その小帯は切除すべき?治療したほうがいい場合と様子をみていい場合について

[2023年11月10日]

小児歯科では、お子さんの歯やお口の健康や受診時の状態について、さまざまな質問や相談を受けます。

その中でしばしば受けるご質問が小帯というお口の中の筋に関しての相談です。

今回は、お子さんの小帯について、治療法も含めてご紹介します。

 

目次

◯小帯について

 ◆小帯とは

 ◆小帯の役割

◯小帯の異常

 ◆上唇小帯

 ◆舌小帯

 ◆頬小帯

◯治療すべきかどうか

 ◆上唇小帯

 ◆舌小帯

 ◆頬小帯

◯小帯の異常に対する治療法

 ◆小帯切除術

 ◆小帯切離術

 ◆小帯形成術

◯まとめ

 

小帯について

まず最初に、小帯についてご説明します。

 

小帯とは

小帯は、歯肉から頬や唇、舌に向かって伸びているヒダのことです。

お口の中には全部で7つの小帯があります。

唇部分に上唇小帯と下唇小帯、舌の裏に舌小帯、そして頬の頬小帯です。

頬小帯は、上顎、下顎、左右と4箇所あるので、合計7つというわけです。

 

上唇小帯

最も中央にある歯を中切歯といいます。

上唇小帯は、上口唇の内側と中切歯の間のあたりの歯肉に伸びている小帯です。

 

舌小帯

舌小帯は、舌の付け根付近から下顎の前歯の裏側の歯肉に向かって伸びている小帯です。

舌小帯の特徴としては、他の小帯と異なり、血管や神経がないという点です。

 

頬小帯

頬小帯は、頬から小臼歯という前から数えて4番目、5番目あたりの歯の根のあたりの歯肉に向かって伸びている小帯です。

 

小帯の役割

小帯にはどのような役割があるのでしょうか。

小帯の役割は、繋がっている部分の位置や動き方に関係があります。

すなわち、上唇小帯は上口唇の位置と動き、下唇小帯は下口唇の位置と動き、頬小帯は頬の位置、舌小帯は舌の位置や動きをコントロールしていると考えられています。

ただし、小帯の役割については、いろいろな説があり、これ以外の役割があると考えている研究者もいます。

 

小帯の異常

小帯の異常について、ご説明します。

 

上唇小帯

上唇小帯の異常としては、上口唇の付着位置の異常や肥厚が多いです。

付着異常は、上唇小帯の位置が中切歯の間、もしくは内側の歯肉にまで伸びている異常、肥厚は厚みが過度に厚くなっている異常です。

上顎の前歯部の歯並びが悪くなったり、歯ブラシが当たると痛がって歯磨きがしにくくなったりします。

 

舌小帯

舌小帯の異常は、舌小帯が短い舌小帯短縮症が多いです。

舌小帯短縮症では、舌小帯が短いために、舌の動く範囲が狭められ、舌の動きが悪くなります。

このため、乳児期では授乳に支障をきたしたり、幼児期では発音が不明瞭になったりします。

 

頬小帯

頬小帯の異常は、上唇小帯や舌小帯を比べるととても少ないです。

頬小帯に異常が生じると、第一小臼歯(4番目の歯)と第二小臼歯(5番目の歯)の間に隙間ができることが多いです。

 

治療すべきかどうか

小帯に異常が認められたとして、全ての小帯の異常に治療が必要というわけではありません。

 

上唇小帯

上唇小帯の形や位置の異常により、上顎の中切歯の間の隙間が残ったまま、閉じない場合、手術の適応となります。

言い換えると、中切歯間の隙間がないなら、原則的に手術の適応外です。

しかし、上唇小帯がひどく肥大しており、これによって審美的に悪影響が認められる場合は、手術の対象になります。

 

治療の時期

上唇小帯の手術は、できれば10歳後半ごろ以降に行うことが推奨されています。

上唇小帯の付着異常の症状として、代表的な上顎の中切歯(前歯)の正中離開は、中切歯の隣の側切歯が生えてくるにともなって、解消することが多いからです。

 

舌小帯

自然にお口を開けたときに舌を上にあげると、舌の先端が引っ張られて凹む。

舌を前に伸ばすと、舌の中央部分がハート型に凹む。

下顎の前歯よりも前に舌先が出せない。

このどれかに当てはまる場合、舌小帯短縮症と診断され、治療が必要となります。

 

治療の時期

乳児では授乳に影響があれば手術が検討されますが、授乳を続けているうちに自然に伸びてくることも多いので、乳児の場合は様子を見ながら必要性が判断されます。

幼児の場合は、声を出すときによくない癖が身についても困りますので、早い段階で治療することが多いです。

一般的に4歳を超えれば、局所麻酔での手術も十分受けていただけます。

 

頬小帯

小臼歯の間の隙間がいつまで経っても閉じず、その部分に頬小帯があるなら、手術の適応があります。

 

 

小帯の異常に対する治療法

小帯の異常には小帯切除術、小帯切離術、小帯形成術の3種類の外科手術から症状に適した方法が選ばれます。

小帯切除術

小帯切除術は、小帯の周囲に切開を加えてから、小帯を骨膜から剥離して除去する手術です。

切除するといっても、外来で局所麻酔下に行える侵襲性の低い手術です。

 

小帯切離術

小帯切離術は、小帯に横向きの切開を加えたのち、小帯を切り離して伸ばすように縫合する手術法です。

小帯切除術のように小帯そのものを切断したり切除したりすることはなく、テンションを緩めるのが特徴です。

 

小帯形成術

小帯形成術は、小帯の周囲に三角形の切開を加え、粘膜の形を修正することで小帯の形を変える手術法です。

こちらもやはり小帯のテンションを取り除くのが目的です。

 

まとめ

今回は、お子さんの小帯(ヒダ)についてご説明しました。

お口の中には7つの小帯があります。

小帯の異常としては、上唇小帯や舌小帯の異常が比較的よく見られますが、それ以外の小帯については、異常が認められることは稀です。

上唇小帯に異常があると中切歯間の隙間が閉じない、舌小帯に異常があると発音が不明瞭になる、頬小帯に異常があると小臼歯間の隙間が閉じないといった症状がみられます。

もし、お子さんの上顎の前歯の歯並びの隙間がなくならない、はっきり発音できないなどの症状があれば、小帯に異常が隠れているかもしれません。

当院は、小帯に関しても専門知識や治療経験が豊富な歯科医院です。

お子さんに先ほどあげたような症状がみられるなら、当院でぜひご相談ください。

 



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