乳歯の虫歯の特徴と防ぐためのポイントについて

[2024年07月31日]

乳歯も永久歯もどちらも虫歯になります。
ところが、虫歯の症状やなりやすさなど、虫歯の特徴には違いがあります。
今回は、乳歯の虫歯の特徴と、虫歯の防ぎ方についてご紹介します。
この記事を最後までお読みいただくと、どうして乳歯が虫歯になりやすいのかに加え、虫歯の防ぎ方もお分かりいただけると思います。

 

目次

◯乳歯の虫歯の特徴
◆虫歯になりやすい
◆たくさんできやすい
◆進行が早い
◆自覚症状に乏しい
◯乳歯が虫歯になりやすい原因
◆お子さんの睡眠時間の長さ
◆お子さん自身での歯磨きが難しい
◆甘いものが好き
◆歯磨きしにくい乳歯の形
◯乳歯の独特な虫歯
◆哺乳瓶う蝕
◆環状う蝕
◯乳歯の虫歯を防ぐために
◆小児歯科での取り組み
◆ご自宅での取り組み
◯まとめ

◯乳歯の虫歯の特徴

まず、乳歯の虫歯の特徴について説明します。

◆虫歯になりやすい

近年、乳歯の虫歯は減りつつあり、初めて虫歯ができた年齢も上がっていますが、3歳ごろから少しずつ増え始め、6歳ごろまでに多くのお子さんに虫歯が見られるようになります。

◆たくさんできやすい

乳歯の虫歯は、1~2本と少ないお子さんもいないわけではありませんが、多くのお子さんは、たくさんの歯に虫歯ができやすい傾向があります。

◆進行が早い

永久歯と比べると、乳歯は虫歯菌の作り出す乳酸に溶かされやすく、一度虫歯になると、進行がとても早い傾向が見られます。
このため、あっという間に歯の神経のあたりまで進んでしまうことも珍しくありません。

◆自覚症状に乏しい

乳歯の虫歯は、永久歯の虫歯にみられる痛みなどの自覚症状が出にくいです。
お子さんご自身が違和感を感じても、それをうまく保護者の方に伝えられないこともあります。
このため、保護者の方が気づかないうちに虫歯が進んでしまっているということもしばしばみられます。

◯乳歯が虫歯になりやすい原因

乳歯の虫歯の原因も永久歯と同じく、ストレプトコッカス・ミュータンスなどの細菌です。
では、どうして乳歯の方が虫歯になりやすいのでしょうか。

◆お子さんの睡眠時間の長さ

唾液には、虫歯菌の活動を抑える抗菌作用、虫歯菌の作り出した酸を中和する緩衝作用、汚れを洗い流す洗浄作用などがあります。
唾液の量が減るとこれらの働きも減ってしまいます。
睡眠中は唾液の量が減るので大人も子供も虫歯になりやすくなるのですが、子供さんの睡眠時間は大人よりも長いので、大人より虫歯になりやすくなっていると考えられています。

◆お子さん自身での歯磨きが難しい

子供さんは、大人ほど手先を上手に使えませんので、歯磨きも上手にできません。
軍手を2枚くらい被って歯磨きをしてみてください。
素手のときとくらべて上手に磨けないと思います。
お子さんの歯磨きは、これくらい上手にできないものです。
歯磨きが上手にできないので、虫歯になりやすくなってしまいます。

◆甘いものが好き

お子さんは、お菓子が大好きです。
甘いものが好きなので、虫歯菌が酸を作りやすいです。
このため、虫歯が生じやすくなっています。

◆歯磨きしにくい乳歯の形

永久歯と比べると、乳歯の形は歯磨きがしにくいです。
例えば、隣り合う歯と歯が当たっているところを接触点といいます。
永久歯の奥歯の接触点と乳歯の奥歯の接触点を比べると、乳歯のそれのほうが面状で大きいです。
このため、歯と歯の間が狭く、歯磨きがしにくくなっています。
この他、乳歯は、歯の結晶成分の大きさが小さい、水分量が多いなどの物理的な特徴もあり、虫歯菌の酸に溶かされやすい傾向があります。

