口呼吸を治して私たちの健康を守るあいうべ体操のすゝめ
[2023年05月16日]
こんにちは
鼻には鼻の役割があり、口には口の役割があります。
鼻から食べず、口から食べ物を食べるように、空気は口から吸わず鼻から吸うのが正常です。
人は、1日あたり2万~3万回弱呼吸を繰り返しています。
もし80歳まで生きるとすれば、呼吸の総回数は6~7億回にもなります。
それほど常に繰り返している呼吸を、鼻ではなく呼吸に使うようになっていない口を使って行っていると、健康上の数多くのリスクが生じることがわかっています。
口呼吸をする癖のある方におすすめしたいのが、福岡市の「みらいクリニック」院長の今井一彰先生が考案された「あいうべ体操」です。
今回は、口呼吸の危険性とあいうべ体操についてご紹介します。
口呼吸の危険性
人に限らず、哺乳類は鼻ではなく口で呼吸するのが正常な呼吸です。
もし、口で呼吸していると、どのような危険性があるのでしょうか。
口の乾燥
口呼吸をすると口が開いた状態が続きますので、唾液が蒸発します。
唾液が出される以上の速さで蒸発するので、口の中が乾燥します。
唾液には、細菌の活動を抑える働きやお口の汚れを洗い流す役割、虫歯菌の作り出した酸を中和する役割、傷を治す役割などさまざまな役割があります。
それらが蒸発して失われるので、乾燥以外にもさまざまな健康上の問題が生じます。
虫歯や歯周病の増加
虫歯や歯周病の原因はお口の中の細菌で、歯の表面の汚れを栄養源にして増えていきます。
唾液には、虫歯菌などの細菌の活動を抑える抗菌作用や栄養源を取り除く洗浄作用などに加え、酸を中和する緩衝作用、溶かされた歯を治す再石灰化作用などがあります。
口呼吸により唾液が蒸発するとこれらの作用も失われるため虫歯や歯周病が起こりやすくなります。
歯並びの悪化
歯並びは、舌が内側から押し出す力と、唇と頬が外側から押さえる力のバランスの上に成り立っています。
もし、口呼吸をしていると、唇が外側から歯を押さえられなくなり、舌が内側から押し出す一方になります。
すると、前歯が前に傾く、いわゆる出っ歯な歯並び、上下の前歯が噛み合わせられない開咬という歯並びになってしまいます。
顔つきへの悪影響
口呼吸を続けていると、口元の筋肉が緩み、口角とよばれる口の脇が下がります。
このため、顔つきがだらしなく見えるだけでなく、表情も乏しくなってしまいます。
口呼吸は顔つきにも悪影響をもたらします。
口臭
口臭の主な原因は、お口の中の汚れと細菌です。
口呼吸で唾液が蒸発することで、唾液の洗浄作用や抗菌作用が失われる結果、口臭も発生しやすくなります。
扁桃腺の炎症の発生
口呼吸による唾液の蒸発は、抗菌作用の低下によりお口の中の細菌の増加の引き金になります。
すると、お口の奥にある喉に炎症が生じ、口呼吸を改善しない限り長期に続きます。
すると、喉にある扁桃腺に炎症が広がり、扁桃リンパ組織が十分機能を果たすことができなくなります。
扁桃病巣感染症の発生
扁桃腺の炎症が慢性化すると、口から異物が体に入らないようにする防波堤である扁桃腺が機能しなくなり、全身の免疫機能に異常が生じます。
この結果、アトピー性皮膚炎、リウマチ、掌蹠膿疱症、腎臓病など、扁桃と異なる部位の病気が引き起こされます。
これらを総じて扁桃病巣感染症とよんでいます。
あいうべ体操について
では、あいうべ体操についてご紹介します。
あいうべ体操とは
あいうべ体操は、口輪筋や舌筋、咀嚼筋などを鍛えることを目的としたストレッチ体操です。
最初にもお話しした通り、福岡市の「みらいクリニック」院長の今井一彰先生が考案されました。
口の運動の基本的な動きである「あ」「い」「う」「べ」だけなので、特別な道具を準備する必要はありませんし、難しいテクニックもいらない簡単なトレーニング法です。
あいうべ体操の効果
あいうべ体操を続けると、舌の位置が上がります。
意識することはまずないですが、舌は、舌先が上顎の前歯の裏側に当たっているときが正しい位置です。
試しに、舌先を上顎の前歯の裏側に当てて息をしてみてください。
できないはずです。
反対に舌先を下顎の前歯の裏側に当ててみると、口呼吸が簡単にできます。
口呼吸をしている方は、知らず知らずにうちに、舌が本来の位置よりも下がっているのです。
あいうべ体操を続けると、舌の先が上に上がり、口呼吸が難しくなり呼吸の方法が鼻呼吸に変わります。
この結果、口呼吸による多くの病気が解決され、健康状態が改善するというわけです。
あいうべ体操の方法
「あ~」とお口を大きく縦に開ける
「い~」とお口を大きく横に開く
「う~」と唇を強く前に出す
「べ~」と舌を前に突き出して、そして下に下げる
これだけですのでとても簡単ですね。
回数
あいうべ体操は、「あ」「い」「う」「べ」の4つの動作を1セットとします。
これを1日あたり30セットを目処としてしていただきます。
1セット5~10秒程度とすれば、30セットでも10分もかかりません。
あいうべ体操のポイント
声を出す必要はありません。
口元の動きさえしっかりしていれば大丈夫です。
また、効果を高めるためには、話をするときよりも大きくお口を開けること、動かすことが大切です。
例えば、「あ~」のときに喉の奥が見えるくらい開けるといった具合です。
「べ~」の動きについては、舌の付け根が少し痛むくらいまで舌を出すようにしてください。
顎関節症の方は、大きく開けすぎると顎が痛むかもしれないので、その場合は無理のない範囲でお願いします。
まとめ
今回は、今井一彰先生が考案されたあいうべ体操についてご紹介しました。
口呼吸は、
①口の乾燥
②虫歯や歯周病の増加
③歯並びの悪化
④顔つきへの悪影響
⑤口臭
⑥扁桃腺の炎症の発生
⑦扁桃病巣感染症の発生
などの危険性があります。
あいうべ体操は、口呼吸を改善する効果が高く、口呼吸による健康リスクを軽減するのにおすすめです。
あいうべ体操についてご興味のある方、詳しく知りたい方は当院でぜひご相談ください。