もしかしたら子どもの噛み合わせ、悪いかも?
[2022年04月08日]
こんにちはMM歯科クリニック院長の山脇です。
子どもの咬み合わせが気になる
子どもの食べ方や歯並び、顎の大きさを見て、もしかしたら子どもの咬み合わせが悪いかもしれない、と感じている方いらっしゃいませんか。
子どもの場合、成人とは違い、成長期ということもありお口の中は変化が著しく、歯の生え変わりや生えてくる位置、咬む位置なども成長とともに変わっていきます。
少し気にはなるけれど、このまま経過を見ていいものなのかどうかわからない、と迷われることもあると思います。
今回はそんな小児期の咬み合わせについての知識を少しでも持っていただき、また正しい成長を妨げる要因やどのような対応が必要か、などについてお話していこうと思います。
こんな咬み合わせになっていませんか?
まずはお子さまのお口の中をチェックしてみましょう。
以下のような状態が見受けられるお子さまはいらっしゃいませんか。
・乳歯列でスペースがまったくない
・被蓋関係(上の前歯が下の前歯に被さっているのが正常)が逆
・開咬(上下前歯同士の間に隙間がある)
・歯の本数が足りない
・歯同士が重なり合って生えている
これらの項目がお子さまのお口の中に見受けられる場合、このまま経過をみていくだけでは正常な咬み合わせにならない可能性があります。
では、なぜこのような状態が起きているのでしょうか。
その原因、正しい咬み合わせへの成長を妨げる要因についてみていきます。
正常な咬み合わせへの成長を妨げる要因
さきほど上であげたチェック項目の状態になる要因は、
大きく分けて4つほどあげることができます。
以下に詳しくみていきますが、これらの要因はどれか一つだけ、というわけではなく複数が絡み合っていることも多いです。
萌出(ほうしゅつ)の異常
萌出(ほうしゅつ)とは、生えてくる歯のことです。
萌出(ほうしゅつ)の異常とは、歯の生えてくる方向や位置、角度が悪い状態を表します。
これによって歯の一部が反対の咬み合わせになってしまい、それによって顎の成長も影響を受けてしまうことがあります。
スペース不足
歯の生えてくるスペースが明らかに不足し、歯同士が重なり合ったり、異なる場所に生えてきたりすることで、歯列が乱れ、正しい位置で咬めなくなってしまいます。
習癖
口呼吸、指しゃぶり、下口唇を巻き込む、などの癖がある場合、舌、頬粘膜、口唇の筋肉のバランスが崩れてしまいます。
上下の前歯同士に隙間ができる開咬や上顎が前方に押し出され口元が出る、出っ歯になるなどの咬み合わせの異常に繋がります。
骨格性
骨格性に異常がある場合、受け口などの反対咬合や上顎前突(出っ歯)などの咬合異常に繋がります。特に受け口には遺伝的な要因もあります。
他の原因を別記事にまとめてあります。合わせてこちらもご確認ください!
正しい咬み合わせにするにはどんな対応が必要?
では、上で説明した要因を踏まえて、実際にどんな対応をとっていけばいいのでしょうか。
正しい咬み合わせの育成に向けて知っていただきたいことをお話していきます。
子どもの顎や歯の成長には複数の「成長ステージ」がある
冒頭でお話したように、小児期と呼ばれる6-12歳頃は特に、乳歯から永久歯への生え変わりの時期で顎の成長も著しい時です。
そしてこの時期は、乳歯と永久歯が混合したお口の状態になるので、混合歯列期と呼びます。
この混合歯列期はさらに、
乳歯の期間、前歯の交換期、奥歯(6番目、7番目の歯)の交換期、側方歯(3-5番目の歯)の交換期などの複数のステージに分けられます。
これらの各ステージにはそれぞれ、お口の中の成長過程の目安、というものがあります。
その目安というのは、問題なく顎が成長しているか、正常な位置に歯が並んできているかをみていく上での重要な指標となります。
こういったことから、正しい咬み合わせへ導くためにはかかりつけ医において日頃から、また定期的に口腔内を確認してもらう必要があります。
適切な時期に必要な処置が重要
上記のように、複数のステージごとに異常がないかをチェックすることが重要とお話しましたが、それに伴う対応も同様の考え方です。
子どもは日々成長しており、変化し続けています。
正常な咬合せの成長を妨げる要因を解決すること、また各ステージごとに何らかの異常があれば、その時に必要な対応をとっていくことが大切で、これがまた次のステージでの正常な咬合せの育成に繋がっていきます。
逆に、異常をそのまま放置してしまうと、その後の咬合せの育成が正しく進まないことがあります。
もちろん、成人矯正といって、永久歯が生え揃ったあとに矯正治療をし、正常な歯並びや咬合にもっていくことは可能です。
しかしながら、成人の場合、顎の成長はストップしており、顎の成長のコントロールが難しく外科的処置が必要になる、あるいは歯を並べるためのスペースづくりに抜歯が必要になる、など治療における負担も大きくなります。
一方で、子どもの場合は、成長過程にあります。
適切な時期に必要な対応をとってあげることができれば、将来さらに成人矯正が必要となったとしても、少しでもこういった治療の負担は軽減できます。
「定期的な」かかりつけ医への受診を
今お子さまの咬み合わせが気になっている方は、まずは正常な咬み合わせへの成長を妨げる要因がないかどうか、かかりつけ医で診ていただき、治療が必要であれば早めに取り掛かっていくことをおすすめします。
また、その上で、”さらに”大事なことがあります。
小児期の成長ステージにはそれぞれ成長過程の目安がある、と説明しましたが、子どもの成長の速度は一人ひとり異なり、年齢だけで分けられるものでもありません。
子どもの矯正治療では、何より子ども本人の治療に対する理解と協力が必要です。
もし、矯正装置が使えそうにない、本人が前向きではない、といった場合はすぐに治療を開始したくてもすぐに開始するわけにはいきません。
その子どもの協力度合いや信頼関係の構築、コミュニケーションの状況などを考慮してから開始する必要があります。
子どもの矯正治療はスタートするタイミングが重要です。
かかりつけ医において日頃から、また定期的に診てもらうことで、診察を通して歯科医や周りのスタッフとの信頼関係も構築され、矯正治療にスムーズに入っていくことができます。
適切な時期に必要な対応をすぐに取っていくことができる、というのは、正しい咬み合わせ、歯列に導くためには重要なポイントであることも是非知っていただければと思います。