などの発音に必要な動作を身につけさせます。

③飴を舐める事は、お口の筋肉のトレーニングになるとともに、発音の改善に効果的であると言われます。

④うがいは、「か行」を発音する時の舌の動きになるとともに、呼気鼻漏出(発声する時に鼻から息が漏れること)を防ぐトレーニングになります。

話す(構音)は、子どもの成長、健康に大切な事なので、親子で一緒に楽しく練習してみましょう。

 

◆食べる(咀嚼・嚥下)

食べる(咀嚼・嚥下)とは

咀嚼とは、お口の中の食べ物を、歯で細かくして飲み込むことです。子どもは、お腹の中にいるときから指しゃぶりをし、生まれたら母乳を吸うことで、咀嚼の訓練を始めています。2~3歳には乳歯が生えそろって、咀嚼のための準備が整い、5~6歳までに大人の3分の1程度まで咀嚼力がついてきます。乳歯とは、生まれてから生えてくる最初の歯で、20本あります。乳歯は、永久歯に置き換わるために抜け落ちます。乳歯が抜け落ちる時期は6歳位~12歳位です。乳歯が抜け落ちる順番は、前から後ろに向かってです。乳歯が抜け落ちる時には、永久歯が既に下から生えてきています。

 

食べる(咀嚼・嚥下)練習

子どもの咀嚼を鍛え方としては、次のように行う事が多いです。

①離乳食の時期から、食べ物の形・固さを徐々に変えていきます。舌や口蓋でつぶしたり、上下顎の歯茎でつぶしたりする練習をさせます。

②幼児期からは、硬い物や軟らかい物、何でも好き嫌いせず食べさせることで、奥歯ですりつぶす咀嚼の練習を促します。

③小学生低学年からは、繊維質のある野菜料理なども食べられるようにし、お箸に引っ掛かりやすい形に切ったりして、お箸の練習と咀嚼力を高める練習もします。お口を閉じてバランスよく左右で、奥歯で、噛む練習をします。

親子で一緒に楽しく噛んで食べるようにしてゆきます。

 

◯子どものお口に関する反射

反射は、生まれたばかりの赤ちゃんに見られる、生きるために必要な行動です。反射は、赤ちゃんの脳や中枢神経の発達よって少しずつ減ってゆきます。お口に関する反射としては、次のものがあります。

捕捉反射:口唇周辺に物が触れると、触れた方を向き口唇と舌でくわえようとする反射です。母乳やミルクを飲む為に必要な反射です。

探索反射:お口に指や乳首を入れるとお口が開く反射です。母乳やミルクを飲む為に必要な反射です。

吸啜反射(哺乳反射):お口に指やd乳首を入れると吸う反射です。母乳やミルクを飲む為に必要な反射です。

嚥下反射:お口の中に流れてきた液体を飲み込む反射です。母乳やミルクを飲むために必要な反射です。

押し出し反射:お口の中に何か入った時舌に触れた物を押し出そうとする反射です。誤飲を防ぐために必要な反射ですが、離乳食を始める頃は邪魔になることもあります。

これらの反射は、生後数ヶ月から半年位で消失していきます。

 

子どもの体格(筋肉・骨格)

子どもの筋肉と骨格は、どんどん変化します。子どもと大人の骨格の大きな違いは、発育を生み出す骨端軟骨(成長軟骨)の存在です。骨端軟骨は、骨の両端にある軟骨で、成長期に骨を伸ばします。子どもの筋肉は、大人に比べて量的に少ないです。筋肉は、体の活動や性ホルモンの影響を受けます。体の活動は、子どもの筋肉を増加させる為に重要ですが、最近では運動不足の子どももいます。性ホルモンは、10歳位から分泌され始めますが、男女で差があります。男児では13歳以降に筋力が急激に増加しますが、女児ではあまり変化しません。

 

◆子どもの顎

顎は、子どもの歯並び・噛み合わせに大きく影響する部分です。顎の骨が小さく発達不足だと、歯が生えるスペースが狭くなります。歯並び、噛み合わせが悪くなったりします。

顎の筋肉・骨を成長させるには、よく噛むことが重要です。よく噛むことで、顎の筋肉や骨が刺激されて発達します。よく噛む為には、歯ごたえのある食べ物を意識的に取り入れたり、左右バランスよく奥歯で噛む事が重要です。

 

◆子どもの呼吸

子どもの呼吸は、大人とは違います。

①子どもの呼吸は速いです。大人は1分間に12~18回呼吸しますが、新生児は40回、乳児は30回、5歳で25回、10歳で20回程度です。

②子どもの呼吸は腹式呼吸の事が多いです。大人は胸腹式呼吸ですが、乳幼児は腹式呼吸です。7歳位から胸式呼吸が中心になり始めます。

③子どもの呼吸は鼻呼吸の事が多いです。大人は鼻腔がつまると口をあけて呼吸できます。乳児期は鼻腔からの呼吸しかできないので、鼻がつまると、苦しくなり呼吸困難に陥ります。

④子どもの呼吸器系は未発達です。小児の気道は細く短く、上気道が閉塞しやすく、気道抵抗が大きいです。小児の肺コンプライアンス(肺の伸びやすさ)は低く、肺胞を膨張させるための呼吸仕事量は大きいです。小児の胸郭は柔らかく、陥没呼吸となりやすいです。

 

まとめ

子どものお口の機能の発達段階を把握しましょう。歯科医師や保健師などの専門家に相談する事もお勧めです。年齢や歯並びなどによって咀嚼・嚥下機能が変化する事があります。



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