「小児のう蝕」について知り、子どもにむし歯を作らないようにしよう!
[2023年01月07日]
お子さんの歯が生えてくると、保護者の皆さんはむし歯を作らないように!
と頑張って歯磨きをしますよね。
日本では近年、子どものむし歯は減少傾向にあります。
厚生労働省の調査によると、3歳児のむし歯のある子の割合は平成元年の55.8%から、平成28年には15.8%に。12歳児のむし歯のある子の割合は平成元年の88.3%から、平成28年には35.5%に大幅に減少しています。
その原因としては、
・お口の健康に対する意識の向上による歯磨き
・食習慣の改善
・むし歯予防に効果的なフッ素が広く使われるようになったこと
などがあげられます。
しかし、減ってきたとはいえ歯科医院には毎日むし歯の子が来院します。
子どものむし歯にはどのような特徴があるのか。むし歯にならないためにはどんなことに気を付けたらよいかについてご紹介します!
目次
・子どものむし歯の特徴
・むし歯になりやすい場所って?
‐1~2歳でなりやすい場所
‐2~3歳でなりやすい場所
‐3~5歳でなりやすい場所
・むし歯にならないために気を付けたいこと
‐歯磨きでしっかりプラークを落とそう!
‐砂糖の摂取やだらだら食べに気を付けて
‐フッ化物を効果的に使おう
・まとめ
子どものむし歯の特徴
乳歯は永久歯と比べてむし歯になりやすいです。歯の表面はエナメル質という硬い材料で覆われています。乳歯はこのエナメル質の厚さが永久歯の半分しかありません。
また、乳歯は永久歯に比べて有機質をたくさん含んでいて柔らかいため、むし歯の進行も早くなります。乳歯は神経の占める割合が大きく、むし歯が神経の近くに進みやすいため重症化しやすいという特徴があります。
虫歯になりやすい場所って?
子どものむし歯は、年齢ごとになりやすい場所が変わります。
1~2歳でなりやすい場所
前歯が生えそろったばかりのこの時期にむし歯になりやすいのは、“上の前歯の間”です!
歯磨きを嫌がってなかなか磨かせてくれないお子さんも多いですよね。
嫌がるのを無理やり押さえつけて歯みがきするより、むし歯予防のために砂糖の摂取に気を付けましょう!
お子さんの間食は甘いものではなく、食事の一環としておにぎりやサツマイモなどがおすすめです。甘いお菓子は週に1回くらいのお楽しみにしましょう。
2~3歳でなりやすい場所
奥歯が生えてくるこの時期は、奥歯の噛む面が虫歯になりやすいです!
生えはじめの奥歯はなかなか気が付かなかったり、歯みがきが難しかったりします。奥歯の溝に汚れがたまったままだと、むし歯になりやすくなります。
特に上の奥歯は、見えにくいので気を付けて磨きましょう!
3~5歳でなりやすい場所
乳歯が生えそろったこの時期は、奥歯の間が虫歯になりやすいです。
歯と歯の間の汚れは歯ブラシでは取れません。歯磨きの時は、フロスも一緒に使う習慣をつけましょう。
また歯と歯の間のむし歯はわかりにくく、気が付いた時には進行してしまっていることが多いです。定期的に歯科医院でチェックすることが大切です。
6歳ごろになると大人の歯が生えてきます。それまでにしっかりとむし歯にならないお口の環境を作りましょう。
むし歯にならないために気を付けたいこと
歯磨きでしっかりプラークを落とそう!
むし歯は、お口の中の細菌が糖を原料として酸を作り、その酸が歯を溶かすことでできます。
歯についているプラークは細菌の塊です。むし歯予防のために歯みがきでプラークを除去し、お口の中の細菌の数を減らしましょう。
また、歯と歯の間のプラークは歯ブラシだけで取り除くことが難しいです。フロスもしっかりと使いましょう。
砂糖の摂取やだらだら食べに気を付けて
お口の中の細菌は糖を原料にして、酸を産生し歯を溶かします。普段の食事にも糖が含まれるため歯は少し溶かされますが、唾液の持つ再石灰化作用のおかげで修復されます。
しかし砂糖を頻回に摂取したり、だらだら食べをしていると再石灰化が間に合わずむし歯になってしまいます。寝ている間は唾液の量が少なく、むし歯になりやすいため寝る前に甘いものを食べたり飲んだりすることは控えましょう。
またお子さんの場合、特に飲み物に注意です!飲み物は基本的にお水かお茶にしましょう。
ヤクルトやイオン飲料を小さいお子さんに日常的に飲ませているというお話をよく聞きますが、これらも砂糖が入っておりむし歯の原因になります。
特に歯みがきを嫌がりしっかり磨けない子は、よりむし歯になりにくい食習慣を心がけましょう。
フッ化物を効果的に使おう
フッ化物は虫歯予防にとても効果的です!フッ化物には以下の4つの効果があります。
- 歯の再石灰化を早める
- 歯を硬くする
- 歯をバリアして溶けにくくする
- むし歯菌への抗菌作用
お家での毎日の歯磨きには、フッ化物配合の歯みがき粉や歯磨きジェルなどを使いましょう!5歳以下はフッ素濃度が500ppm以下のものを選んでください。2歳までは切った爪程度の量、3~5歳は5ミリ程度の量を歯ブラシにつけて磨きましょう。
また、歯科医院で定期的な高濃度のフッ素塗布を行うことも有効です。
まとめ
乳歯は生え変わるからむし歯になってもいいと考える保護者の方は、ほとんどいないと思います。生涯にわたってのお口の健康を考えたときに、子どものうちにむし歯になりにくいお口の環境をしっかりと整えることはとても大切です。
むし歯予防には、お家での丁寧な歯磨きや健康的な食習慣の構築が欠かせません。
歯科医院では、専門的なクリーニングや高濃度のフッ素塗布などでお口の健康をサポートします。歯磨きの仕方や歯ブラシの選び方、歯みがき粉の使用方法などぜひ専門家にご相談ください!