ウイルス性口内炎の手足口病とヘルパンギーナの見分け方
[2024年10月09日]
”夏かぜ”という言葉をお聞きになったことありませんか。
”夏かぜ”というと、そのような病気があるように思われそうですが、正式な病名ではありません。
夏に流行りやすい病気という意味で、主に”手足口病””ヘルパンギーナ””プール熱”の3つを指しています。
いずれもお子さんに起こりやすい病気ですが、手足口病やヘルパンギーナはお口の中にも症状が出ることから、小児歯科でも馴染み深い病気となっています。
今回は、手足口病とヘルパンギーナの見分け方をご紹介します。
この記事を最後までお読みいただければ、症状の違いからみた見分け方と予防法がお分かりいただけると思います。
目次
- ◯手足口病とヘルパンギーナの症状の見分け方
- ◆症状の違い
- ◆見分け方
- ◯手足口病とヘルパンギーナの原因と移り方
- ◆原因
- ◆感染経路
- ◯手足口病とヘルパンギーナの時期
- ◆流行しやすい時期
- ◆年齢層
- ◯手足口病とヘルパンギーナの治療法
- ◆水分補給
- ◆解熱剤
- ◯手足口病とヘルパンギーナの予防法
- ◆咳エチケット
- ◆マスク
- ◆手洗い
- まとめ
手足口病とヘルパンギーナの見分け方
手足口病とヘルパンギーナの最も大きな違いは、症状です。
時期や年齢に加え、症状をみれば、両者を見分けるのは比較的簡単です。
症状の違い
熱
ヘルパンギーナは40℃くらいの高熱が出ますが、手足口病は熱が出ない、出たとしても38℃以下の微熱で済むことが多いです。
水ぶくれ(水疱)のできるところ
手足口病は、名前の通り、お口だけでなく、手や足にも水ぶくれが出ます。
順番はなく、手足口、ほとんど同時に水ぶくれができるようです。
一方、ヘルパンギーナで水ぶくれができるのはお口の中だけです。
どちらのお口の水ぶくれも、すぐに潰れて潰瘍という口内炎に変わります。
潰瘍に触れるとかなり痛みます。
これがお口の中にたくさんできるので、食事や水分摂取、歯磨きが難しくなります。
見分け方
口内炎に加え、高熱が出たら→ヘルパンギーナ
お口だけでなく手足にも水ぶくれができたけど、平熱、もしくは微熱なら→手足口病
時期と年齢が合えば、このような見分け方も可能です。
手足口病とヘルパンギーナの原因と移り方
どちらもウイルスによって引き起こされる病気です。
原因
手足口病のウイルスは、コクサッキーウイルスやエコーウイルスなどエンテロウイルス属のウイルスです。
ヘルパンギーナも同じく、コクサッキーウイルスやエコーウイルスなどです。
エンテロウイルスの”エンテロ”とは、腸管という意味です。
どちらも原因となるウイルスは、お腹の中で増えやすいウイルスなんですね。
感染経路
飛沫感染
飛沫感染の”飛沫”は、ウイルスが含まれた唾液や鼻水を意味しています。
ウイルスが含まれた唾液や鼻水が、咳やくしゃみにより周囲に撒き散らされ、それらを吸い込むことで移っていく感染方式です。
接触感染
接触感染は、ウイルスが含まれた唾液や鼻水、便などが手について、そこから広がっていく感染方式です。
おむつ交換、トイレのドアノブやレバーなどにウイルスがつきやすく、ここから移っていくことが多いです。
手足口病とヘルパンギーナの時期
手足口病もヘルパンギーナも原因は同じウイルスですから、流行しやすい時期や年齢層も似ています。
流行しやすい時期
手足口病やヘルパンギーナが流行しやすいのは、夏です。
5月ごろから増えはじめ、7〜8月ごろにピークを迎え、9〜10月ごろに見られなくなっていきます。
このため、手足口病やヘルパンギーナは夏かぜとよばれています。
年齢層
手足口病もヘルパンギーナも、5歳以下のお子さんが90%以上を占めています。
手足口病とヘルパンギーナの治療法
手足口病もヘルパンギーナもウイルスによる病気です。
原因ウイルスに対する抗ウイルス薬はなく、特効薬もありません。
水分補給
お口の水ぶくれの痛みで食事がとりにくいようなら、夏場の脱水は危険なので、少なくとも水分摂取だけは十分行なってください。
解熱剤
発熱に対しては、解熱剤を使って熱を下げましょう。
手足口病とヘルパンギーナの予防法
手足口病もヘルパンギーナも感染経路は同じですので、予防法も同じです。
最近では、大人の方のヘルパンギーナも増えてきているようですから、ご家族の方もくれぐれもご注意ください。
咳エチケット
咳やくしゃみをすると、意外と広い範囲まで唾液や鼻水が飛び散ります。
咳やくしゃみをするときは、手やハンカチで押さえて、撒き散らさないようにしましょう。
マスク
ウイルス自体は小さいのでマスクの隙間を通過しますが、ウイルスが含まれた唾液や鼻水はそうではありません。
マスクの目でキャッチされます。
マスクをすれば、唾液や鼻水の拡散を防げます。
手洗い
接触感染を防ぐには、手洗いも効果的です。
指先まできれいに洗いましょう。
まとめ
今回は、これからの時期に流行りやすい手足口病とヘルパンギーナの見分け方についてお話ししました。
両者とも、同じウイルスが原因の病気ですが、症状には大きな違いがあります。
ヘルパンギーナは高熱が出ますが、手足口病は平熱か微熱です。
手足口病はお口の中だけでなく、手足にも水ぶくれ(水疱)が出ますが、ヘルパンギーナはお口の中にしか出ません。
どちらも、お口の中に症状が現れるという点は同じで、それが原因で食事や歯磨きがしにくくなることがあります。
近年、大人の方の手足口病やヘルパンギーナも増えています。
お子さんが手足口病やヘルパンギーナになったら、マスクや手洗いで広がらないように注意しましょう。
当院は、お子さんのウイルス性の口内炎をはじめとして、お子さんに多いさまざまな病気の専門知識や診療経験のある歯科医院です。
これからの時期、お子さんが喉やお口の痛みを訴えたら、もしかしたらウイルス性の口内炎かもしれません。
お子さんの夏の口内炎で不安や質問のある方は、当院でぜひご相談ください。