◯乳歯の独特な虫歯

乳歯には、永久歯に見られない独特な虫歯があります。

哺乳瓶う蝕

哺乳瓶う蝕は、哺乳瓶を長期間にわたって使っていることで生じる虫歯です。
上顎の前歯や、第一乳臼歯という前から4番目の奥歯の噛み合わせ面などに生じやすいです。
哺乳瓶う蝕と言いますが、母乳を、長期にわたり夜間に授乳している場合にも同じようなところに虫歯が起こりやすいです。
哺乳瓶う蝕を防ぐためには、1歳6ヶ月になるまでに、哺乳瓶を使わないようにすることが効果的です。

環状う蝕

歯の歯冠と歯根の境目あたりを歯頚部といいます。
環状う蝕は、乳歯の歯頚部あたりに連続して帯状に生じる虫歯です。
輪状う蝕ともいいます。
多くの場合、前歯に起こります。
甘いものが多い不適切な食事や、はみがき不足が原因と考えられています。

◯乳歯の虫歯を防ぐために

乳歯の虫歯を防ぎ、お子さんの歯を守る方法について解説します。

◆小児歯科での取り組み

小児歯科でも乳歯の虫歯予防に取り組んでいます。

▶︎フッ素塗布

フッ素には、歯を酸に溶かされにくくする作用、虫歯菌の活動を抑える作用、溶かされた歯を治す作用があり、虫歯にとても効果的です。
歯科医院では、フッ素を歯に塗るフッ素塗布を行なっています。
フッ素塗布は、歯にフッ素を取り込む作用や溶かされた歯を治す作用に優れています。
数ヶ月に一度の塗布で十分な効果が得られるので、ぜひ受けていただきたい虫歯予防法です。

▶︎シーラント

歯の表面の溝や窪みは、歯磨きがとても難しく、虫歯になりやすい箇所です。
そこで、あらかじめ埋めておくことで、磨きにくいところをなくし虫歯にならないようにする処置が考えられました。
それがシーラントです。
歯科医院では、シーラントにより歯の溝や窪みからの虫歯を予防しています。

▶︎歯磨きの練習

歯科医院では、磨き残したところを専用の染色液で染め出して、実際にどこが磨けていないのか、ご本人と保護者の方に説明しています。
色が染まったところをどのようにすればきれいになるのか、どのような形の歯ブラシがいいのか、歯間ブラシはどれがいいのかなどを説明し、効果的な歯磨きができるようにします。

◆ご自宅での取り組み

まず、ご家庭での虫歯予防について説明します。

▶︎歯磨きの習慣化

”食べたら歯を磨く”、これは、歯磨きの基本です。
まず、お子さんに歯を磨くことを習慣づけるようにしましょう。

▶︎仕上げ磨き

お子さん自身では、特に低年齢のお子さんは歯が上手に磨けません。
お子さんが歯磨きした後は、仕上げ歯磨きをすることをおすすめします。
小学校の低学年の頃までは少なくとも続けていただきたいです。

▶︎フッ素の利用

ご家庭でのフッ素の利用法は、フッ素入り歯磨き剤とフッ素入り洗口液の2種類です。
日常の歯磨きにフッ素入り歯磨き剤を使っていただくと、気軽に歯にフッ素を作用させられます。
ただし、1450ppmの高濃度タイプは6歳未満のお子さんには使えないのでご注意ください。
そして、並行して定期的にフッ素入り洗口液でうがいをするとより効果的に虫歯を予防できます。

まとめ

今回は、乳歯の虫歯の特徴やなりやすい原因、そして予防法について解説しました。
乳歯は、さまざまな理由により永久歯より虫歯になりやすい傾向が認められますが、予防する方法はあります。
小児歯科では、フッ素塗布やシーラントなどを通して虫歯予防に努めています。
当院でも、お子さんの虫歯予防に積極的に取り組んでいます。
お子さんの虫歯予防に関心のある方は、当院でぜひご相談ください。



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